また今回も、遊ばせて頂きました!

テイストオブツクバ

年に2回、5月と11月に、「テイストオブツクバ」という、どちらかといえば古いオートバイで走るレースが、筑波サーキットで開催されています。バイク馬鹿なオッサンたちの、大運動会のようなイベントです。

そのレースになると、普段はあまりサーキットで見かけない「XJR1200・1300」が、結構な台数、集まってきます。そんな中に、昔から知っている二人のオッサンがいます。

もちろん私も含め、知り合った頃は、まだ若造でした。しかし今では、立派なオッサンに成長しました。

そのうちの一人のアベちゃんに、
「高野さん、楽しみにしているのに、ブログの更新が無いですよ。」
と怒られてしまいました。

いつもの事ながら、申し訳ございません。

「お客様の車両や作業内容は、デリケートな部分も含まれることが多いから、あまりネタに出来ないんだよ。」

そう言った直後に、
「あっ、このオッサンたちなら、どんな内容をネタにしても大丈夫だよな。」
そう思い直し、早速、カメラを取り出しました。


練習日のトラブル

アベちゃんと初めて一緒に走ったのは、私がXJR1200でレースを始めた頃ですから、かれこれ25年くらい前になると思います。彼の初優勝も、10メートル後ろで見ていた気がします。初めから仲が良かった訳ではありませんが、何度も一緒に走るうちに、いつしか話をするようになりました。

そんなアベちゃんですが、2年前に私が出場するクラスを変更した後は、同じクラスになりました。ですから、公式練習もレースも、一緒に走ります。

レース前の金曜日の公式練習中、2ヘアピン手前に大量のオイルが出て、レッドフラッグで走行が中止になりました。2ヘアピンのアウト側にアベちゃんが止まっていましたので、エンジンブローで停止させたようです。どうやら転倒はしていないようで、その点は一安心でした。

ブローした車両がレッカー車で運ばれて、私がいるすぐ近くに戻ってきましたので、ペーパータオルを持って、駆けつけてみました。そして数名で、そっとアンダーカウルを外しました。少しでも横にすると、溜まっているオイルがこぼれてしまいそうです。

その後、整備しているガレージで撮った写真が、これです。

エンジンブローしたXJR1200

あれっ?
なんだか、エンジンの中身が見えている気がするんですけれど・・・。
これじゃあオイルが溢れる訳ですね。

まあ、自身のオイルで転倒しなかっただけ、まだツキが残っていますよ。それに、誰も巻き込まなかったのですから、良しとしましょう。持ってきたスペアエンジンに、さっさと積み替えれば、レースは走れますからね。

そして迎えた決勝レースは、遅いスペアエンジンにも関わらず、いつものようにスタートを決めて、本人は満足出来ていないとは思いますが、2位でゴールしました。練習時のトラブルを考えれば、上出来だと思います。

お立ち台のアベちゃん


もう一人の危ないオジさん

私の記憶では、確か1989年だったと思いますが、ヤマハから「OW01(FZR750R)」という車両が、限定販売されました。抽選販売とか、思いっきり高額とか、購入までに随分と苦労しましたが、最後はローン用紙にハンコを押して、購入した記憶があります。

新設された「SP750」というクラスで、現在のヤマハの監督さんたちと走っていましたが、その同じクラスに、やはり「OW01」で走っていたのが、北海道のオジさんでした。

当時から開けっぷりが良く、古い富士スピードウェイのレースでは、超高速の最終コーナーで私の目の前で、ハイサイドで転倒しました。いったい彼は、何を考えてそんなに開けるんだ?と思ったものです。酷い怪我も有り得るような転倒でしたが、チェッカー後に見ると、何でもなかったかのように歩いていましたので、後ろに載せてピットまで連れ帰ってあげました。

まだその時のお駄賃、もらってないなぁ~。

その後、久しぶりに会ったのは、十数年後に出場した「SUGO・6時間耐久」の時でした。練習時から決勝レースの終了まで、ずっと雨が降っていたレースでした。

私たちのチームは、なぜか事が上手く運び、お立ち台に乗ることができましたが、北海道のオジさんたちは、
「あれっ?田植えでもされてきたんですか?」
といった、泥だらけの様子で、ピットに帰ってきたのを覚えています。雨の耐久でも、やっぱり危ない走りをしていたのでしょうね。

そんな、危ないオジさんのテイスト用車両が、こちらです。

北海道の危ないオジさんのXJR1200

誰がどう見ても、筑波サーキットを速く走るXJRには見えません。タンクなどは、「くず鉄屋さんから拾ってきたんですか?」と思えるような代物です。先にご紹介したアベちゃんが、
「俺が捨てたタンクかと思いましたよ。」
と言うほどの、素晴らしいタンクです。

ええ、ちゃんと分かっていますから、大丈夫ですよ。これは練習用で、本番用のカッコ良い外装があることくらい、知っていますから。

でも、こんな空冷2本サスの汚い(笑・・)バイクで、なんと筑波サーキットを59秒代で走ります。良い子の皆さんは、絶対に追いかけたり真似したりしないよう、お願いします。危ないですから。

北海道の危ないオジさんのXJR1200

ちなみに今回のレースに合わせて、面白い試みをしてきたようです。セローなどで見かけたことのある、「パフォーマンスダンパー」が装着されていました。

十勝でもテストしたそうで、一番の目的は、筑波サーキットのCXコーナー立ち上がりでの振られや振動を抑える役割を期待している、と話をしていました。

でも、2本サスであんなに開ければ、そりゃ振られや振動やタイヤの滑りは、出て普通かと思いますよ。見ていると、常にオートバイが変な動きをしていますからね。くれぐれも、怪我だけはしないようにね。


ちなみに、エンジンをブローさせてしまったアベちゃんですが、こちらの車両も相当にカッコ良いかと思います。

アベちゃんのXJR1200

こちらのXJR1200も、北海道のオジさんの車両と同様、決して速そうには見えません。しかし、この速そうに見えない車両で、筑波サーキットを「0秒代」で走ります。

北海道の危ないオジさんも、アベちゃんも、さすがです!オートバイは見た目ではなくて乗り手のウデ、ということが、良く分かります。昔からの知り合いでもあるし、XJRで頑張っている二人なので、私で出来ることがあれば、これからも応援しますよ♪


ところで、肝心のヘッポコ親父ですが、スタートで出遅れたものの、運良くお立ち台に登ることが出来ました。

お立ち台にて

S字の右側にある、タイヤガレージの2階ベランダは、常に関係者が見ています。このレースも、お店の社長や奥様をはじめ、タイヤメーカー関係者などが見ていました。走っていると、案外と分かるものです。

でも、スタートで大失敗をして、きっと皆、怒っていたり呆れているんだろうなぁ~、と思い、チェッカー後、ガレージの2階に挨拶もせずに、通り過ぎました。そうしたら、余計に怒られました。

『なんだ高野、こっちを無視して通り過ぎやがったぞ!』

だって、絶対に怒っていたに違いないんですから。スタートを何とかしろ!って。
はい、もう少し走らせて頂けるのなら、今度こそスタートを決めて、チェッカー後も、ちゃんとご挨拶させて頂きます。

だから、まだ走っても良いですか・・・?


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