スペシャルピストン組み込み、第一号の完成

先日完成したばかりの、ガレージXJRオリジナルとも言えるSOHCエンジニアリング製ピストンですが、早くも組み込み一号車が完成しました。

エンジンはケースまで組んであり、載せるヘッドも出来上がった状態でしたので、サクサクっとエンジンを組んでいきます。

XJR1300用オリジナルピストン

美しく輝くピストンを、コンロッドに組み付けました。ノーマルピストンのように、EX側を表示する優しい矢印の刻印などはありませんが、バルブの逃げを見れば、どちらがEX側かは一目瞭然です。とはいえ、万が一にも間違えないよう、マジックで矢印を書いた後に組み付けました。

ノーマルはもちろんのこと、コスワースやワイセコピストンも、何度も組んだり外したりしてきましたが、このSOHC製ピストンに使われるサークリップ、今まで経験したことの無い造りです。慣れ親しんだ感覚とは、ちょっと勝手が違います。コツを掴むまで、二つダメにしてしまいました。

まあ、使って使えないことはない程度ですが、お客様のエンジンですので、ちょっと痛めてしまったサークリップは取り外して、新品を再度組み直しました。痛めたサークリップは、自分のエンジンを組む時に使いましょう。もしくは時間がありますので、組む前にSOHCエンジニアリングにお願いして、サークリップだけを分けて頂くことにしましょう。

ちなみにこの時点では、スタッドボルトを2本しか組んでいません。スタッドボルトは全て新品に交換するので、抜いた状態でケースを組みましたが、ケースを裏返す際に勝手が悪いので、2本だけ組んでおいたのです。

初めてのピストンですので、サークリップを付ける際の手際も分かりません。スタッドボルトが無い分、手を自由に動かせますので、ピストンを組むまで残りのスタッドボルトを取り付けないでいました。

さて、新品のスタッドボルトを全て組み付けましたら、シリンダーを被せていきます。何度やっても、いつもこの作業は緊張します。特に初めてのピストンですから、なおさらです。

内側二つのピストンをまずはシリンダー内に収め、続いて外側二つのピストンを入れていきます。ピストンリングを痛めないよう、細心の注意が必要な作業です。全てのピストンをシリンダー内に入れ、シリンダーをケースの合わせ面まで挿入したら、クランクシャフトを回し、スムーズに動くことを確認します。


XJR1300用オリジナルピストン

無事にシリンダーまで組んだ状態です。クランクシャフトはひっかかりも無く回転し、ピストンはスムーズに上下に動きます。このピストンが、これからパワーを生み出していくのです。頑張って働いてくださいね。

XJR1300用オリジナルピストン

初めて組むピストンですから、ピストンとシリンダー上面のクリアランスなど、データ計測をしながら作業していきます。それにしても、見事な造形美です。このようなピストンを見ると、ノーマルピストンがやけにみすぼらしく見えてしまいます。

XJR1300用オリジナルピストン

ちなみに、こちらはノーマルピストンをシリンダーに組んだ状態です。ピストン形状の違いがよく分かると思います。

このピストンも、比べればみすぼらしく見えますが、思いのほか優れものです。メッキシリンダーと相まって、ヘッドの面研磨で圧縮比を11.0:1くらいまで上げても、びくともしません。レーシングキャブレターを装着すれば、別次元のパフォーマンスを発揮します。

とはいえ、やはりこのスペシャルピストンにはかないません。

XJR1300用オリジナルピストン

XJR1300用オリジナルピストン

いつまでも眺めていたくなりますが、そうゆっくりしている訳にもいきません。エンジンを組み上げないことには、そのパフォーマンスを感じることもできませんから。

ということで、出来上がっているシリンダーヘッドを乗せ、カムシャフトを組み付けていきます。カムタイミングを合わせ、バルブクリアランスの測定と調整をすれば、エンジンの完成です。

XJR1300用オリジナルピストン

このスペシャルピストンを組んだエンジンが、どんなパフォーマンスを発揮するのか、どんなフィーリングでどんな走りをするのか、考えるだけでワクワクしてきます。

関東地方は長雨が続いていますが、その合間をぬって試乗してみましょう。