カスタム車両の落とし穴

ヤ○ーオークションやグ○バイク等の中古車販売サイトを、時々、興味本位で眺めることがあります。今の相場は幾らくらいなのか?、どのような車両が幾らで売りに出されているのか?、特にカスタム車両では、どのようなパーツが取り付けられているのか?、そんな事を気にしながら、見ています。

カスタム費用○○○万円!、といった車両も、時々見かけます。オーリンズ正立フォークやレーシングキャブレター、ホイール交換あたりが定番のカスタムメニューでしょうか。

中には、スイングアームやアンダーブラケットの変更、ステアリングダンパーやサブフレームが装着された車両も見かけます。エンジンのカバー類も、削り出し製品が装着されているものまで、見かけることがあります。凄いなぁ~、と感心する車両もあります。

そのようなカスタム車両を見ていると、少しばかり心配になることがあります。


全て、古い車両です。

XJR1200
オーバーホール済のXJR1200

XJR1200の発売は、1994年です。つまり、今から31年前ということです。上記のXJR1200は、1300エンジンをオーバーホールした後に、積み替えています。外装は1200ですが、エンジンはフルオーバーホールされた1300エンジンであり、ステムベアリングも交換しています。ですから、当分の間はエンジンやステムの心配は必要ないでしょう。楽しんで乗って頂けると思います。

XJR1200のステムベアリング交換
XJR1200のステムベアリング交換

年式が古いということは、あらゆる箇所、全ての部品も古くなっている、ということです。それが、操縦性や安全性に関わるパーツであるなら、出来れば交換しておきたい、と思うのは、当然の事かと思います。

オートバイの何を重要視するか、どこを大切に考えるか、コストを掛けるべきところは何か・・・、人によって違うのは、当然でしょう。優先順位は人それぞれですから、そこに昭和のオッサンの偏った考えを押し付ける気は、全くありません。でも、当ガレージに持ち込まれた車両には、ちょっとばかり「昭和のオッサンの考え」を押し付けてしまうことも、希にですが、あります。これは、当ガレージの考え方や取り組み方によるものですので、どうかご容赦頂ければと思います。

車両のオーナー様と同じように、ショップにもカラーややり方、好み、得意不得意、専門分野などがあるものです。当ガレージにも、もちろんあります。

例えば、多くのパーツが取り付けられているカスタム車両は、あまり得意ではありません。絶対に取り付けしないパーツも、幾つかあります。対して、走ることを目的としたカスタムやチューニングは、得意です。


カスタム車両の見えない部分が、とても気になります。

一般的には、『何らかの改造(カスタマイズ)する行為』をカスタム(custom)と言います。その中でも、『エンジン、足回りなど性能に関する改造をチューニング』と言います。

参考:XJR1300への想い

時代、法規制、取り巻く環境、流行り、など全てのモノや状況は、私たち昭和のオッサンがオートバイに乗り始めた頃、楽しんで乗っていた頃と現在では、大きく変化しています。XJR1300も、初期の1200が発売から30年以上も経過している車両ですから、傷んでいる箇所、交換されているパーツがあっても、何ら不思議ではありません。

大手サイトの販売車両などを見ても、「カスタム」という言葉が目に付きます。『○○は変更済!』
そんな言葉も、多数、掲載されています。そのような車両を見るたびに、
『見えない部分は、大丈夫なのだろうか・・・』
そんな事を、つい考えてしまうのです。

Fフォークのオーバーホール
Fフォークのオーバーホール

目立つパーツは、高価で派手なパーツに変更されてはいますが、ステムベアリングは、大丈夫ですか?スイングアームピポッドは、大丈夫ですか?カムチェーンは、きっと伸びていますよ。スタータークラッチは、もう限界かもしれませんよ。サスペンションは、きちんと作動していますか?・・・。挙げれば、キリがありません。

