エンジン塗装編その1・マスキング1回目
内燃機屋さんに依頼していたシリンダーとヘッドが出来上がりました。これでやっと次の作業に移れます。
シリンダーは面出しですので、最低限の面研磨量です。今回は「0.07mm」でした。対してヘッドは、『ついでに圧縮も上げて欲しい』とのお話でしたので、完全な面研磨です。
研磨量は、ここでは秘密にしておきます。写真で判断して下さいね。
カムシャフトはSTD(ノーマル)のままですが、どんな乗り味になるのか、私も楽しみです。
ちなみに、XJR1300用(FJ用)として簡単に入手できるカムは、ヨシムラ製が無くなった現在、身近にはありません。ウェブカムやメガサイクルなど、海外製品は入手可能ですが、時間が最低でも2~3ヶ月以上は必要です。価格もヨシムラ製の倍です。
ヨシムラ製のST-1は、リフト量を見れば少し残念な感じでしたが、安くてお手軽なカムでした。サーキット走行やレースでの使用でなければ、街中で楽しむには十分なカムシャフトです。
低速が犠牲になっていませんので、信号発信に気を使う必要もありません。きちんと組み付ければ、低速から高速までスムーズに回ります。現在販売されていないのは、少し残念です。
パワーは、出せば良いのか?
時折、雑誌やネットで『カムは○○○、ビッグバルブ、チタンリテーナ、インナーシム化、ピストンは△△△、排気量□□□□cc、後輪出力180ps以上』といったXJR1300を見かけます。このようなバイクで街中を走って、本当に楽しいのでしょうか・・・
以前から、ドラッグ屋さんがこの手のXJR1300を造っています。FJ用のドラッグパーツを使えば、そう難しいものではありません。私がXJRでレースをしていた時にも、このようなエンジンで走らせたショップがありました。
ライダーに話を聞くと、「楽しくないし、全開なんてフロントがすぐに浮いてできないよ・・・」。しかも、壊れやすい・・・
ツーリングに行っても、街中の渋滞に出くわします。すべり対策の酷く重いクラッチで半クラ走行し、油温はみるみるうちに上昇します。130度なんて、アッと言う間です。カムシャフトもリフト量の大きなものが付いているので、回転を上げ半クラにしなければ、発信もできません。
街中を抜けたと思っても、有り余るパワーで簡単にフロントが浮きます。全開どころか四分の一のアクセル開度でも、物凄い加速ですぐにブレーキを掛けなければなりません。
ドラッグパーツには、耐久性はありません。チタンリテーナなんて、すぐに消耗します。半年~1年でオーバーホールして、多くのパーツも消耗品と思って交換しなければ、酷い目に遭うでしょう。
個人的な意見で言えば、これで楽しいとは、とても思えません。『オレは、凄いパワーのバイクを持っているんだぞ!』といった満足感だけです。
『オートバイは、乗って楽しむためのもの』だと、いつも思っています。
何もXJR1300に500万円も掛けなくても、楽しいマシンに仕上げられるはずです。
そんな想いもあり、このエンジンがどんな味わいを見せてくれるのか、今から楽しみです。
マスキング
さて、話が少し横道にそれました。
この入手した中古XJR1300エンジンですが、当ガレージで急いで用意したものですが、残念ながら外観があまり良好ではありません。そこで責任も感じていましたので、お安く塗装することとなりました。
しかし・・・
調べると、エンジン塗装は思ったよりも高額です。今までエンジン塗装をしようと思ったこともありませんでしたので、相場を知りませんでした。ちょっとだけ、甘く考えていました。
安いところに塗装に出しても、完全に赤字です。つまり、お請けした金額よりも高くなります。Z系では有名なガンコート塗装など、簡単に35万円を超えます。そのガンコート塗装でも、小石が当れば剥げます。メーカー純正の塗装に比べれば、強度は数段落ちます。
しかも、塗装をする前にサンドブラストを掛けて、下地を作る必要があります。サンドブラストだけで38万円!という驚くべき価格のショップもありました。
仕方ありません。ここは一つ、自分でできる事をやって、何とかするしか方法はありません。ということで、まずはサンドブラストの為のマスキングです。
これはヘッドですが、合わせ面は全てサンドブラストで傷まないよう、ガムテープでマスキングします。その他、ネジ穴や砂を入れたくない箇所、傷めたくない部分などにもマスキングします。
当然ですが、同じ作業をシリンダー、クランクケース、カバー類など、塗装する全てのパーツで行います。穴と言う穴、全ての合わせ面をマスキングします。
結局丸一日、マスキングだけで必要でした。
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