レース屋さんとカスタム屋さん

暫くの間、ブログの更新が遅れてしまいました。気が付けば2ヵ月も更新せず、いつの間にか年も越してしまいました。

  • ブログを楽しみにしているんですが、最近、更新が無いですね。
  • またケガでもして、不自由な生活をされているのでしょうか。

有難いことに、そのようなお問合せがありました。申し訳ございません。身体は何の問題もなく、ケガもしておりません。忙しさを理由にしているだけで、サボっている、という次第です。はい!、今年はもう少し、頑張ります!


最近、作業をしている車両で、ちょっとばかり気になった事があり、今回のようなタイトルの記事を書いてみよう、と思い立ちました。そのような気分にさせたのが、以下のパーツです。

カートリッジ式オイルフィルターアダプター

オイルフィルターを、カートリッジ式に変更するためのアダプターです。時折、見かけるカスタムパーツです。オイルフィルターを外すと、このようになっています。

カートリッジ式オイルフィルターアダプター

このアダプターを外すには、中央部のボルト状のパーツを外さなければなりませんが、私の手持ちの工具では、合うサイズがありませんでした。ノギスで測定すると、『27,7mm』サイズでした。

どのような意図で作られたサイズなのでしょうか?。インチサイズで作られたものなのでしょうか・・・。実測で『27,7mm』ですので、当たり前ですが27mmのボックスでは合いません。しかも中央部のカートリッジを取り付けるためのネジ部がありますので、それを避ける為に通常タイプのソケットではなく、ディープソケットが必要です。

『28mm』サイズのディープソケットなんて、通常のバイク屋さんには、まず無いかと思います。ハーレー等のインチ工具を保有しているショップなら、合うサイズがあるのでしょうか・・・?

実は、このような、カートリッジ式オイルフィルターに変更するためのアダプターでは、過去に何度か、同様の経験があります。そのおかげで、コレクションが増えました。

KTCのディープソケットコレクション
KTCのディープソケットコレクション

KTCのディープソケットコレクションです。左から、『21mm』、『23mm』、『28mm』です。23mmと28mmは、おそらく二度と使うことはない工具かと思われます。

今回も、カートリッジ式オイルフィルターのアダプターを外す為に、合うサイズのディープソケットが必要になりましたが、通常では使うことの無いサイズなので、手持ちがありません。そのソケットを購入するために、片道30分を掛けて工具屋さんまで出向き、5千円の工具を買って来た訳です。なんだかバカバカしい気分になってしまいます。

ちなみにモンキーレンチ等では、レンチが他の箇所に干渉してしまうため、使うことが出来ません。しかもネジ部は、非常に浅い造りです。

こ以前にも2度、同様の事があった為、コレクションが3個になりました。当然ですが、再使用したことはありません。これからも使うことは、おそらく無いような気がしています。


削り物屋さん

私とその周辺の昭和のオッサンたちだけかとは思いますが、アルミ等の金属を削りオンリーワンの部品を造ったり、オリジナルパーツを造ったりすることを得意とする業者さんを、「削り物屋さん」と言ったりします。そのようなパーツを量産品として販売しているショップのことを、別の言い方をすれば、「カスタム屋さん」とも言ったりします。

削り出しステムキット
削り出しステムキット

中には、時々ステム製作を発注するショップもあり、そのようなショップは、ただ作って売るだけの削り屋さんとは一線を画している、と思っています。私たちのような、レースに近い考え方や作り方をしてくれます。

対して、オートバイをイジったり部品を変更する目的がレースの為、というショップも存在します。今では、随分と少なくはなりましたが、私が個人的に長くお付き合いしているショップは、このようなところです。そのようなショップを、私たちは「レース屋さん」と言ったりしています。

何故、このように分けているのかと言えば、オートバイに対する考え方や改造する目的が、全く異なっているからです。


レースの目的とは?

レース用オリジナルピストン
XJR1300専用のレース用オリジナルピストン

レースの目的は、たった一つしかありません。『速く走る事』、これだけです。他の目的は、ありません。

速く走る為には、どうすれば良いのか?、この答えに向かって、昔から多くのメーカーやショップが膨大な努力を続けており、技術の発達やパーツ開発に寄与しているのです。オンロードでもオフロードでも、アスファルトの上でも土の上でも、同じような試行錯誤が行われています。

ただのオートバイ好きのオッサンたちの一部にも、昭和の時代からレースに取り付かれた人々がいます。自分のオートバイを速く走らせることばかり、考えてきた訳です。昭和の時代にはよく見かけた、このような事を得意とするショップが、いわゆる『レース屋さん』です。

しかし、速く走ることだけがオートバイの魅力ではありません。当たり前ですよね。もっとカッコよくしよう、と考えて、その考えを最優先にしてオートバイを改造するショップ、パーツを開発するショップも、当然ですがあります。そのようなショップが、私の思う『カスタム屋さん』です。


カスタムに求めるものとは?

