クランクケース分解、その1

ヘッド周りはSOHCエンジニアリングの渡辺さんが各数値を計測した後、カムシャフトやピストンは、そのままお預けしています。ヘッドも分解洗浄し、今は加工屋さんに行っています。

腰上分解が一段落したので、今度は腰下(ケース)を分解しました。


懐かしいクラッチ

XJR1300用強化クラッチキット
XJR1300用強化クラッチキット

XJR1300は、パワーを上げていくとクラッチが滑り出します。開け方や走り方にもよりますが、キャブレターとマフラーの変更だけで滑り出すこともあります。FJ系エンジンの弱点の一つです。

そんな時には、純正のダイヤフラム式スプリングからコイルスプリング式に変更された強化クラッチキットが、お手軽でお勧めです。これだけで、160馬力以上のエンジンでもクラッチの滑りは解消されます。私も1200時代から、このタイプのクラッチを使用していました。

今回、クラッチカバーを外すと、赤色のプレートが目に入りましたので、てっきりバーネット製かと思いました。確か昔使ったバーネットが、こんな色だった気がしたのです。

XJR1300用強化クラッチキット

でもよく見ると、そこには『Mihara』の刻印がありました。今は無き「ミハラスペシャリティ」の製品です。カムシャフトだけでなく、こんなところにもミハラさんのパーツを使っていたんですね。

XJR1200用(1300)として、カムシャフトやピストンも出していましたが、いったいどの程度の数が世の中に出回ったのかは、詳しくは知りません。おそらくは、ごく少数だったと思われます。

聞いた話からの推測にはなりますが、カムシャフトもピストンもこの強化クラッチも、おそらくはアメリカのメーカーに依頼して製作されたようです。特にカムシャフトは、今でも絶品だと思っています。

国内で出回ったカムシャフトの殆どは、ヨシムラ製ST-1です。私も1セット購入し、使いました。でも、ハイカムとして見ると、美味しいところはあまりありません。公道使用でも何の問題も感じないほど、クセのないカムシャフトです。信号発進も、純正カムと同じ感覚で発進できます。

ヨシムラと比較すると、ミハラカムシャフトはリフトも高く、尚且つヘッドは無加工で使うことができます。バルブスプリングも変えなくて大丈夫です。インナーシムにする必要性も感じませんでした。それでいて、低中速域から圧倒的なトルク感を与えてくれます。上の伸びもあります。この辺りの設定が絶妙なのです。なぜこのカムシャフトと同程度のカムを誰も作らないのか、不思議に感じるほどです。

「じゃあ、お前が作ったら?」
そう言われるのは、重々承知しています。以前にあるメーカーに在籍していた方に相談したこともありました。もちろん、SOHCの渡辺さんにも相談しました。

結論は、少数でコストを抑えて製造するのは無理なので、今は見送ろう、ということです。残念ですが、仕方がありません。ブランク材の入手も出来なくなった今、それでも製作するには、無垢材からの削り出しで作るしかありません。高額になっても仕方がありません。


プレッシャープレートの加工

摩耗したプレッシャープレート
摩耗したプレッシャープレート

フリクションプレートを外側から抑えるプレッシャープレートですが、やけに摩耗しています。公道使用だけでこんな減り方をするとも、思えません。

おそらくレース時代に使っていたパーツでしょう。レースで使っていたパーツの中から程度の良さそうな物を選んで一つのエンジンを作った、というのが正直なところです。言葉とイメージは悪いですが、使えそうなパーツを寄せ集めて作ったエンジンとも言えます。でもそれで150馬力以上出ていたのですから、上出来でしょう。

今ではちょっとばかりくたびれて、ガスケットも吹き抜けて143馬力でした。でも、外観は塗装してキレイにします。中身もキチンと手を掛けて仕上げてあげれば、またしばらくはそのパワーで遊べるようになります。

そいうことで、プレッシャープレートも交換してあげましょう。

プレッシャープレート

左は純正のプレッシャープレートで、右はコイルスプリング式に対応したプレッシャープレートです。キットに付随するものです。どの強化クラッチキットも、プレッシャープレートは純正品を加工した物を使っています。

探すと、程度の良いSTDのプレッシャープレートが何枚か出てきました。摩耗もなくベアリングの程度も良いプレッシャープレートを加工して、新たに使おうと思います。

加工したプレッシャープレート
加工したプレッシャープレート

知り合いの加工屋さんに、どうせならと3枚、加工を依頼しました。フリクションプレートでの摩耗もなく、これでまた当分の間、使えます。

クランクケースを割って、出来れば交換したいと感じたパーツは、クラッチ周りとスタータクラッチくらいです。あとは通常の消耗パーツ交換で大丈夫そうです。

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