T様のXJR1200R・その1

XJR1300の中古エンジン

積み替える1300のエンジンは、お話が決まった後、当ガレージで用意しました。
時間的な余裕がありませんでしたが、その中でも程度の良さそうなエンジンを購入しました。購入先は、皆さんと同じです。ヤフオク!


エンジンの分解

届いたエンジンをこの週末の二日間で、まずはバラします。
バラしながら各部のチェックもしていきます。

外観は少し残念な感じでしたが、中身はほぼ問題無さそうです。クラッチのハウジング回りなどは、新品を組んだ直後と思われるくらい、程度の良い状態です。

ただ1点、カムシャフトにカジリ跡があり、これだけは使いたくはありません。
ご予算的にも時間的にも、カスタムパーツ購入は厳しい状態です。

新品の購入では、5万円を超えてしまいます。
幸いにも当ガレージにストック品がありますので、お客様に了解を頂いて、それをサービスする事にしました。

カムシャフト以外は、ほぼ問題ありませんでしたので、特に追加パーツの必要も無いでしょう。

中古エンジンは、外見だけでは分かりません。以前にもオーバーホール時に、ピストンやヘッドに打痕が見られたエンジンもあります。だから分解してみるまで、正確な価格は分からないものなのです。

まずはエンジンを分解していきます。

分解した後は、洗浄する前にパッキン剥がしです。このエンジンは1999年式なので、既に20年近くも経過しています。パッキンやガスケットも、相当に頑固です。

それらを丁寧に剥がしていきます。地道な作業ですが、欠かす事はできません。
同時にヘッド回りのカーボンも落としていきます。その後、シリンダーヘッドとシリンダーを加工屋さんに出して面出しします。

XJRはご存知のように空冷です。つまり、熱的に厳しいエンジンです。
バラしてみたらヘッドが歪んでいた、という事は、珍しくありません。

当ガレージでは、オーバーホールやチューニングする際、その後の無駄なトラブルを防ぐために、必ずヘッドとシリンダーは面出しします。
(面出しとは、最小限の面研磨で歪みを修正し、面を出すこと。)

内燃機屋さんへの要求は『0.05mm』ですが、歪みの程度もありますので、通常は『0.05~0.08mm』といったところです。


追加メニュー

お客様とのその後の話し合いで、メニューが追加されました。

  • エンジン塗装
  • FCRキャブのリターンスプリング変更

せっかくなので、エンジンを塗装してキレイな状態にして積むことになりました。ただ、安く塗装してくれるところが、GW明けまで一杯とのこと。

自分が用意したエンジンですので、外観がキレイじゃないのはお客様のせいではありません。なんとかお安く仕上げないといけません。

エンジン塗装は、非常に手間が掛かります。バラしたパーツを洗浄し、マスキングした後にサンドブラストをかけます。その後、再度パーツを洗浄し、砂をキレイに洗い落とし、またマスキングしてやっと塗装です。

ですから、多くのショップでは安くても20万円以上は掛かります。ガンコート塗装では、30万円~は普通に掛かるようです。問合せたショップの中には、サンドブラストだけで38万円のところもありました。

なんとか考えないといけません。

追加メニューの二つ目は、リターンスプリングの変更です。

FCRキャブレター付きの車両には、久しぶりに乗りましたが、
『何故こんなにも重いスプリングが付いているの?』
と言いたくなるくらい、ヒドいものでした。

ケーヒンが何を考えているのか、理解できません。
ということで、当然ですが、リターンスプリングの交換となりました。