オートバイには、多くのライダー、オーナーの方が『カッコ良さ』を求めます。しかし、その求めるカッコ良さは、人によって様々です。

2000年頃を境に、オートバイに求められる規制が厳しくなってきました。音量だけでなく、排ガスに関する規制は、特に厳しくなってきました。メーカーもそれに対応しなければならず、昔のようなパワー一辺倒では、済まなくなってきました。キャブレターからインジェクションへの移行も、その大きな流れの一つです。

そのような規制により、それまでのような改造が出来なくなった箇所が、年々増えてきました。現在のインジェクション車では、その出来栄えが良いことも重なり、改造や変更する箇所、パーツは、非常に少なくなってきているのが現状です。

それに加え、自身のアイデアや経験でカスタムするようなショップも、激減してきました。取り付けるパーツ、交換する部品は、その殆どが『〇〇〇専用』といったものばかりです。いわば、車種専用パーツです。だからでしょうか、コストを掛けてカスタムした車両も、私から見れば、どれもが同じような仕上がと感じてしまうのです。

そのような状況下で取り付けられるカスタムパーツを、お客様の車両でいろいろと見てきました。実際に脱着作業もさせて頂きました。試乗もしました。そして、ぼんやりと思っていたものが、確信に変わってきました。それは、

『整備性や機能を犠牲にしているパーツは、使うべきではない。』

ということです。これは、あくまでも私個人の考えですので、皆さんに強制するものではありません。でも、オートバイを整備する者、整備を非常に重要視している者からすれば、見た目を優先して整備性を犠牲にするようなことは、どうしても理解できません。

上記で紹介したカートリッジ式オイルフィルターアダプター等は、使用する工具サイズの問題だけですが、何故そのようなサイズになっているのかが、理解できません。これは、車両のオーナー様には何の問題も落ち度もありません。製作メーカー、販売メーカーの問題です。

その他にも、キャブレターを取り外せないサブフレーム、クリーナーボックスを後ろにズラせないフェンダーレスキット、フロントスタンドを使う事が出来ないステアリングダンパー、Fフォークの動きを阻害するスタビライザー等々、色々と見てきました。

『カスタムする目的』が、部品を変えることであったり、見た目最優先のオーナーの方は、結構多いと感じています。そのこと自体を悪いとは、思ってはいません。そのカスタムパーツが高価でも、重くても、それはオーナーの方々の好みです。選択するのは私ではありませんから、とやかく言うつもりは毛頭ありません。私が問題にしたいのは、『整備性を悪くする』場合です。

多くの車両のオーナー様は、ご自身で複雑な整備をされません。場合によっては、パーツの取り付けもショップに依頼しているのだと思います。ですから、整備性を犠牲にする、といった事には、さほど神経質にはならないのだと思います。しかし、既に100台近くの「XJR1300」を整備させて頂いている私から見れば、酷いと感じるカスタムパーツを、何度も見てきました。

  • 何故、そのような取り付け方にしたのか?
  • 何故、そのような形状にしたのか?
  • 何故、そのような作りになっているのか?

製作メーカーに聞いてみたいパーツは、幾つもあります。

もしあなたが、カスタムパーツを取り付けよう!とお考えの時は、少しだけで良いですから、

  • そのパーツを取り付けることで整備性は悪くならないのか?
  • 機能は犠牲にならないのか?

そんなことも、取り付ける前に考えていただきたいな、と思っています。私の今までの経験では、整備性や動作性など全く考慮していないであろうカスタムパーツは、たくさんあります。


お願いがあります。

当ガレージのような、片田舎の小さなガレージにご依頼頂けるのは、大変有難いことです。ただのバイク好きのオッサンが、ふとした事から「XJR1200・XJR1300の専門店」として営業させて頂いて、早くも10年になります。

遠くは北海道や岩手県、福井県、沖縄県等からも、ご依頼を頂きました。シンガポール在住の方からも、ご依頼を頂いたこともありました。皆様には、本当に感謝しております。

ただ、今回お伝えしましたように、ちょっとだけワガママな親父ですので、『整備性を悪くする』カスタムパーツ付きの車両は、場合によっては整備をお断りさせて頂く事があります。もしくは、取り外した後、再装着をしない場合があります。

『オートバイは乗って楽しむもの』と考えておりますが、その楽しむ為に必要な整備が出来ないもの、取り付けることによって不具合が生じるパーツ、機能性を悪くするパーツは、どうしても許せないのです。これは、どうしても譲れない私の『こだわり』です。面倒臭いオッサンと思って頂いて構いませんが、その点だけは、どうかご理解頂ければ、と思います。

非常に高価なカスタムパーツが散りばめられた車両も、実は苦手です。気を遣うだけでなく、工具も腕も見合っていない、と思ってしまいます。これ以上、二度と使用しない工具が増えていくのも、出来れば避けたいものです。

一方で、レース志向の車両、走る為の改造やカスタムは、得意だと考えています。XJR1300専用のパーツだけでなく、他車種の流用も、面白いものです。もちろん、改造しない車両、オーバーホールだけのエンジンも、得意分野です。

今後も長く、心配しないで調子良く乗り続けるには、やはりオーバーホールが最も効果的だと考えています。エンジンだけでなく、サスペンションやベアリングのオーバーホール、交換作業は、乗り味を変えます。不安要素を減らすことにもつながります。


オーバーホールは、予約制となっております。

エンジンのオーバーホールには、時間も手間もコストも必要です。当ガレージでは、基本的には1ヵ月に1台とさせて頂いております。

予め大量の純正部品を発注し、予定を立てる必要もありますので、予約制でお受けしております。ですから、ご依頼されたからといって、すぐに取り掛かれる訳ではありません。その点は、どうぞご理解頂ければと思います。

もちろん、オーバーホールだけでなく、ライトチューニングからフルチューニングまで、お受けいたします。ご要望やお尋ね事などありましたら、お気軽にまずは『ご相談』から、お願いします。

XJR1300・1200の専門家がお一人お一人に誠意を持って、お答えさせて頂きます。ご相談は、以下のフォームからお願いします。

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