スイングアームベアリングの交換作業
スイングアームベアリングの交換


車種専用のカスタムパーツ品

大手量販店やウェブ上の販売店を見ると、その車種専用のカスタムパーツが沢山販売されています。専用に造られているからでしょうか、誰にでも簡単に取り付けが出来ます。そこに工夫や技術は、あまり必要ありません。カスタム費用○○○万円!といった車両でも、多くは専用のカスタムパーツを取り付けただけです。

XJR1300街乗り車

 XJR1300レース用車両

上記のXJR1300は、2台共に私が所有している車両です。XJR1300用に作られたカスタムパーツは、ほとんど使われてはおりません。

製作時には、フレームは単体にして、ベアリング類も全て交換されています。もちろんエンジンに至っては、フルオーバーホール&チューニングされています。

上記の車両は、特にフロント回りやホイール回りは、車両に合わせて製作・加工されたパーツばかりです。オイルクーラーもFフォークも、ホイールやブレーキも、XJR1300専用に販売された物ではありません。希に、『何用ですか?』と聞かれることがありますが、そんな時は決まって、『ヤマハ純正です♪』と答えています。

『いやいや、そんな事はないですよね!』と言われた場合は、
『ナッ○スの奥に行くと、常連客専用のカタログがあって、そこに掲載されているよ♪』
と言ってみたりもします。

以前、シングルレースが流行っていた頃に、仲間たちとオートバイを造る楽しさを覚えました。鉄フレーム大排気量のレースが流行りだしても、やることは同じでした。○○○用パーツ、といった物が販売されていませんでしたので、自分たちでやるしか無かったからです。

  • このフォークを使ってみよう!
  • このホイールとブレーキ、使えないかな?
  • マフラーは、こんなふうに作り替えてみよう。

このようにして、出来るだけコストを掛けないよう、工夫と知恵、ある部品と試行錯誤で、車両を製作していました。

そんなふうに深く関わってきたショップは、2つだけです。そのどちらも、おそらく今でも有名です。それらのショップでは、そうやって造った車両で何度も走らせて頂きました。そのような経験をしてきたせいでしょうか、人と同じような車両では、どうしてもつまらない、と感じてしまうのです。誰でも簡単に取り付けられるパーツ、その車種用に準備されているパーツは、面白くないのです。

一昨年でしたが、レース用のXJR1300のFフォークが、なかなか上手く行っていない時期がありました。剛性は問題無かったのですが、操縦性が悪く、セッティングではどうにもなりませんでした。

そこで、保有している「FZS1000」のオーリンズ正立フォークを、テスト的に装着したことがありました。当たり前ですが、何の問題も無くなりました。
「いつ転倒してもおかしくない!」
と感じていた操縦性も解消されて、タイムも向上しました。

ただしそれでは、やはりつまらない、と感じてしまうのです。だって、皆と同じですから。

実はオーリンズフォークを使っている時に、筑波サーキットのインストラクターをしている後輩君が、
『高野さんのバイクが、初めて普通に見えました♪』
と言ったことがありました。

その時に私が考えたことと言えば、
『カタ○ラのバイクが普通に見えたら、やっぱりダメだよな!』
そんなことでした。

筑波サーキットに長年通っているライダーの間では、「カタ○ラ」と言えば、少しは有名なようです。そのショップのテイストに出場するマシンが普通では、やっぱりダメなのです。面白くないのです。

  • 「それ、何用なんですか?」
  • 「どうやって取り付けているんですか?」
  • 「何のエンジンなんですか?」
  • 「そんな部品、売っていないですよね。」

そのような事を言われるようなマシンが、「カタ○ラ」のマシンなのです。他では作れないマシンでなければ、ダメなのです。何用か分からない部品が装着されていなければ、ダメなのです。そんな考えは、長年お世話になってきた私の、あくまでも個人的なものです。ショップの社長が言っている訳ではありません。私の、『勝手なイメージ』です。そこは、誤解なきよう、お願いします。

