準備を進めています。その②-車体編

前回のブログでお話したコンプリートマシンですが、
『なぜ初めから、「1300C」の車両で造らないのですか?』

といったお問合せがありました。確かにその方が簡単そうですし、面倒臭くもないでしょう。でも、それは間違ってもしません。

たとえば、2015年式の「1300C」を使って、コンプリートマシンを造ったとしましょう。すると、様々な規制も、2015年式から引き継ぐことになります。メーカーが、キャブレターの使用を諦めるほどの厳しい規制です。個人が「TMRキャブレター」を装着して、そのような規制をクリアして登録出来るとは、とても思えません。ですから、フレームは規制の緩い時代の物を使って、車両を造る訳です。

もし「1998年式」のフレームを使ったとしたら、車両年式も1998年となり、規制も緩くなります。サイレンサーの中にセンサーを入れて、排ガス濃度を調べられることもありません。様々な規制が緩くなりますので、2015年式では到底できないと思われるチューニングやカスタムも、可能になる訳です。

ただし、古ければ良い、という訳でもありません。1994~1997年式のフレームを使用した場合は、登録エンジンが1200ですので、1300エンジンを載せる場合には、構造変更等の届け出が必要になります。面倒臭い手続きが増えることになり、コストも手間も増えます。ですから、個人的に最適なフレームは、1998・1999年式の1300用がベストなのかな、と考えています。


具体的な改造箇所は?

YZF-R1・2CR用フロントフォーク
YZF-R1・2CR用フロントフォーク

このフロントフォークは、YZF-R1(2CR)用のものです。R1用ですから、そのままXJR1300に使用するには、ちょっとばかり短すぎます。なので、フォークを延長しています。

今回のコンプリートマシンのコンセプトは、

  • 見た目をカッコ良くする。
  • パワーを出す。
  • 全ての箇所に手を入れる。
  • 乗るライダーを選ばない。
  • 販売できる車両にする。

このようなことを、考えています。

私が造るのですから、見た目をカッコ良くするのはもちろん、ある程度のパワーを出します。太いトルクと高回転まで回した時のパワーを、ノーマルとは別物にするつもりです。しかし、だからと言って、飛ばさなければ走れないようにはしません。裏道をゆっくりと走れますし、タンデム走行も楽しめます。

見た目ですが、「1300C」に、倒立フォークを付けた姿をイメージしてください。そのような外観が目標です。

XJR1300C
XJR1300C

現在、オークションを含めた中古車市場を見ると、高額で販売されているXJR1300は、「〇〇カスタム」といった表記がされている車両ばかりです。つまり、車種専用で販売されている社外パーツを、ただ取り付けているだけです。取り付けられているパーツが高額であれば、車両価格も高額になっている、ただそれだけです。

では、見えない箇所はどうなっているのでしょうか・・・。ステムやスイングアームピポッドのベアリングに、ガタはありませんか?。ベアリングレースは摩耗していませんか?。ホイールベアリングは大丈夫ですか?。定期的にグリスアップはされていますか?

カムチェーンは伸びていませんか?。スタータークラッチは大丈夫ですか?。空回りしませんか?。ピストリングはくたびれていませんか?。カーボンは大量に付着していませんか?。クランクメタルは摩耗していませんか?。コンロッドメタルは大丈夫ですか?。バルブは大丈夫ですか?・・・

・・・・・

そのようなことを考えると、いくら高額車両であったとしても、ただ見栄えの良いパーツが装着されているだけで、肝心の整備や点検は、おそらくされてはいないだろうことは、容易に想像できます。

私は1台の車両を製作する場合は、自身のレーサーもそうでしたが、まずフレーム単体にしてから造り始めます。もちろん、可動部のベアリングやベアリングレースまで、新品を使用します。

不要なステーを切除したXJR1300のフレーム
不要なステーを切除したXJR1300のフレーム

エンジンも同様です。クランクケースまで割って、メタルやチェーン類、トラブル事例が多いスタータークラッチ等も、パーツ交換をしたうえで組み直します。簡単に言えば、全ての箇所に手を入れて、消耗パーツは交換し、各部の確認もしている訳です。今後も安心して乗り続けるには、ベース車両が古くなってきていますので、その程度の作業は必要だろう、と思っています。

