27年ぶりの街乗りオートバイ

私はXJR1300でレースをした後、約13年に渡って「FZS1000」という車両で、筑波のレースを走ってきました。何故、この機種を選んだのか、明確な理由は実はありません。ヤマハで鉄フレームだから、でしょうか。

チームの社長と一緒に千葉まで事故車を引取りに行き、それを社長がイジリ始めたのが、全ての始まりでした。

当初は、社長のツーリングマシンでした。それを、「ちょっと筑波で乗ってみろ」と言われ、「これでレースに出るか?」となり、いつしかその車両を譲り受け、気が付けば私のレースマシンになっていました。

FZS1000でのレース、グリッドにて

これは、FZS1000に乗り換えた初期の頃のレースです。カウルはまだ、ライトの穴が開いている純正品を使っています。今では、すっかりボロ雑巾のようになってしまったツナギが、まだ新しくてキレイです。

FZS1000でのレース

純正カウルを使っていた頃と比べると、エンジンもマフラーもフロントフォークも、重要な部品が全て変更されています。しかし、フレームは「FZS1000」のままです。

整備中のFZS1000レーサー

この写真を見れば、フレームが「FZS1000」なのが、良くお分かり頂けるかと思います。

一時期、ホンダの社員の方だと思いますが、同じレースに「HORNET(ホーネット)」という、ちょっとマイナーな車両で出場していました。タンクや外装パーツを外した状態で見ると、確かにフレームはホーネットです。独特な形状ですから、私が見ても分かります。

しかし外装パーツを付けると、どう見ても「CBR」です。このホーネットのライダーの方から、「高野さんのバイク、どう見てもR1ですよね!」と言われたことがありました。『このバイクだって、どう見てもCBRだろ!』そんなやり取りをした記憶があります。

私の出場しているクラスは、そんなクラスなのです。外装パーツを付けなければ何だか分からないバイクばかりです。でもそこには、ちょっとおバカなオッサンたちの知恵、工夫、情熱、やる気、お小遣い、労力が惜しげもなく使われています。誰が見ても速く走るために作られたオートバイではない車両を、何とか速く走れるよう、たくさんの手間を掛けて造られています。

だから私の車両は、ごっついフロントフォークや、前転しそうなほど効きそうなブレーキ、つい立てのような大きいラジエター、クロスプレーンのR1エンジンが使われていたとしても、「FZS1000」なのです。


街乗り用のFZS1000がやってきた!

以前の記事にも書きましたが、時々、妻を乗せてタンデムツーリングに行きます。しかし、今まで使っていたXJR1300では、タンデムするのがちょっとばかり辛く感じるようになってきました。

このツーリングの後、ノーマルでもいいから、安くてタンデムでも走りやすいバイクは無いかなぁ、と探してみました。

ハンドルの切れ角がちゃんとあり、サスペンションは適度に動き、クラッチは重くなく、ハイグリップタイヤを履かなくても楽しい、そんな1,000ccくらいのオートバイがいいなぁ~。

タンデム用なので、エンジンはノーマルで十分です。大したパワーもいりません。FZS1000、FZ1あたりで探してみましたが、キレイだと思いのほか高額です。ブレーキもノーマル、サスもノーマルでこの金額かぁ、と思い、とても買う気にはなれませんでした。

安いFZS1000を購入して、FZS1000レーサーの部品をそこに移植したら、面白くて速そうなバイクになるかなぁ、などと考えてもみましたが、そもそもFZS1000レーサーに街乗りバイクに移植できるような部品など、何も無いことに気付きました。

そんな時です。お世話になっている社長から、『このバイク買わない??』とお話がありました。すぐに実車を見に行きました。で、10分後に「買います!」と決断していました。

思えば、ナンバー付き、つまり街乗り車を購入するのは、XJR1200を買って以来です。相当に久しぶりです。20数年ぶりです。

人様のオートバイには、いろいろと乗せて頂く機会がありました。でも、自分の車両となると、ちょっと違うものです。レースで長年乗ってきた「FZS1000」という名称のオートバイが、ナンバー付きとなって我が家にやってきました。全てのタイミングが合い、私が乗ることになったということです。

私のところにやってきたFZS1000

『お前が乗るのがちょうど良いんだよ♪』
『レーサーみたいに速くはないぞ!』

車両を引取りに行った時に、社長に言われた言葉です。フレームは同じでも、レーサーとは全てが違うことくらい、分かっています。タンデムツーリング用ですから、そもそも強大なパワーなんて要りません。サスペンションもブレーキも、良いものが付いていますので、安心して走れそうです。

ホイールも替わっているので、カッコ良いです。キャブも替わっているので、パワーもノーマルより有りそうです。これで十分です!!


初乗り

車検が切れていましたので、まずは名義変更と車検です。これは、車検担当のいつもの後輩君がやってくれました。『おい、頼むぞ!』、これだけです♪

キレイな車両ですが、車検が切れていたくらいですから、しばらくは走っていなかったと思われます。ちょっと整備しましょう。ブレーキ、チェーン、タイヤ等を一通りチェックしていきます。タイヤなんて、全く減っていません。ハイグリップタイヤなのに、もったいない事です。

簡単な整備をしたら、まるでそれを見越したかのように、友人が「週末、ちょっとバイクに乗ろうよ」と言ってきました。朝一番で、ちょっと近場でも行きますか。

宮ヶ瀬湖まで、いつもの試乗コースを走ります。エンジンは走行距離の割には、元気良く回ってくれます。ただ、いただけないところが幾つか分かりました。シフターとサスペンションは、何とかしなければ、今のままでは、楽しく走れそうにありません。

ちょっと走り、たくさん話をした後、朝の8時前には帰ってきました。これから自治会でやっている畑に行き、草刈りをしなければなりません。いつまでご奉公しなければならないのでしょうか・・・。まあ玉ねぎを収穫できますので、今日は良しとしましょう♪。晩ご飯のおかずは、玉ねぎを使ったかき揚げ天ぷらでも作りますか。