最強の街乗りエンジン

今年発注し秋に出来上がった、本年度分の『SOHCスペシャルピストン』ですが、すでに2台の車両に組み込みました。

SOHC製XJR1300用スペシャルピストン
SOHC製XJR1300用スペシャルピストン

1台目は、オーバーホールしたエンジンに組みましたが、TMRキャブレターとSOHCピストン以外、チューニングメニューは特に何も施してはいません。シートカットとフェース研磨はしましたが、それらはあくまでも「機能回復」のための作業です。

それでもオーナー様にとっては、相当にパワーアップしたとお感じになったようで、以下のようなご報告がありました。

こんばんは。
先程、海ほたるまで行き慣らし終了しました。

帰り道にちょっぴり開けて見ましたが、自分には速すぎてレスポンス良すぎて…笑いが止まりません。乗りこなせる日は来そうにありませんが精進します^_^

SOHC製スペシャルピストンを組み込んだXJR1300
SOHC製スペシャルピストンを組み込んだXJR1300エンジン

TMRキャブレターと相まって、非常にパワフルなエンジンになりました。パワーやトルクがあるのに、軽く回転上昇します。キャブセッティングを出していますので、どこから開けても右手にリニアに付いてきます。今まで純正キャブにノーマルエンジンで乗っていた方にとって、簡単に開けられなくなったと言われるのも、分かる気がします。


今までで最強エンジン

SOHC製XJR1300用スペシャルピストン
SOHC製XJR1300用スペシャルピストン

先日納車した、SOHC製スペシャルピストンを組み込んだ2台目の車両は、おそらく公道用としてO/H・製作したお客様のエンジンの中でも、一番パワーが出ていると感じました。

SOHC製スペシャルピストンを組み込む際、ヘッドのポート拡大研磨まで希望される方は、今まで数人しかおりませんでした。ポート拡大加工をしなくても、TMRキャブレターとSOHC製スペシャルピストンの組み合わせで、簡単には開けられないパワーになります。それでも今回のお客様は、せっかくなので、ということで、ポート拡大加工もされました。

ポート加工したXJR1300のシリンダーヘッド
ポート加工したXJR1300のシリンダーヘッド

さらに、クランクシャフトの軽量バランス加工もされました。クランクの軽量バランス加工は、思いのほかコストが掛かりますので、レーシングエンジン以外ではお勧めはしていません。それでも、「せっかくなので、どうしても!」とご希望されましたので、クランク加工もしました。

XJR1300のクランクシャフト
XJR1300のクランクシャフト

どこをどの程度削ったのか、比較しなければ分かりにくいでしょう。ですから分かりやすいように、加工前と加工後のクランクを、同じ向きと位置にして並べてみました。

この削り方は、以前のレース時代に使っていたクランクの中でも、最も良い印象を持っているクランクと同じです。今年自分のエンジンをオーバーホールした際、加工屋さんにクランクシャフトを貸出して、寸法や重量、削り方などのデータを残してもらいました。その後、同じように軽量加工して頂いたものです。

今回のお客様は、以下のチューニングメニューで組みました。

  • クランクシャフト軽量バランス加工
  • SOHC製スペシャルピストン
  • ポート拡大加工
  • インシュレーター拡大加工
  • TMRキャブレター

新たな手法や特別なチューニングメニューを行った訳ではありません。自分の車両では、既に25年前にやっていた手法ばかりです。私の個人的な車両以外では、そこまでのパワーは必要ないだろう、ということで、やっていなかっただけです。

フェース研磨したバルブとシートカットしたバルブシート

上の画像は、フェース研磨してすり合わせを終えたバルブと、カーボンを落としてシートカットしたヘッドです。バルブは磨いていますが、目的はカーボンの除去ですので、鏡面までは磨きません。それでも、ここまで仕上げれば、十分に圧縮は改善されます。

私の車両のエンジンは、それらのメニューに加えてカムシャフトも変更しています。今回の車両で実際に走った印象は、私のエンジンに近いパワーの出方です。エンジンを暖気する際の吹け上がり感やピックアップの良さは、まるでレーシングエンジンです。

試乗した感じも、『SOHCピストン+ポート加工+TMRキャブレター』の仕様と比べ、吹け上がりやピックアップが良くなった分、さらに速くなっている印象を受けました。ちょっとストリートで使うには、ヤバい領域になったような気がします。

XJR1300に限って言えば、今までに多くのチューニングエンジンを造って、実際に乗った経験がありますので、試乗でおおよそのことは分かります。正確な数字は計測しなければ分かりませんが、パワー感やトルク感、ピックアップ等からおおよその比較は、頭の中で出来ます。

今回のエンジンは、私の個人的な車両とレース用エンジンを除いて、今までで最高の馬力が出ているような気がします。これでカムシャフトまで交換したら、おそらく多くの方にはバワーがあり過ぎて、乗りにくく感じるような気がします。

オーナー様、くれぐれも気を付けて楽しんでくださいね♪