ヤマハ純正部品のあり得ない値上げ

ヤマハXJR1300のエンジンをオーバーホールするにあたり、必要とするヤマハ純正部品は、20万円を優に超えます。実際にケースを割らなければ決められないメタル類、思いがけずに破損している部品等は、その中には入っていません。まず始めに発注する、基本部品だけの値段です。
それだけの純正部品を必要とするオーバーホール作業ですが、ヤマハ純正部品は、今までにも年に1~2回の値上げを、続けてきました。1回の値上げ幅はそれほど大きくはありませんが、2回の値上げで合計5%の上昇だとすれば、20万円が1万円、高くなる計算です。
実はその程度の値上げは、近年は年中行われてきました。年に2回は、当たり前でした。その度に単価表の修正をしていましたが、今回はなんと、それまでの値上げとは比較出来ないような、大きな値上げがされました。2025年の春の出来事です。
| 旧単価 | 新単価 | 値上げ率 |
|---|---|---|
| 2,189円 | 2,541円 | 16% |
| 1,991円 | 2,310円 | 16% |
| 165円 | 187円 | 13% |
| 1,177円 | 1,375円 | 17% |
| 1,276円 | 1,485円 | 16% |
| 11,660円 | 13,970円 | 20% |
結構な値上げだと思いませんか?
単価表の修正時に、幾つかの品目を拾ってみたのですが、平均でも「16~17%」です。中には「20%」という値上げ品もあります。
世の中の様々な値上げには、もはや驚かなくなってきていますが、いくら大メーカーも大変とはいえ、これだけの大幅上げには、もはや怒りさえ覚えます。しかも、毎年のように小さな値上げを実行していたにも関わらず、です。ユーザーの事やメンテナンスの事などは、考えてはいないのでしょうか。どうも最近、ユーザーのことをあまり考えてはいないような気がしてなりません。
加工屋さんの値上げ

XJR1200が発売されたのは1994年です。排気量がアップされてXJR1300に変更されたのは1998年です。つまりXJR1300でも古い車両では、生産されて既に30年近くが経過していることになります。そう考えると、立派な旧車です。
そのような古いエンジンを分解する訳ですが、必ずと言って良いほど、いろいろな問題が発生します。
1200と1300では、排気量の変更に伴い、シリンダー回りの部品は異なりますが、基本的な構造や造りは同じです。もっと言えば、FJ1100の頃から変わっていません。そんなエンジンですが、
- 何故、その箇所をそうしているの?
- その構造は、明らかにおかしくないですか?
- その部品、間違いなく途中で変更されており、ダメになっていますよ!
そのように思える部品、構造的な欠陥、設計上のミス、と思える箇所が、幾つかあります。親しいヤ〇ハ発動機の社員の方には伝えていますが、だからといって、今更変更などされるハズもありません。ですから当ガレージでの分解時や組み立て時に、それぞれの箇所を修正したり改善する訳です。
その他にも古いエンジンですから、分解時のトラブルは付き物です。
- スタッドボルトが抜けない。
- ボルトが折れる。
- ボルトがサビており、抜き取り不可の状態になっている。
- ダウエルピンのサビや変形で、抜き取り出来ない。
- 燃焼室やシリンダーヘッドの破損。
- 異物によるピストンの破損。
以上のことは、当たり前にようにあります。ただそのような場合、当ガレージには内燃加工屋さんのような特殊工具や専門的な設備はありませんので、慣れている内燃機加工屋さんに修正を依頼することになります。特にヘッドやシリンダーの合わせ面に傷を付けると、厄介なことになります。ですから始めから専門家に依頼することも、多々あります。
そのように加工作業を依頼する内燃機加工屋さんですが、その加工費も高騰しています。どのような業界、業種でも値上げしていますので、致し方無いことなのかもしれません。
他のパーツは?

オートバイ乗りにとって、一番のランニングコストと言えば、やはりタイヤではないでしょうか。
私は長年、B社のタイヤを愛用しています。街乗り車でもレースでも、です。そのB社のタイヤですが、他社同様に値上げされており、お財布には厳しい状況が続きます。しかもハイグリップタイヤときたら、「あれっ?もうそんなに減ってしまったの?」という状況になります。
しかもタイヤは、自分で装着できません。いくらホイールを外してショップに行ったとしても、通常であれば、タイヤ交換工賃や古タイヤの廃棄処分代も掛かってきます。しかも当然なのですが、走ると、みるみるうちに減ってきます。
最近では、バイク遊びって贅沢な遊びなんだなぁ~、と思うようになってきました。
今更かよ!
と怒られそうですね。
そろそろ、値上げをお願いしようと思っています。
部品も、工賃も、加工費も、オートバイに関わる全てのものが、何度も値上げされています。大変心苦しいのですが、当ガレージの工賃も、そろそろ値上げせて頂くことになるかと思います。
現在、作業を待って頂いている方々もいらっしゃいますので、いつから、とは決めていません。なんとか年内は、現行の価格でやらせて頂くもりではいます。
はっきりと決まりましたら、またご連絡せて頂きます。
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