スペシャルピストンの予約は終了しました。
スペシャルピストンを製作しませんか?
かれこれ20年ほど前、初めてピストン製作の話がありました。
当時はXJR1200ベースのエンジンに、コスワースの80mmピストンを使ってレースを走っていました。その頃は、常にトラブルに悩まされていました。一番の悩みの種は、『ヘッドガスケットの吹き抜け』でした。
情報交換できる仲間もなく、試行錯誤の連続でした。
ナベさんとの出会い
コスワース組み込み時に、シリンダー加工やケースのボーリングを依頼したのが、SOHCエンジニアリングの渡辺さんでした。RSカタクラの社長の紹介です。
RSカタクラには、元ヨシムラのライダーもおり、同じ地域の同じ業界人という事もあって、カタクラの社長と元ヨシムラの渡辺さんは、旧知の仲のようでした。
そんな事もあり、また地理的にも近かったので、渡辺さんには良くエンジンの相談をさせて頂きました。ナベさん、その際はいろいろとお世話になりました!
その頃、「高野君、ピストン造らない?」と言われました。造りたい気持ちは山々でしたが、トラブルで年中エンジンをバラし、パーツ交換やメンテナンスでコストの大半を使っていたこともあり、諦めました。
確か、まだ1300の発売前だった気がします。もちろん、今のように中古エンジンなど出回っていません。なのに年中、トラブルが続きます。一年中、事故車を探していた気がします。
時は流れ・・・
数年前、カタクラにナベさんから『XJR1300のピストンを造らないか?』とのお話がありました。
当時、私が造ったXJR1200改でサーキットを走っていた後輩君もおり、話は一時盛り上がりましたが、諸事情で立ち消えとなりました。
その際、たった1セットだけ造ったピストンがこちらです。
社外品のピストンの多くは、圧縮比がSTDの9.7:1から10.2:1程度にしか上がりませんが、12.5:1程度まで圧縮を上げられます。
圧縮を上げるためのヘッドの面研磨が、これで不要になります。
XJR1300のエンジンをチューニングした方ならお分かりかと思いますが、圧縮を上げるのは、思いのほか大変です。
一般に入手できる外国製のピストンは、ピストントップの形状こそ富士山のようになっていますが、圧縮比はせいぜい「10.2:1」程度です。しかも、重量もそこそこあります。
私は当時、ヘッドを1.5ミリ以上も面研磨したり、シリンダーを面研磨した事もありました。コスワースもワイセコも使いました。JEを使用した知人もいます。
ピストン重量が重くなれば、回りにくいエンジンになります。圧縮が上がれば、ガスケットは吹き抜けやすくなります。その為、クランクやコンロッドで軽量化したり、ガスケットの吹き抜け対策もいろいろと試しました。
それらの試行錯誤の結果、耐久性とパワー、コストパフォーマンスを満たす楽しいエンジンにするには、以下の選択がベストだと、現在では考えています。
- SOHC製ハイコンプピストン
- 1300のスタンダードシリンダーの使用
- 1300のスタンダードヘッドガスケットの使用
- スタンダードのバルブスプリング
SOHC製ピストン
XJR1300の基本設計は、FJ1100時代のものです。外国製ピストンは、ほぼ全てがFJ用に設計されたもので、20年以上も昔のものです。圧縮比も10.2:1程度にしかなりません。
対してSOHC製ピストンは、最新の技術で設計・製作された、国内随一の技術者が受注生産する鍛造ピストンです。圧縮比は、12.2:1程度は問題なく実現できます。
圧縮比を上げる為に、シリンダーヘッドやシリンダーを面研磨する必要もありません。
また重量もピストン単体で200gと軽量で、スタンダードピストンと比較しても軽い造りであるだけでなく、その強度も抜群です。そのパフォーマンスは、レースの現場でも証明されています。
1300のスタンダードシリンダーの使用
XJR1300のシリンダーは、アルミ一体式のメッキシリンダーです。強度も放熱性も良好ですので、このシリンダーを使わない手はありません。
ですから、ボアは当然スタンダードと同じ79mmです。
ボアアップさせるためには、スリーブを製作し、ケースもボーリングするなど、様々な手間とコストが掛かります。しかし79mmピストンであれば、これらの作業や加工は不要になります。
簡単に高圧縮比を実現でき、パワーアップを図ることができます。
1300のスタンダードヘッドガスケットの使用
私が1200改でレースをしていた頃は、ヘッドガスケットは厚紙のような素材の、なんともショボいものでした。それをオーバーサイズ用に加工して使用すると、すぐに吹き抜けました。
そこで、銅のガスケット(カッパー)を使用するようになりました。ドラッグレースで行われる手法のようです。
