久しぶりに、無事終了しました。
今年一番の暑さだった昨日の21日、半年に一度のレースを走ってきました。
昨年は、2レース共に転倒をしています。なので今回の一番の目標は、『無事完走』です。とはいえ、目標の1分切りを是非、達成したいところです。
いつまで出来るのか・・・
50歳頃から、『いつまでこんなこと、出来るのかな・・・』と考えるようになりました。若い頃には、考えもしなかったことです。
この歳になっても何故やっているのかといえば、『楽しい』からです。楽しくてたまらないからです。ただ、それだけの理由です。レースよりも楽しいと思えることに、今まで巡り合っていません。
そして続けているもう一つの理由は、『一度でも止めたらもう二度とできない』と分かっているからです。
こんな自分にも、助けてくれる仲間やメーカーさんがいます。レースの度に手伝ってくれる友人もいます。だから、続けられています。そんな人たちを笑顔にするために、一生懸命に走っているのかもしれません。
自分が頑張って走って、その結果、仲間たちや応援してくれる人が笑顔になれたとき、最高の気分が味わえます。苦労が大きいほど、歓びも大きくなります。
つい先日、練習で一緒になったM君とこんな話をしました。彼とは、同じレースを何度一緒に走ったことでしょう。30年近く前に、鈴鹿で同じレースに出場しています。そして今でも、筑波で同じレースを走っています。
M君:『アニキ、幾つになりましたっけ?』
私:「オレに歳の話をするか?」
M君:『オレも50歳になって、最近しんどいんですよ。』
私:「でも、楽しいだろ?」
M君:『楽しいんですが、デカくてパワーのあるバイクは、もうしんどいな、って思うようになって。いつまで出来るのかなって、考えるんですよ。』
その気持ち、良~~~く分かります。ただ私の場合、体力的なことよりも、感覚的な理由の方が大きいです。
年中、練習に行く訳ではありませんので、久しぶりに乗ると感覚がなかなか戻らないのです。最後の、ちょっとした感覚がズレているように感じることが多くなりました。
そんなM君、マシンを乗り換えてからタイムも成績も上がり、ドライでは遊んでくれなくなりました。まだまだ進化しているようです。さすがです。
茂木ちゃん、雨ならまた遊んでくれるかなぁ~。
もう少し、一緒に遊びたいなぁ~。
レース当日・・・
朝の6時に筑波サーキットに到着すると、手伝ってくれる仲間たちも続々とやってきます。その中の一人が、『海のおじさん』です。九十九里の海岸から歩いて5分のところに住んでいるので、そう命名されました。名付け親は、小さい頃、夏になると毎年遊びに連れて行っていた私の娘です。
その海のおじさん、今でも現役です。もてぎを57秒で走ります。到底かないません。昔、親が倒れたのに鈴鹿にレースに行ったレース馬鹿な男です。そんな海のおじさんも、「もう、いつまでもできないよな。今年が最後かな・・・」と、ポツリと漏らしていました。
知らないうちに、皆、そんな歳になりました。
「春の満開の桜や秋のキレイな紅葉を見ると、あと何回見られるのかな・・・
最近、よくそんな事を考えるんだよ。」
予選前なのに、そんな話を二人でしてしまいました。
レースも同じです。
あと何回走れるのだろう・・・
そう考えると、走っている時間が愛おしくなります。レースが出来ることに歓びを感じます。一つ一つを大切にしたくなります。
昨年の秋の筑波で、ファンデーションのNさんとも、同じようなやり取りをしました。
「ボク、60歳になってさ。60歳で60秒を切るのが目標なんだよね。」
そう話していたNさん、見事に目標を達成しました。さすがです。私も見習わないといけません。
そして迎えた予選・・・
予選
50歳になっても進化しているM君の真後ろでコースインしました。なんとか付いていけるところまで引っ張ってもらい、タイムを出そうという作戦です。
しかしコースインしてすぐに、マシンにトラブルが発生しました。オートシフターが効きません。当然、すぐにピットに入ります。対策をしてコースに戻りましたが、またすぐに効かなくなりました。
オートシフター無しで走ろうか、とも思いましたが、予選ですので直した方が得策です。一周だけタイムを出せば良いのですから。もう一度、ピットインです。
原因は、水曜日のオイル漏れのトラブル対策で、一旦外したシフトペダル回りを組み付けた際の、確認不足です。もちろん、いつも通りに組みつけていますが、動作確認までしてはいませんでした。
その後、走行していませんでしたので、予選でトラブルが発生した、という訳です。工具があれば簡単に修復できたのですが、ピットに用意していませんでした。
