XJRレーサーの構想

XJRレーサーの製作にあたり、コンセプトなどというものを、ぼんやりとですが考えてみました。

  • 扱いやすいパワーと、長持ちするエンジン。
  • 人と同じようには造らない。

これを踏まえた上で、エンジンや車体の構成を考えてみました。

車体構想

  • 軽量化の実現
  • 剛性感
  • セパハンでのチャレンジ

今すぐに思い浮かぶのは、こんなところでしょうか。

私はコーナーの立ち上がり加速が下手です。体重が重いこともあって、なかなか立ち上がりからストレートで抜けることはありません。でも、前を走るライダーは抜きたくなります。レースでも、練習走行でも、です。

じゃあ、ストレートで抜けないのなら、どこで抜けば良いのでしょうか・・・?
減速時、つまりコーナーへの突っ込みしかありません。コーナーへの突っ込みで抜くには、前を走るライダーと同じところで減速を始めていても、一生抜くことはできません。抜くには、相手よりも奥で減速を始める必要があります。簡単に言えば、『突っ込み勝負』ということです。

若い頃からそんな走り方をしてきましたので、F回りの剛性感は、常に求めてきました。しなやかな動きはもちろん重要ですが、それよりも剛性感が欲しいのです。皆が使っているゴールドの43φに興味がないのは、そんな事も理由の一つです。

軽量化ですが、まずはこんなところから始めてみました。

XJRレーサーに使用するフレーム

これは、今回製作するXJRレーサーに使用するフレームです。特別なことは何もありません。ただの純正フレームです。

しかしレースに使うのですから、不要なステー類が沢山あります。まずはそれらのカットから始めていきます。

XJRレーサーに使用するフレーム

ちょっと頑張って、これだけの不要ステー類をカットしました。多少の軽量化につながりますし、不必要でジャマなステーが無くなるだけで、スッキリします。

XJRレーサーに使用するフレーム

いくらレーサーと言っても、多少は見栄えも気にしたいものです。不要ステー類をカットした部分は、切りっぱなしではなく、この程度まで滑らかに仕上げた上で、塗装しようと思います。

歩いて1分のところに、板金塗装屋さんがあります。オートバイ好きな方がやっていますので、いろいろと助けてくれます。サビ防止の意味も込めて、塗装してもらおうと思っています。

もう一つ、今回チャレンジしたいことがあります。セパハンのチャレンジです。

「何を今更・・・」
と言われそうですが、昔、XJR1300レーサーを走らせていた頃、いろいろなテストもしてきました。その中でも、結局上手く走れずにNGになったパーツに、セパハンがあります。

オートバイの造りが、そもそもコーナーをスイスイと走るようには設計されていません。そんなオートバイを、何とかレースに使えるように改造して遊んでいるだけです。

長さの違うスイングアームも、何通りかテストしました。ハンドルも、数種類テストしました。でも、どうやってもセパレートハンドルになると、無理が出来なくなったものです。

アップハンドルにすると、股の下でオートバイを振り回せる感覚になるので、S字や切り返しが、とても楽になります。反面、セパハンになると、「どっこいしょ」といった感じで切り返さないといけなくなります。この感覚が、どうにも馴染めませんでした。

以前に長い間走らせていた「FZS1000レーサー」は、セパハンでした。現在走らせている「FZS1000WR」という名称の車両も、セパハンです。何とかなりそうな気もします。まだ理由はお伝えできませんが、今回はセパレートハンドルでチェレンジしてみようと考えています。

筑波を走っているXJR1300を見ると、案外とアップハンドルが多い気がします。

さて、実際に出来上がった車両で走行して、どうなのか・・・
やってみなければ分かりません。もしダメなら、アップハンドルにすれば良いだけの話です。


エンジン構想

エンジンに関しては、前回にお伝えした通りの内容で造ろうと思っています。まず、間違いなく使わないであろうパーツ類は、以下になります。

<使わないパーツ>

  • オーバーサイズピストン(ボアアップ)
  • キャリロコンロッド
  • チタンリテーナ
  • インナーシム
  • クロモリ製スタッドボルト
  • 極端なハイリフトカム

今までの経験から、これらのパーツを使わなくても「160馬力程度」は、十分に可能です。メンテナンス頻度、ランニングコスト、製作コスト、扱いやすさ等を考えると、このあたりが一番良さそうな気がします。

これを書いている3月13日現在、既にエンジンは出来上がっています。しかし、車体がまだ完成していません。細かな作業や製作するべき物が、幾つも残っています。

何とか3月末には、エンジンを始動させるところまで行きたいのですが、どうなることやら・・・


XJRレーサー製作を記事にする理由は?

本当であれば、毎回のお客様のエンジン作業などを、もっと詳細に書けば良いのだろうと思いますが、そうなると、どうしても「ネガな部分」が多くなってしまいます。コストと時間を使ってオーバーホールをご依頼下さっているのですから、お客様にとっては大きな悩みや改善したい部分がある訳です。

すると、当然ですが傷んでいたり磨耗していたり汚れていたり破損していたり・・・、そんな部分は幾つもあるものです。それらの部分のために作業内容が大変になるのは、考えてみれば当たり前のことです。しかし、それらを文章にすれば、それはただの愚痴でしかありません。作業者である私の、ただの愚痴です。間違いなくそんな内容は、どなたも聞きたくはないでしょう。

出来上がったと思われた車両から、その後、7回もキャブレターを外し、内部を確認したことがありました。エンジンが始動した車両のエンジンを再度降ろし、シリンダーまで外したこともありました。どれも、作業者のミスではありません。しかしお客様にとっては、誰のせいとか、何故そうなったか等は、関係ありません。調子良く走りたい、心配せずに長く楽しみたい、その為のオーバーホールなのです。

それらの事を考えると、日常のエンジン作業は、書けない内容がいろいろとあります。しかし、それが自分の車両だったら、自分のエンジンだったら、好きなことを書く事ができます。どんな内容でも、書くことができます。

もし、通常のエンジン作業がどのような内容かを詳しくお知りになりたい方は、お越し頂いて直接見てください。それが、一番早いかもしれません。

ヤマハXJR1300のことであれば、どのようなお悩みやお問い合わせでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

XJR1300のスペシャリストが、お一人お一人に親身になってご回答いたします。
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