1200エンジンの使い勝手と今後の問題

年が開けて、既に2週間が経ちました。相変わらずの更新頻度で、ご心配をお掛けしているかもしれません。いやいや、心配なんてしていないぞ!。お前は本当にやる気があるのか!。そんなお叱りの声も聞こえてきそうです。申し訳ございません。どうかご容赦ください。今年は、もう少しは頑張るつもりでおりますので。

この歳になると、あと何年オートバイに乗れるのだろう・・・。そんな事を、ふと考えることがあります。周りでは、「重くて取り回しも大変だから、1,000ccは手放して、セローだけにしたよ。」そんな諸先輩方の話も耳にします。

ツーリング用FZS1000
ツーリング用FZS1000

でも近くには、まだまだ1,000ccに乗り続けている先輩もおります。「ツーリングだから来い!」と、声を掛けて下さる先輩もおります。筑波を走り続けている先輩も、いらっしゃいます。やる気さえあれば、まだまだ走れると思っています。

ということで、ツーリング先でも筑波サーキットでも、もしかしたら見かけることがあるかもしれませんが、その時は、優しい目で見てやって頂ければと思います。

レース用XJR1300
レース用XJR1300


1200エンジンは、まだ大丈夫?

昨年の暮れに、たまたま1200エンジンを2機、続けてオーバーホールしました。心配していたピストンやシリンダーの大きなダメージもなく、試乗の際は、『これだけ走れば十分に楽しめる』、と感じたほどです。特に1台はTMRキャブレターに変更した事もあり、十分過ぎるほどのエンジンパワーを感じました。

1200エンジン特有の弱点として、スタータークラッチが挙げられますが、そこはオーバーホール時に改善できます。それを考えると、まだまだ現役で楽しく走れるオートバイだと再認識しました。

分解したスタータークラッチ
分解したスタータークラッチ

とはいえ、既に生産から30年近く経過していますので、エンジン内部は傷んでいる部品も、多数あります。ヘタっている部品もあります。カーボンも蓄積しています。それらを改善させるためのオーバーホールは、今後も走り続けようと思えば、欠かせない作業かと思います。

その他、車体部分でも傷んでいる箇所はあるものです。普段はあまり見ない箇所でも、ダメージを受けている箇所は、思いの外、あるものです。

塗装が傷んでいるタンク下部分
塗装が傷んでいるタンク下部分

エンジンの内部は、分解しない限り見ることは出来ません。特に大きな問題も無く走ることの出来ている車両でも、25~30年が経過しているエンジンです。走行して何の問題も無いからと言って、内部のパーツが傷んでいないとは言えません。

カムチェーンやハイボチェーンは、ダラダラに伸びきっています。1200エンジンのスタータークラッチは、「FJ1100」時代からの弱点で、最悪の場合はエンジンの始動が困難になります。燃焼室やピストンには、カーボンが大量に付着しています。バルブの当たりも悪くなっています。メタルも磨耗しています。もしかしたら、圧縮も下がっているかもしれません。

もし、今後も不安なく安心して走りたい、とお考えであれば、エンジンのオーバーホールを、一度は考えてみる必要があるかもしれません。


1300エンジンへの載せ換え

排気量が1300ccに変更になったのは、1998年式からです。1300に変更されて暫く時間が経過すると、事故車などの1300の中古エンジンが出回るようになりました。その頃から、ちょっとお疲れになった1200エンジンを、1300エンジンに積み替えることが流行るようになりました。

今でも、1200車両にオーバーホールした1300エンジンを積むことは、時々あります。エンジンマウント等も同じですから、特別な加工も必要ありません。

ただ、そのままでは、車検が通りません。構造変更の手続きが必要になります。以前のオーナーズクラブの方々は、ご自身で構造変更の手続きを行った方も多くいらっしゃったようですが、件数や事例が増えた為なのか、現在では少々、厳しくなったようです。

面倒臭い、リスクが高い、といった理由かと思われますが、構造変更を快く引き受けてくれるショップは、現在では非常に少ない気がします。しかし、排気量もエンジン番号も変更されていますので、積み替えた場合は、構造変更の手続きは必ずしなければなりません。


1200エンジンのままでのチューニング

当ガレージでは現在は、中古エンジンの積み替えだけは行っておりません。理由は簡単です。積み替えた中古エンジンが、調子良く走る保証が無いからです。1200の車両に1300エンジンを積む場合も、基本的にはオーバーホールしたエンジンを積みます。

しかし、ストリート使用の場合は、1200エンジンをチューニングしても、面白くてパワーのあるエンジンにすることが可能です。ケースをそのまま使用すれば、構造変更も1300エンジンの購入も、必要ありません。その分のコストが抑えられます。

排気量を上げる、圧縮比を上げる、カムシャフトを交換する、これらの事を行えば、全く性格の異なる、パワフルなエンジンにすることも出来ます。久しぶりに1200エンジンをオーバーホールし、その後試乗してみて、そんな事を考えていました。最近では、以前に作ったストリート用1200エンジンのことを、時折、思い出しています。

バルブタイミング調整
バルブタイミング調整


1200のエンジン打刻

XJR1200のエンジン打刻には、私が知る限り、2タイプあります。

XJR1200のエンジン打刻・その1
XJR1200のエンジン打刻・その1

XJR1200のエンジン打刻・その2
XJR1200のエンジン打刻・その2

「打刻その1」は、私が購入した1994年式XJR1200が、このタイプだった気がします。

「なんだ、番号が無いのか?」
「エンジンオイルは4ccしか入ってないの?」
そんな事を言った記憶があります。

対して「打刻その2」は、「4CC」の後ろに、6桁の数字があります。年式による違いかと思いますが、何年式から番号記載があるのかは、ハッキリは把握してはいません。ただ、番号記載がなく、「4CC」だけの場合は、同じ打刻のエンジンであれば、積み替えても構造変更の必要がない、ということになります。


1200エンジンのポテンシャルと、1300との違い

1200エンジンでも、しっかりとオーバーホールとチューニングを施せば、簡単には開けられないようなトルクとパワーを得ることが出来ます。ですから、持っているポテンシャルは十分だと言えるでしょう。

1300との違いは、細かなパーツを除けば、排気量だけです。つまり、ピストンとシリンダーが違うことになります。シリンダーやコンロッドの材質も、正確には異なっていますが、1200用だから材質が弱い、悪い、といったことは、一度も感じたことはありません。しかも1300と比較すれば、中古車両も中古エンジンも、比較的安く入手出来そうです。

どうせ古い車両なのですから、今後の事を考えれば、フレームも単体にして、塗装まですると仮定すれば、全ての箇所に手を入れることも、難しくはありません。

チューニングメニューまで含めた、その辺りのことは、次回以降のブログで書きたいと思います。


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