足周り編

エンジンの仕様については、ピストンは何を使って、ヘッドはこうして、面研磨量は幾つにして、圧縮比は幾つくらいにして、クランクはこうして、あれとこれは取り外して・・・、そんなことは、予め考えてはいました。ほぼ、その考えに沿ってエンジン造りもしていました。しかし、足周りについては、考えはまとまっていませんでした。

前後サスペンションやブレーキ、ホイールまでを新規に購入するとなると、相当な高額になります。あと何回レースを走れるのかも分からないオッサンライダーですから、贅沢は言ってはいられません。しかし、純正のサスペンションやブレーキでは、全く話にはなりません。

ストリート用の車両を作ろうと、コツコツ集めていた部品の中に、R1用の純正フォークやホイールがありましたので、それらを使おうかな、とも考えていました。そんな時、この車両が目に入りました。

FZS1000レーサー

長年の酷使に耐えて、未だに何とか原型だけは留めていますが、もうお役御免です。今は、我が家でヒッソリと余生を過ごしています。このままにしておいても、おそらく朽ちていくだけでしょう。一時、街乗りに購入したFZS1000に、使える部品は使おうかな、とも思いましたが、ベース車両が同一というだけで、冷静に見てみると移植できそうなパーツは何もありません。

念の為、チームの社長にも確認を取った上で、お疲れ様となったFZS1000レーサーから部品を移植することとなりました。特にフロント周りのパーツは、相当にレアで高額なものが付いていますので、このまま使わずに朽ちていくのは、さすがにもったいない限りです。

とはいえ、ベース車両もフレームも異なりますので、ただ移植すれば良い、という訳にはいきません。寸法を測り、削ったり、切った張ったしたり、そんな作業は必ず必要になります。新たに製作する部品も必要になります。でも、ザ昭和のバイク好きのオッサンは、そんな事がカスタムの基本だと思っています。そうやって作られたオートバイに、何度も何度も乗せて頂きました。ですから、そんな作業は、別に特別でも何でもありません。

まず使用するフレームですが、フレーム単体で保有していた「XJR1200」のものを使うことにしました。1300用ではなく1200用を使うことには、特に深い意味や理由はありません。加工を始める時、近くにあった、というだけです。そのフレームを使うにあたり、まずは不要なステーカットから始めました。詳しくは、以下のページに記載してあります。

このように、不要箇所を切り落としたフレームを、まずは塗装しました。削った箇所が多いので、サビ止めの意味もありますが、レーサーでも少しくらいはカッコを気にしたいと思い、塗装しました。

また、滅多にメンテナンスされることのないステムベアリングですが、当然交換します。ベアリングシートも含めて、新品にしました。25年以上も前のものを、そのまま使いたくはありませんからね。

もちろん、スイングアームピポッドのベアリングも、新品に交換です。このあたりのベアリング交換は、車両が出来上がってからでは、結構面倒くさい作業になりますが、フレーム単体ですから、それほど大掛かりな作業にはなりません。


ちょっと面倒なリア周り

リアホイール周りのパーツ

これらのパーツは、チェーン引きやアクスルシャフト、キャリパーなど、ホイールに関係するパーツです。以前のレーサーとは車両が異なりますので、当然ですがスイングアームも変わります。ですから、ポン付けという訳にはいきません。FZSのスイングアームに取り付けるにも、削ったり切った張ったの作業をしていますので、同様の作業をするだけです。

キャリパーの位置やハブ周り、カラーやディスク板のオフセットなど、寸法を計測する箇所、削る部品、製作するパーツ、考えるべきことは、多岐に渡ります。でも、そんな面倒くさい事をしてでも、これらのパーツは取り付ける価値があります。

私が20年以上前に乗っていたXJR1300レーサーにも、少し前まで乗っていたFZS1000レーサーにも、現在のストリート用XJR1300にも、このR周りのフィッティングパーツは使われています。このフィッティングがあると、Rタイヤの交換に、1分も掛かりません。アクスルシャフトを緩めて抜いて、ホイールを交換します。カラーは落ちません。チェーンラインも狂いません。キャリパーも動きません。そしてアクスルを締めれば、それでおしまいです。

ホイール交換、タイヤ交換が、圧倒的に短時間で楽に出来るのです。特にレーサーは、何度も何度もタイヤ交換をします。雨天になれば、短時間で交換する必要もあります。そんな時、フィッティングがノーマルのままでは、時間が掛かってイライラしますが、このフィッティングを使えば、リアだけなら30秒あれば余裕です。ですから、使わない手はないのです。

ちなみに、どこの製品ですか?とか、在庫はありますか?などといった、野暮なことは聞かないでくださいね。とっくに在庫はありませんし、当然ですがもう販売もしていませんので。

さて、スイングアームまで加工する必要はありますが、時間と手間を掛けて、何とか使用できる状態にしました。でも実際は、スイングアームを1個、ダメにしてしまいました。寸法を拾い出す際の私のミスです。削る箇所を間違えて指示してしまったのです。まあ、こんなこともあります。仕方ありません。

前後の足回りパーツを取り付けた状態

車体も、だいぶ出来上がってきました。Rサスペンションは、以前にも少しお話していた『アラゴスタサスペンション』を使用します。実際に使ったことはありませんが、鉄フレームに溝付きタイヤで、59秒で筑波を周回する数名のライダーが使っているくらいです。私のようなヘッポコライダーが使っても、機能的には何の問題もないでしょう。

自由長もスプリングも、発注時に自由に設定できますので、後から変更するコストと手間が省けます。しかも、私が今までに使ってきたサスペンションと比べ、シャフト径が明らかに太いです。見たからに剛性がありそうです。

ホイールやエンジンまで付けました。

前後のホイールを取り付け、ブレーキまで装着してみました。その状態でエンジンを積むと、だいぶオートバイらしくなってきました。

まだまだやることは山積みですが、だいぶ形になってきましたので、やる気も倍増です。


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