エンジンパーツの洗浄と点検

分解した中古XJR1300エンジンパーツは、当然ですが全て洗浄します。
分解しながら主だったところはチェックしますが、洗浄後にも各パーツをチェック・点検します。


カムシャフト

一番残念だったのが、カムシャフトです。エンジン内部はおおむね良好な状態でしたが、カムシャフトだけはIN、EX共に使用不可と判断しました。

カムシャフト

ヤマハ車でサーキットを走り始めて30年近く経ちますが、以前からヤマハ車はカムホルダーが弱いと言われていました。他社と比較した訳ではありませんが、自分のマシンのカムホルダーのカジリ痕は何度も目にしてきました。

使用しているオイルのせいだと言う人もいましたが、レース漬けの若い頃にカムホルダーの多少のカジリでヘッド交換なんて、出来る訳がありません。当然、そのまま使います。でも、大きなトラブルに発展したことは一度もありませんでした。

今回のエンジンは、カムホルダーは良好なのですが、カムシャフトだけが2本とも酷く痛んでいます。幸い、STDのカムシャフトは手持ちで持っています。どうせ使う予定もありませんので、サービスで在庫パーツを使うことにしました。


クラッチ関係

クラッチ関係は、全て非常に状態が良く、プライマリドリブンギアやハウジングに痕こそありますが、段付きはなく、プレート類の厚さも全く問題ありません。

クラッチ

ミッション類も非常に良い状態だった事から、車両オーナーの運転ぶりが伺えます。


燃焼室周り

走行距離4万キロ弱のエンジンですので、ピストン、燃焼室、バルブはこんなものでしょう。

カーボンは蓄積していますが、カーボンを落とすと、ダメージはどのパーツもほとんどありません。

燃焼室

ピストン

バルブ


メタル類

これはクランクメタルですが、そこそこ走行距離のあるエンジンでは、良くある程度だと思います。あまりよろしくはありませんが・・・

クランクメタル

メタル類は、ケースを割った時には必ず新品に交換します。クランクやコンロッドのメタル、カムチェーン等は、ケースを割らなければ交換する事はできません。そこをケチっても、良い事は何もありません。


オイルポンプ

忘れられがちなパーツですが、非常に神経質になる部品の一つです。なぜなら、レースをしていた時に何度も壊れた箇所だからです。

この10ミリほどのスプラインがナメただけで、スプラインに組まれたギアが回らなくなります。すると、オイルポンプが動かなくなります。オイルポンプが動かなくなるとどうなるか・・・

そう!当然ですが、オイルが回らなくなります。悲しい結末が待っているのです。

オイルポンプ

レース前日にここが壊れて焼き付いたこともあります。そんな嫌な思い出は、なぜか忘れないものです。だから、少しでもスプラインに破損があれば、躊躇無く捨てます。


番外編

これ、何だか分かりますか?

ケース面の液体パッキン

クランクケースの合わせ面に残っていた液体パッキンです。このエンジンは、明らかに塗り過ぎです。

ケースを合わせる際、合わせ面に液体パッキンを塗りますが、付け過ぎれば合わせ面からはみ出て、両サイドに残る事になります。ここまで気にしなくても良いのかもしれませんが、必要ないものですからキレイに剥がします。何より、残った状態で組むのは気分が良くありません。

液体パッキンは必要最小限で組み付けるべきで、このような状態になるという事は、その腕を疑われても仕方ないでしょう。


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