XJR1300のクランクケースアッパ

その他、「乗り手を選ばない」という事も、今回は考慮するつもりです。『販売出来る車両にする』ということと合わせて、考えています。

私の街乗り車とレーサーは、XJR1300と言えども、購入出来ないようなパーツが数点、使われています。理由や詳細は省きますが、メンテナンスも含めて、簡単に販売する訳には行かないのです。「XJR1300専用パーツ」ではなく、使ったら面白そうだなぁ、といったパーツが多く使われています。

今回のコンプリートマシンも、特に操縦性に関しては、多少のクセは、出てしまう事は考えられます。選ばれた乗り手にしか運転できない、というようなマシンにはするつもりはありませんが、少しくらいは、乗り手が何とかしなければならないような乗り味には、なるかもしれません。ノーマル車両ではありませんので、ご理解頂ければと思います。

また、これは一番重要な部分なのですが、もし『どうしても購入したい!』といった奇特な方がいらっしゃった場合に、販売することも視野に入れて製作しようと思っています。私が造った、いわばデモカーのような車両になりますが、間違いなく他の方には造れないXJR1300になると思います。その車両を、『欲しい!』『乗りたい!』と思う方がいらっしゃれば、お譲りすることも考えています。

それには、ディメンションや使用パーツ等も考慮に入れて、製作する必要があります。一度は実際に製作する車両ですから、コストや手間さえ掛ければ、また同じ車両は造ることができます。もし私が、どうしても乗りたくなった場合は、また同じ車両を造れば良いだけです。


取り付け予定のパーツ

ちょっと話が脱線してしまいましたね。取り付け予定のパーツの続きを、お伝えしていきます。

取り付け予定のステムセット
取り付け予定のステムセット

これは、「2CRフォーク」を使う為に用意した、アンダーブラケットとトップブリッジです。トップブリッジは、フォークの延長部をアルマイト加工する際に、ついでだから、という安易な考えで、ゴールドにアルマイトしてもらったものです。ちょっとばかり派手かもしれません。

オフセット量は、ここでは書きませんが、少なくともXJR1300では今までに試したことのない数字になっています。多少のクセは出るとは思いますが、私の街乗り車に比べれば、相当に乗りやすいハズです。

取り付け予定のシート
取り付け予定の1300C用シート

「1300C」のイメージに近づける為の重要なパーツが、このシートです。街乗り車のシートを外して、ちょっと載せてみただけです。取り付け部の金具等に加工が必要です。フレーム単体の状態の時に、フィッティングする必要がありますね。

もう一つ、フレーム加工が必要なパーツが、これです。

1300Cのサイドカバー
1300Cのサイドカバー

1300Cの最大の特徴が、このサイドカバーでしょう。これを取り付けるには、ステーの製作が必要になります。

1300のフレーム

フレームのサイドカバー取り付け部に、1300Cのサイドカバーを固定するためのステーを溶接しようと思っています。サイドカバーの取り付けですから、大した強度も必要ありません。そこまで終わったら、フレームを塗装します。


オイルクーラーは・・・?

スズキ油冷車用のオイルクーラー
スズキ油冷車用のオイルクーラー

オイルクーラーですが、少し前に製作したお客様の車両に使った、やはりスズキ油冷車の物を使おうと思っています。私のレーサーや、現在の街乗り車に比べると、少し小さめにはなりますが、容量的にはこれで十分でしょう。

このオイルクーラーを使うと、ハンドル切れ角を極端に狭くする必要も無さそうです。

オイルクーラーとフォークの組み合わせ
オイルクーラーとフォークの組み合わせ

これは、少し前に製作したお客様の車両です。オイルクーラーとFフォークは、今回のコンプリート車両に使用するものと同じです。現行R1用フォークと、油冷GSX-R用のオイルクーラーです。

これらのパーツ類は、トップブリッジに張り付けられていたメモによると、既に2022年には用意されていました。いったいどれだけの期間、放置・熟成されていたのでしょうか。

やることは山ほどありますか、楽しみながら少しずつ準備しています。


ただ専用パーツを取り付けただけの車両とは違う、オンリーワンのスペシャルなXJR1300にしたい!、とお考えの方は、まずはご相談ください。もちろん、ノーマル車両のオーバーホールも、喜んでお受けいたします。

ご相談には、スペシャリストが親身になってお答えいたします。

a:505 t:1 y:6