エンジンのオーバーホール事例3
XJR1200に1300エンジンを換装し、エンジンをフルオーバーホールした後、4年ほど乗ったお客様です。
エンジンを掛けた直後やシフトダウン時に、マフラーから煙が出て気になる、との事です。おそらくオイル下がりだと思われます。そこで腰上のオーバーホールとなりました。
分解・洗浄
エンジンを降ろした後、早速シリンダーまでバラします。
オイル下がりの原因は、ほとんどがこの「バルブステムシール」です。
バルブは程度が良いので、再使用します。ボール盤でカーボンを除去していきます。
2種類のペーパーを使ってカーボンを落としていきます。カーボンが無くなり、キレイになりました。
ヘッドの燃焼室もカーボンを落とします。合わせ面もキレイに仕上げていきます。
ポート部のカーボンも落とします。
全てのステムシールを取り外しました。見た目ではオイル下がりの原因は分かりません。
ピストンも再使用するので、丁寧に蓄積したカーボンを落とします。
組立て
クランクケースのシリンダーとの合わせ面をキレイにし、カーボンを落としたピストンを組み付けます。ピストンリングは新品です。
シリンダーを組み付けたところです。全ての合わせ面は、写真のようにキレイにします。
シリンダーヘッドを組み付けた後、カムシャフトを取り付けます。
カムの位置を確認し、バルブクリアランスを測定します。設定範囲外の場合は、シムを交換してクリアランス調整します。
エンジンが組みあがりました。
フレームに載せていきます。
キャブレターのオーバーホールです。エンジンを降ろす訳ですから、キャブは必然的に外します。せっかく外すのですから、バラして掃除します。
エアクリーナーが付いているとは言え、ある程度走行すればキャブは汚れているものです。
キャブクリーナーとエアーでキレイにしていきます。
キャブやマフラー、オイルクーラー等を組み付けていき、完成です。
エンジンオイルを入れた後、念のためにエンジンを掛ける前にクランキングし、オイルを回します。
エンジンを掛けたら、オイル漏れ等のチェックをします。
テスト走行
暖気後、エンジンを止めての再始動を何度か行い、マフラーからの煙の有無を確認しましたが、問題ありません。
テスト走行でも調子は良く、何の問題もありません。
走行後は、オイル漏れや各部のチェックを行います。
総評
今回は、オイル下がりを直すことが目的でしたので、腰上オーバーホールでした。
ピストンやバルブも程度が良かったため、再使用しました。
XJR1300は、スタッド部を伝わって小石や異物が溜まります。
ケースを割らない腰上オーバーホールの場合、シリンダーを外す際にそれらの異物をケース内に落とさないよう、細心の注意が必要です。
丁寧な作業でオーバーホールをしたい方は、まずはご相談下さい。
XJR1300のスペシャリストが、あなたのご相談を受け付けています。
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