腰上チューニングエンジン、その5・TMRキャブレターのセッティング

ヘッドのポート加工をし、SOHC製スペシャルピストンを組み込んだ車両ですが、キャブレターパーツのアルマイト加工が終わりましたので、早速組み立てます。

アルマイト加工の終わったキャブレターパーツ

アルマイト加工は、スピゴット・ファンネル・ドレンボルトで、ついでに社外品の削り出しクランクカバーも同色にアルマイト加工しました。トップカバーは塗装です。

ただ、セッティング作業でタンクの取り外しを何度もしていると、ガソリンコックがキャブのトップカバーを傷つけてしまう事があります。念のため、私のキャブのトップカバーに付け替えてセッティング出しを始めます。

空燃比計を用いたセッティング作業

空燃比計は、サイレンサーの前にアダプターを取り付けてセットします。この方式であれば、同じマフラー径であればどの車両にも取り付け可能です。ちなみにアダプターは、2種類の太さを用意しておりますので、多くの車両に対応できます。

空燃比計センサーを取り付けるためのアダプター


実際のセッティング作業

TMR40の初期セット(ベースセッティング)は、通常は下記の状態になっています。

  • MJ:#160
  • JN:10E01-52 #3
  • PJ:#27.5
  • PS:2

これは、XJR1300用だから、という訳ではありません。どんな車種用だろうが、口径が同じであればベースセッティングも同じです。40Φのベースセッティングは上記ということです。ちなみに、41Φも同じです。

ノーマルエンジンだけでなく、チューニングエンジンでもレースエンジンでもこのセッティングのままでは、残念ながら楽しく走ることは出来ません。エンジンの仕様や状態によってもセッティングは変わってきますが、ある程度の方向やとりあえずのスタートは分かっています。ですので、ベースセッティングから始めることは、今ではありません。

JNの太さや段数を変更する

まず、ベースセッティングの状態からJNを変更します。この状態でスタートします。

エンジンを掛けてアイドリングや発進テストをすると、パイロット系が少し濃い感じです。空燃比計の数字も、11の前半を示しています。

今年の春、ポート加工など同じようにヘッドチューンをして、SOHC製ではありませんが社外ピストンに変更して、圧縮を上げた車両がありました。キャブレターも、TMRの新品でした。そのエンジンでは、パイロット系は何通りかテストしましたが、結局「PJ:#27.5、PS:1・1/2」で落ち着きました。

今回は、その時と同じセッティングも試してみましたが、まだ濃い目です。PJを変更して、ようやく良くなりました。

キャブレターのセッティングは、同じようなエンジン仕様でも、パイロット系すら変わってくる場合があります。微妙なところは、体感では分からない事もあります。それを補ってくれるのが、空燃比計です。数字で表示されるので、悩まないで実際にテストできるのです。

価格も手頃になり、随分と使いやすくなったようですので、今さら・・・な感じも否めませんが、昨年に空燃比計を入手しました。今までの感覚的なセッティングがどうだったのか?という検証もしたかったのです。

やはり、自分の好みは濃い目でした。トルク感を感じられる加速が好きなのは、とっくに分かってはいましたが、数字で表示されると、『なるほどなぁ~』と、妙に納得させられました。


JNのセッティング変更作業

実際のテスト走行をして、何度もタンクを外し、特に中間域を受け持つJNのセッティング変更をしました。針を換え、クリップ段数を換え、何度もテストしました。

オーナー様の中には、MJの番数を気にされる方が多いですが、MJは主にアクセル開度3/4以上を受け持つパーツです。140~150psのオートバイを、それも一般公道で、どれだけ全開に出来るのでしょうか。

それよりも、一番多用するのは中間域です。パーシャルで巡行して、ちょっと加速して、といったことです。多くのライダーが好きな峠道でも、よほどのスキルが無い限り、全開など出来ません。だから、一番気を使ってセッティングするのは中間域、パーツで言えばJNだと思っています。

エンジンを組んだばかりですので、当然ですが全開テストは出来ません。ですからMJは、予想で組むしかありません。でも、大きく外れていて走らない、薄くて焼き付く、といった程のズレはありませんので、その点はご安心下さい。

オーナー様には、「今は○○番が付いています。おそらく少し○○かもしれませんが、慣らしが終わった後、○○番に付け替えてテストしてみるのも良いかもしれません。」といったアドバイスは、させて頂いております。


TMRキャブレターの組み換え作業

低速域、中間域のセッティングが出たところで、キャブレターを一旦取り外します。塗装済みのトップカバーに付け替え、最終セッティングに変更します。

TMRキャブレターのセッティング完了

ブラックパーツの多用された、新品のTMRキャブレターです。こうして取り付けると、思った以上にカッコ良いです。

慣らしが終わったら、以前にパワーチェックしたお店で再度パワーチェックしてみる、とおっしゃっておりましたので、チューニング前とどのくらい変化があるのか、私も楽しみです。

実際に試乗した感じでは、トルクが2回りくらい太くなっており、どこから開けても右手に反応するように回転が付いてくる、そんな乗り味です。

通常、ピストン変更をして圧縮比を高めると、圧縮が高くなった分、回り方が重くなる印象になりますが、SOHC製ピストンでは、その印象は全くありません。STDと比較しても、軽く回る印象です。ピストンの軽量化が大きく影響していると感じています。

通常では入手できないSOHC製ピストンですが、今なら1セットのみ販売できます。詳しくは、下記をご覧下さい。