「ついでにセッティングもして下さい!」その2
「ついでにセッティングも見てもらえますか?」
こう言われるもう一つの代表格が、キャブレターセッティングです。
ちょっとした事から、最近街乗りオートバイのキャブレターセッティングが気になるようになりました。
今まであまり気にしなかったのは、自分の街乗りマシンにセッティングの不満を感じていなかったからです。多少濃い目にはなっていますが、そのおかげで寒い時期でも何の問題もなく走ります。私の友人のXJRも、ほとんどは私がセッティングしたTMRを使っています。
じゃあ何故、今ごろになってそんな事が気になるようになったのか・・・
セッティングの出ていないレーシングキャブレター
高価なレーシングキャブレターを装着しているにも関わらず、セッティングが出ておらず、乗っても楽しくないオートバイに続けて乗る機会がありました。
聞けば、「こんなものだと思っていた。」とのこと。どれも、セッティング作業が全くされていないキャブレターでした。
おそらく多くの方が、このような使い方をされているのだろうと想像できます。本当は、非常に楽しいパーツなのですが、それを生かせていないばかりか、調子が悪いまま乗っているのは、あまりにももったいない話です。
レーシングキャブレターは、その名の通りレーシングパーツです。機能最優先です。細かな調整作業は、乗り手の責任で行なうことが前提です。
例えばXJR1300用として販売されているレーシングキャブレターは、XJR1300用にセッティングされている訳ではありません。ピッチやスロットルリンク部などが、XJR1300に取付けできるようになっているだけです。
各ジェット類は、口径により初期セットがされて販売されています。例えば40ミリ口径であれば、XJR1300だろうがゼファー用だろうが同じということです。つまり、そのままで調子良く走れる訳がない、ということです。
ちなみに私のミクニ製TMRでは、初期設定からPJ、JNのストレート径、JNの段数、MJを変更して使っていました。昨年のお客様もTMRを新たに装着しましたが、ポン付け状態では調子良く走る、という訳にはいきませんでした。
ですから、レーシングキャブレターには、必ずセッティング作業が必要になってきます。
このキャブレターセッティング作業ですが、
「ついでにキャブセッティングも見てもらえますか?」
と言われるのですが、実はあなたが思うほど簡単な作業ではありません。
実際のキャブレターのセッティング作業
普段からメンテナンスされているキャブレターであれば良いのですが、セッティングが出ていない状態で乗り続けているくらいですから、まず始めにオーバーホールをする必要があります。
各通路をクリーニングし、汚れや異物を取り除かなければ、正確なセッティング出しなど出来ません。ガソリンや混合気の通路が詰まっている状態で、ある程度走るようになったとしても、オーバーホールして通路がキレイになり流量が変わってしまえば、セッティング作業をした意味など全くありません。
オーバーホール後、各ジェット類やニードル等を変更していき、その都度、結果を確かめるために試乗します。当然、キャブレターの脱着作業も、同じ回数だけする必要があります。タンクを取り外す必要がある場合もあります。
そんな作業を10回繰り返したとしたら、それだけで丸1日あっても全く足りません。しかも、変更するためのジェット類やニードル類を、予め用意しておく必要があります。
そのような作業ですから、
「ついでにキャブセッティングも見てもらえますか?」
と言われて、簡単に出来る作業ではないのです。
シャーシダイナモでキャブセッティングをする、という話も聞きますが、それだけでキャブセッティングは、よほど熟練した作業者でない限り、まず出せません。
キャブレターは、回転数ではなくアクセル開度により、受け持つパートが異なる仕組みです。MJは全開域、JNの段数は1/4~3/4、JNのストレート径は1/8~1/2、PJはアイドリング近辺、といった具合です。
それぞれのアクセル開度を全てシャーシダイナモ上で確かめるのは、非常に難しいことだと思われます。よほど腕の良い方なら別なのでしょうが・・・
ということで・・・
空燃比計を導入しました!
今さらながら、の感もありますが、空燃比計を導入してみました。と言っても、昨年の秋には入手していたのですが、いろいろあってまだ実際に使ってはいません。
問題は、センサーの取り付けです。自分のマシンにだけ使用するのであれば、マフラーを加工して取り付ければ良いのですが、それではお客様のマシンには対応できません。
そこで、こんなものを作ってみました。
このパイプにセンサーを取り付けて、マフラーエンドとサイレンサーの間に装着します。そのために、太さの異なるパイプを組み合わせている訳です。
この太さは、自分のマフラーに合わせたサイズですので、もう一つ、一般的に出回っている太さの物を作る必要があります。そうすれば、ほとんどのマフラーに対応できると思います。
まだまだ寒いですが、どこかで一度、作動テストをしてみようと思っています。