しかしカッパーは、厚みがSTDガスケットよりも厚いので、その分、ヘッドを面研磨する必要がありました。またシリンダー側にも溝加工する必要があり、使用する銅線の径と合わせ、非常に微妙なクリアランスが要求されました。
現在XJR1300のSTDガスケットは、メタル3枚合わせがされたものです。おそらくそのまま使用しても、圧縮抜けや吹き抜けは問題ないと思われます。
スタンダードのバルブスプリング
外国製カムシャフトの一覧表などを眺めると、カムシャフトと共にバルブスプリングの変更が勧められています。強化バルブスプリングです。
しかし実際に使用してみた結果、たかだか9,000回転を超える程度しか回せないXJR1300エンジンに、強化バルブスプリングは必要とは思えません。フリクションが増大するだけです。特にストリートユースでは、まず必要ありません。
また、インナーシム化やチタンリテーナを使用している車両もあるようですが、チタンリテーナはすぐに痛みます。年中オーバーホールし、パーツ交換を前提としたレース車両なら話は別ですが、ストリートユース車両には以上の理由で使いたくないパーツの一つです。
バルブスプリングも含め、バルブ周りはSTDで必要十分だと感じています。
XJR1300用、SOHC製スペシャルピストン
私はもう、XJR1300でレースを走る予定はありません。でも、街乗りマシンはエンジンがくたびれています。今秋以降にオーバーホールをする予定です。
その際、SOHC製ピストンを使いたい!と最近、強く思うようになりました。
ナベさんの造るピストンは、シングルレースを走っていた時代から良く知っています。ライバルの数名が使っていました。
現在は、テイストオブツクバというレースのZ系、GS系の人たちに良く使われています。私と同じクラスのライバルの一人も、実は使っています。ですので、そのパフォーマンスの高さは、サーキットの現場でも実証されています。
問題は、1セットを造る時のコストです。1セットの製造では、30万円近くは必要になります。鍛造ピストンを1セットだけ製作するのですから、当然と言えば当然です。しかし、ある程度の数の注文になれば、コストは劇的に下がります。
そこで、一緒にXJR1300用のSOHC製スペシャルピストンを造るお仲間を募集します。
先日、ナベさんとお話をして、以下のような話になりました。
- 価格:1セット16万円前後(数量による)
- 圧縮比:12.0:1~12.5:1(調整可能)
- 納期:発注から3ヶ月程度(時期による)
SOHC製スペシャルピストンのメリット
- 圧縮比が12:1以上に上げられます。
- 鍛造なので、高強度です。
- ピストン重量の軽量化につながります。
- 最先端の設計技術で製造されます。
- 圧縮比は、ご希望に沿うことができます。
- パフォーマンスは、レースの現場で実証済みです。
- ストリートユースでも、問題なく使用できます。
- ピストンだけで、ハイパワーを得ることが可能です。
6名以上集まれば、発注したいと考えています。現在、私を含めて3名が興味を示しています。ですから、最低でもあと3名は必要です。興味のある方、一緒に造りたいとお考えの方は、以下からその旨、ご連絡いただければと思います。
注意事項
受注生産ですので、注文数以上は造りません。ですから、後から欲しくなった、という方へのご対応はできません。ご自身での発注をお願いいたします。
発注時に、幾らかの申し込み金をお願いします。安易な気持ちでの発注やキャンセルを防ぐためですので、どうぞご理解ください。
発注は、ガレージXJRが取りまとめて行いますので、ご不明点やご質問は、SOHCではなく、当ガレージまでお願いいたします。
6名を越えた時点で、SOHCと詳細な打合せをします。その際、全ての疑問点等も合わせてお聞きしてきます。
7月末日で一旦締め切りとし、製作希望者が6名を超えていない場合は再考させて頂きますので、その点はご了承ください。
エンジンへの組み込みは、ご自身の責任にてお願いいたします。(SOHCでは行っておりません。)当ガレージで組み込む事も可能ですので、お気軽にお問合せください。
取りまとめ役の責任として、トラブル時のためにスペアパーツとしてピストンを幾つか保有する予定です。ただし、スペアパーツが無くなった際は、ご自身の責任でのご対応をお願いいたします。
お問合せはお気軽に
XJR1300用のSOHC製スペシャルピストンにご興味のある方、是非一緒に造って欲しいと思われた方は、まずはお気軽にお問合せください。
7月末日をもって、一旦締め切りとさせていただきます。
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