そんなこんなで予選の半分の時間を使ってしまい、リズムも狂って、不本意なタイムしか出せず、予選終了です。中古タイヤで走った練習よりも悪いタイムです。
情けない・・・
まだまだ修行が足りません。
決勝レース
そして迎えた決勝レース。
タイヤは予選時のままで行きます。30度を越える暑さもあって、タイムはあまり期待できません。なんとか納得の出来るレースだけはしたいものです。
グリッドに着きます。一つ前のグリッドには、8耐の時の相棒がいます。真後ろには、『オマエに負けるようになったら、いつでもレースを止めてやる!』と15年前より言い続けてきた後輩がいます。
この3台が無事にチェッカーを受けた記憶は、最近ではありません。誰かが転ぶ、誰かが壊れる・・・そんなレースばかりです。昨年春のレースでは、後輩の太郎は予選でマシンを燃やし、決勝では、抜いた8耐相棒の目の前で私が転倒し、そこに相棒が突っ込んできて、あえなく3台ともにリタイヤでした。
今日は無事に3台でチェッカーを受けましょう。
案の定、スタートで二人に負けました。1コーナーは大外からまくりましたが、追いつきません。
2台ほど抜いて、太郎の直後に迫ります。でも何故か今日は、レース時にしか入らない特別なスイッチが入りません。いつもなら、ぶつかる勢いで太郎を抜くのですが、なかなか抜けません。無理が出来ない感じです。
太郎に抑えられて、8耐の相棒とはどんどん離れていきます。やっと太郎を抜いた時は、すでに3秒以上離されてしまいました。しかも、ラップタイムも全く上がりません。
体たらくなタイムしか出ていませんが、後ろから誰かに抜かれる心配も無さそうなので、とにかく前を追いかけます。残り周回を考えれば、出来ることは他にはありません。
すると、少しずつ近づいてきます。レース後半には、真後ろに付けることができました。
しかしシフトダウン時に、相棒のマフラーから白煙が出ています。時々壊れているエンジンです。そのことは、よく知っています。だから、真後ろに付くのをつい、ためらってしまいます。
相棒がエンジンブロー、オイルに乗って転倒・・・
そんな構図が頭の中に浮かびます。かと言って、抜かない訳にはいきません。最終コーナーの突っ込みを頑張って、2周かかってやっと前に出る事が出来ました。
ラップタイムも、レースタイムも、走っている感覚も、散々なものでしたが、とにもかくにも久しぶりに無事チェッカーフラッグを受けることが出来ました。なにより、3台揃ってのチェッカーも、随分と久しぶりでした。
レースの最中、仲間内だけはきっと盛り上がっていたに違いありません。
目標タイムには1秒も足りませんでしたが、今日のところはこれでカンベンしてもらうこととしましょう。
もう少し、走らせてください!
私のレーサーは、形式上は自分のマシンですが、お借りしているパーツがたくさん付いています。カタクラの社長は、「もう引退しろ!」と口では言いながら、あれこれと最大限のサポートをしてくれています。
ブリヂストンタイヤ様も、もう30年近くもサポートしてくれています。オイルのワコーズ様も同様です。ショウエイヘルメット様も、未だにサポートしてくれています。こんなオッサンのために、本当にありがとうございます。
プラスμ様は、別に脅した訳ではありませんが、黙って業販価格でブレーキパッドを出してくれます。YONEZO様は、細かい事を一つも言わずにレーシングスーツを製作・修理してくれています。
本当に、有難いことです。
来春、ブリヂストンのタイヤが久しぶりに新型になるようです。同じクラスでブリヂストンユーザーが私一人になって、もう随分と時間が経ちます。一人ぼっちです。
もうあまり時間が残されていないのは、おそらく間違いありません。いつまで走れるのか、自分でも分かりません。だからブリヂストン様、期待しています。最後にタイヤの威力でタイムアップさせてください。宜しくお願いいたします。
私はクラスを落としてまで走りたいとは、思っていません。一つ下のクラスでお立ち台争いをするよりも、最速クラスで10番手争いをする方が、よっぽど楽しいです。一番速い今のクラスを走り続けることに意味がある!そう思っています。
頑張ってもビリ争いしか出来ないようになったら、潔く止めます。同じクラスのライダーに邪魔者扱いされるようなタイムしか出なくなれば、いつでも止めます。
でも、走れるうちはもう少し走りたい!
少しでも長く走っていたい!
カタクラの社長!オレが止めたら寂しくなるのは知っていますよ。
だから、もう少しの間、走らせてくださいね。お願いします。
「今度転んだら引退だ!」
「バイクをバラバラにして捨てる!」
右から左に聞き流しますからね。