スペシャルピストン、完成しました。
SOHCエンジニアリングに製作依頼していたXJR1300用スペシャルピストンが、完成しました。
XJR1300用は、数年前にたった1セットを作っただけで、その時からさらに改良を加えているそうです。
ピストンの形状が良く分かるように、真横から撮ってみました。この盛り上がりが、低圧縮のXJR1300を高圧縮エンジンに生まれ変わらせます。
ピストン裏側です。ピン開口部の脇を見て下さい。こんな箇所にも、軽量化の為の肉抜きが施されています。
通常、アフターパーツのピストンは、STDピストンよりも重量は重くなるものですが、このスペシャルピストンは、なんとSTDより15%も軽量に出来ています。
- STDピストン
- 254g
- スペシャルピストン
- 216g
ちなみに私の古いノートには、ワイセコとコスワースのピストンを計量した際の記録があります。家庭用のはかりで計測したデータですので、あくまでも参考程度にお考え下さい。コスワースは80mm、ワイセコは現在の街乗りマシンに使用している79mmのもの、つまりSTDボアです。
- コスワース(80mm)
- 273g
- ワイセコ(79mm)
- 257g
今回の製作依頼にあたっては、圧縮比を2通り設定しました。サーキット使用を目的としたものと、ストリート使用を目的としたものです。
写真左側がストリートユース、右側がサーキットユースのものです。ピストンヘッドの高さと形状が違うのが、お分かりいただけると思います。
圧縮比は12.5:1まで可能とのことですが、少しだけマージンを取ってサーキット仕様を「12.2:1」としました。ストリート仕様は、このサーキット仕様のピストンヘッドを削ることにより、圧縮比を下げています。ですから写真のように、ピストンヘッドの高さと断面の違いとなって現れるのです。
こちらの写真の方が、ピストンヘッドの断面形状が異なるのが、よく分かります。つまり、製作意図も設計も、両者は全く同じということになります。
私は以前、コスワースとワイセコを使用したことがあります。両方共に、圧縮比は「10.25:1」です。STDの9.7:1と、そう変わりません。しかも、重量はSTDよりも重くなります。
このようなピストンを使ってパンチあるエンジンにしようと思うと、シリンダーヘッドの面研磨が必ず必要になってきます。バルブシートまで削るほどの面研磨量です。ですので、シリンダーも合わせて面研磨していました。こうやって、圧縮比を12.0:1前後まで上げていました。
また、ボアアップした場合はなおさらピストン重量が重くなりますので、そのままでは当然エンジンは回りにくい特性になってきます。そこで、クランクシャフトを軽量化したり、バルブ回りを軽量化したりもしました。
ドラッグパーツのチタンリテーナを使って、インナーシム化もしました。当初は1200エンジンベースでしたので、現在の1300のヘッドガスケットは使用できませんでしたので、様々な圧縮漏れ対策もしました。それらがトラブルを起こした事も、何度もありました。
そんな経験をしてきたからこそ、SOHCエンジニアリングが製作したこのスペシャルピストンの有難味が、よく分かります。だから、街乗りにも関わらず、どうしても使いたくなったのです。
現在、クランクケースまで組みあがり、ヘッドも出来上がっているお客様のエンジンがあります。ピストン待ちの状態だったものです。まずこのエンジンに、出来上がったばかりのスペシャルピストンを組み込みます。
どんなエンジン特性になるのか、今から楽しみです。
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