エンジン塗装編その2・サンドブラスト
分解洗浄し、マスキングまで済ませたパーツを、レースで長年お世話になっているバイク屋さんで機械を借りて、自分でサンドブラストしようと考えていました。
しかし、思うように事は運ばないものです。
「社長、今度サンドブラストを2時間使わせてください。」
『いいけど、ガンが壊れているから使えないぞ。』
「そ、そ、そうなんですか・・・」
ということで、落下式のガンだけを借りてきました。時間もありませんので、最悪は屋外で砂まみれになってやるしかありません。
作業当日、時折顔を出している近くのショップに、サンドブラスト加工だけを特急でやってもらおうと、全てのパーツを車に積み、わずかな望みを持って行ってみました。しかし、はやり事はそう上手くは運びません。
「おはよう! 社長いる?」
『今日はレースがあって、一日いないの。』
「そ、そ、そうなんだ・・・(涙)」
サンドブラストの後、洗浄し乾燥させ、塗装のためにまたマスキングもしなければなりません。つまり、時間の余裕が全くありません。覚悟を決めました。
屋外でのサンドブラスト
ガレージの前に大きなダンボール箱を使い、3面を囲んだ簡易的なボックスを作りました。天井も作業が出来る程度に半分だけ囲いました。この中にパーツを入れ、サンドブラストをしようという訳です。
砂は、ホームセンターで珪砂の25キロを購入し、これを使います。すぐにガンに補充できるよう、バケツに入れて側に置きます。借り物のブラストガンをコンプレッサーに繋ぎ、まずはテストです。
砂が良くないのか、ガンの性能なのか、コンプレッサーの能力なのか、それともこんな程度なのか・・・思ったほど勢い良く汚れは落ちていきません。ヘッドカバーをキレイにするのに30分格闘し、あっという間に全身砂まみれです。
防塵マスクを付け、防塵メガネをかけ、全身砂まみれになっているオッサンを、目の前の通りを歩く通行人は、どのような目で見ていたのでしょう。
全てのパーツを仕上げることを考えると、気が遠くなります。
コンプレッサーが回りっぱなしなので、少し休憩をしながら考えました。箱に残った砂は再度使えますが、この勢いだと25キロの砂で足りるのか・・・
足元に、高さ10センチほどの横長の箱を作り、手前にこぼれる砂の受けを追加します。地面に落ちた砂は汚れが混ざりますので使えませんが、この箱に落ちた砂なら、再使用可能です。
そうやって仕上げたヘッドとヘッドカバーがこれです。
作業中の写真は、砂まみれのために撮っておりません。
この作業を、コンプレッサーと人間の為の休憩を入れながら、丸一日行い、ヘッドの他、カバー類やシリンダー、クランクケースまでやっとの思いで仕上げました。
キレイな夕暮れの中、全身の砂を落とし、地面に落ちている大量の砂をホウキで掃きながら思いました。
「もうこんな作業は、二度としないぞ。」
「この金額では、塗装は受けてはいけないんだな・・・」
エンジン塗装もお受けいたします。
実際に自分で全ての作業をしてみて、エンジン塗装の相場の意味がやっと理解できました。
しかし出来上がったエンジンは、思った以上に美しく見えました。自分のエンジンも塗装したくなったほどです。
そこで、オーバーホール時のエンジン塗装もお受けすることにしました。
サンドブラストは、もう青空の下ではやりません。マスキングは自分でするとしても、サンドブラスト加工は外注します。
塗装は、安く仕上げたい方には、『ウレタン2液塗装+焼付け』で行います。品質重視の方は、それなりのコストが必要になりますが、外注します。
エンジン塗装は、オーバーホール時しかチャンスはありません。せっかくコストを掛けてオーバーホールするのなら、ついでに外観もキレイにしたい!
そう思われた方は、まずはお気軽にお問合せください。