部品の供給とオーバーホールについて

XJR1300のエンジンオーバーホール用純正部品
XJR1300のエンジンオーバーホール用純正部品

コロナという、誰もが予想もしなかった大敵が突然現れて、世界中が混乱しています。オートバイ業界も、だいぶ元には戻りつつありますが、まだまだ完全には回復していません。

そんな昨年の秋頃でしょうか、長年お世話になっている師匠のお店が、スズキの油冷車両である「GSF1200」のエンジンオーバーホールを依頼されたようです。古くて酷い状態だったらしく、クランクシャフトも交換しよう、という話になったらしいのですが、部品を発注する段階で、何と!!!価格が80万円を超えていることが発覚し、取りやめたとのことでした。

同じ部品屋さんの担当の方が当ガレージにも来てくださっていますが、その方の話なので、本当の事でしょう。そんなフザけた価格、私にはメーカーの嫌がらせとしか思えません。もう古い車両は直すな!!と言っているのと、なんら変わりません。古いオートバイなんて直さず、修理せず、早く捨てて、新しいオートバイを買いなさい!と、メーカーが言っているのです。

カワサキは、純正部品はプラザ店でしか取り扱いできなくなる、という話も聞いています。スズキやカワサキほど酷くないとしても、ヤマハやホンダも、この先の部品供給がどうなるのかは、私には全く分かりません。部品屋さんでも、情報は何も入ってはいないようです。

XJR1300のクランク周りの純正部品
XJR1300のクランク周りの純正部品


社外品の供給は・・・

一昨年の夏頃から、社外パーツも物によっては、全く入荷しなくなりました。海外工場の具合や輸送などが主な理由のようですので、ユーザーサイドでは、それをどうすることも出来ません。今までは2週間で入荷した社外パーツが、入荷まで3ヶ月、5ヶ月、といったケースもありました。

現在では、新車だけでなく中古車の台数も減ってきていると聞きます。中古市場も値上がりしており、中古部品でさえ、数が減ったうえに高額になっているのが現状です。車両もパーツも、値上がりが激しい気がします。

XJR1300に取り付けたTMRキャブレター
XJR1300に取り付けたTMRキャブレター

工場が稼働しなかったことが一番の原因ですが、TMRキャブレターも半年近く待ったケースがありました。それでなくてもインジェクションの時代です。キャブレターが売れない今、高性能のレーシングキャブレターは、以前と比較してごく僅かしか生産されていないようです。メーカーがいつまで生産してくれるのか、心配になります。

各用品メーカーやパーツメーカーから、『XJR1300用TMRキャブレター』がカタログ落ちして、随分と時間が経ちます。XJR1300用として、どこがTMRキャブレターを販売しているのかまでは、私は把握していません。販売しているのか、それとも、どこも販売していないのか、分かりません。

ただし当ガレージでは、XJR1300用ミクニTMRキャブレターを入手出来ます。取り付けからセッティングまでをご提供できます。もしTMRキャブレターを装着したいとお考えであれば、お早めの購入が良いかもしれません。


オーバーホールは今後、難しくなるのか?

XJR1300の純正部品は、全て国内生産だと聞いています。コロナ禍でも、そう遅くならずに入荷できているのは、とても有難いことです。

ただここに来て、部品の『販売終了』が、少しずつ始まるかもしれません。今までも販売終了、つまり廃盤は幾つかの部品で始まっていましたが、外観の色違いだったり仕上げの変更だったりで、機能的には殆どの部品は代用出来ていました。しかし、とうとうインジェクション車のパーツでは代用できない部品が、『販売終了』になりました。つまり、もう新品部品が手に入らないということです。

オーバーホールとは、消耗部品や傷んだ部品を交換し、新品の状態に戻すことを言います。しかし、新品部品の販売終了(廃盤)が進めば、お金を掛けても今までのようにオーバーホールが出来なくなります。

自分が大好きな車種がそうなれば、悲しいです。しかし、メーカーの決めることですから、私たちにはどうする事も出来ません。出来ることがあるとすれば、少しでも早いうちに、多くの部品が入手出来るうちに、オーバーホールをすることくらいでしょう。そうすれば、販売終了部品も少なくて済みます。多くの消耗部品を新品に交換出来ます。

現在、私が把握しているキャブレター車のエンジン部品で、本来であれば交換したい『販売終了』部品は、1点だけです。この部品は、2007年式以降のインジェクション車のパーツでは、形状が異なっており代用できません。今までは、オーバーホール時には交換していた部品です。交換しなくても、おそらく大きな問題は発生しない部品でしょう。ただ怖いのは、『販売終了』が他の部品にも及ぶことです。

スズキやカワサキの部品供給の話を聞くと、本当に『もう直さないで捨ててくれ』とメーカーが言っている気がします。ヤマハ発動機という企業は、そんなことを今すぐはしないと信じてはいますが、時代の流れは間違いなく内燃機には厳しくなっています。そう遠くない将来、作られなくなる運命です。

でも、オートバイの楽しさを知ってしまっている私たちが元気なうちは、直し続けながらガソリンエンジンのオートバイに乗り続けたいものです。


オーバーホールはお早めに

いつ純正部品の供給が終わるのか、私には全く分かりません。メーカー勤務の友人に聞いても、全く分からないようです。ヤマハが、カワサキやスズキと同じようになるのかさえ、分かりません。

XJR1300のキャブレター車は、一番新しい2006年式でも、既に16年は経過しています。初期の車両では、23~24年にもなります。この先も楽しく調子よく乗りたいのであれば、今がオーバーホールの最後のチャンスかもしれません。

部品の供給がなくなれば、いくらお金を出したところで、オーバーホールは不可能になります。そんな時代が来る前に・・・。

ヤマハXJR1300のことであれば、どのようなお悩みやお問い合わせでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

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