結局、以前から使用していた倒立フォークを、どうやったらまともに走れるようになるのか、あれこれ手を尽くし、パーツを製作し、改善させる方を、私は選択しました。わざわざ大変で修行する道を選んだ訳です。今まで携わってきた取り組みの中で、人と違うことをしよう!と選んだのですから、お金も時間も手間も掛かりましたが、後悔はしていません。

過去には、様々な車両を走らせる機会を頂き、様々なテストもさせて頂きました。しかし、XJR1300という車両で、正立・倒立・フォーク長変更・オフセット変更のテストを実際にサーキットで行うような機会は、ほとんどの方はありません。そう考えると、非常に意味のある経験になったと思います。


派手なカスタムは、苦手です。

筑波サーキットでもツーリング先でも、良く見かけるXJR1300といえば「前後オー○ンズサスペンション」、「ゲ○ルスピードホイール」あたりが定番でしょうか。

その他、取り付けられているパーツ類の多くは、性能にあまり影響しない、いわゆる「カスタムパーツ」です。これについては、オーナー様の好みや嗜好の問題ですので、人それぞれなのは当たり前です。

ただし、見た目だけで性能には全く影響しないだけでなく、整備性を酷く損なうパーツがあった場合は、当ガレージでは作業をお断りする、もしくは再取り付けをしない、といった場合もあります。中には、性能を悪くしている、と感じているパーツもあります。

個人的には、派手なカスタムパーツでギラギラしたような車両は、得意ではありません。場合によっては、作業をお断りする場合もあります。どちらかと言えば、走る方に重きを置いたような車両が好きです。

作業をお受けするかどうかに付きましては、あくまでも個人的な考えによるものになります。そんなワガママ親父ですが、どうかご理解頂ければと思います。


見えない箇所の重要性

以前にお受けした車両の中には、以下のような状態の車両もありました。

  • 『スイングアームピポッドのベアリングが、サビて粉々になっていた。』
  • 『クランクシャフトとコンロッドが、焼き付きかけて変色していた。』
  • 『スタータークラッチが壊れており、エンジン始動が出来なかった。』
  • 『カムチェーンが一コマずれていた。』
  • 『Fフォークのオイルが、半分以上も抜けていた。』
    ・・・
    どれも外見からは、あまり分からないことばかりです。でも、そのようなオートバイで楽しく走れるハズがありません。

見た目が派手で、高価なパーツが沢山付いて、カスタム費用○○○万円!、といったXJR1300でも、ほとんどの車両はエンジンのオーバーホールや各部のベアリング交換など、されてはおりません。外見からも、分かりません。エンジン内部や重要部品は、メンテナンスや交換もされておらず、古いままです。

先日も、Fブレーキに違和感を感じる車両がありました。私の見解では、明らかに『NGレベル』でした。様々なカスタムパーツが取り付けられた状態で購入した車両のようでしたので、取り付け時期も取り付けショップも、詳しくは分かりません。当ガレージの責任も、もちろん全くありません。

このような原因探しや修理は、本来であればお受けしてはおりません。手間もスキルも、お客様が想像している以上に掛かるからです。間違いないのは、問題の発生している箇所のパーツを、純正に戻せば良いのです。

時間を掛けて調べ、チェックし、問い合わせもしたうえで、出来ることはしましたが、完全には治りませんでした。見た目を最優先したカスタムパーツには、時にはこのような事態も起こります。

ここでは、これ以上の愚痴は言いませんが、カスタムパーツには、このような事も有り得る、ということです。もしオーバーホールをご依頼下さったお客様の車両に、このようなカスタムパーツが装着されていた場合は、ハッキリとお伝えさせて頂きます。

出来れば、見た目ではなくて機能優先でカスタムをお考え頂ければ、当ガレージも作業しやすいのですが、いかがでしょうか・・・。

XJR1300についてのご不安やお悩みがありましたら、お気軽にご相談くださいね。スペシャリストが、親身になってお答えいたします。

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