XJRレーサーの製作を始めました。

20年前に走らせていたXJR1300レーサー
20年前に走らせていたXJR1300レーサー

以前に少しはお伝えしているかと思いますが、筑波サーキットで開催されている『テイスト・オブ・ツクバ』というレースに、いい歳した今でも出場させてもらっています。

ただ、私が出場している「HERCULES」(ハーキュリーズ)というクラスですが、最近の出場メンバーやタイムは、もはや草レースと言えるものではありません。頑張って0秒台で走っても、ビリ争いです。昨年秋は、予選でトラブルが発生してしまいましたが、グリッド表を見ると、2列目6番手までが「58秒台」です。

HERCULESクラスの予選結果

1週目はアウトラップ、3週目はエンジンストップして惰性でタワー前を通過しましたので、実際に走ったのは正味1周でした。とはいえ、ビリはビリです。

友人の伊藤に「ウチの新人を紹介しておくよ♪」と言われて紹介されたのが、柳川選手です。しかもマシンは、スーパーチャージャー付きの「H2R」です。完全に、普通のバイク好きのオジさんが走ってはいけないクラスになっています。

決勝前に、同じくトラブルで走れなかった茂木ちゃんと、
「こんな激しくて危ないクラスは、もうやめようよ!」
と話をしていました。

「タイムもライダーも、完全に全日本だよ!ウチら、今まで頑張ってきたから、もう違うクラスに行っても、誰も怒らないよね。」

そんな事を話していましたが、今のマシンでは他のクラスを走ることは出来ません。他のクラスを走るには、マシンが必要です。XJR1300でストリート用のコンプリートマシンを製作する準備をしていましたが、予定を変更して、急遽レーサーを造ることにしました。

エンジンはあります。軽量加工済みのクランクやポート加工したシリンダーヘッドもあります。フレームもあります。足回りは、以前に走らせていた「FZS1000レーサー」から移植しましょう。ブレーキも同様に、移植しましょう。そう考えると、何とかなりそうな気がしてきました。

FZS1000レーサー
以前に走らせていたFZS1000レーサー

この車両は、以前に走らせていたFZS1000レーサーですが、現在は使われていません。私の自宅に鎮座しているだけです。メンテナンスすれば、まだまだ使えそうなパーツが沢山あります。

前後ホイールやFフォーク、ブレーキ等を移植して使ってみようと考えています。

あっ!
「このFフォーク、何用ですか?」とか、
「どこに売っているんですか?」といったご質問には、申し訳ありませんが、お答えできません。

『ヤマハ純正です♪』
『カタクラオリジナルです♪』


コンセプト

昔、まだ私がテイストというレースにXJR1300で出場していた頃、幾つかのショップが大パワーのXJR1300を造り、同じクラスに出場していたことがありました。

一緒に走り、間近で見て思ったのは、『有り余るパワーは、ジャマになる!』ということでした。そのようなXJRレーサーの特徴は、「ドラッグエンジン」と言えるような、パワーはあるけれどサーキットを走るにはどう考えても向いていないエンジンを積んでいることでした。

XJR1200・1300のエンジンには、アメリカ製のドラッグ用パーツが使えます。前身のFJ時代にドラッグレースで使われていたパーツが数多く存在し、それらを使うことで、エンジンパワーを増やすことが容易に可能なのです。

ボアを極限まで大きくし、ヘッド加工しなければ使えないようなハイリフトのカムシャフトを使い、チタンリテーナでインナーシム化し、ハイリフトカムが回転しても縮むようなバルブスプリングに交換したうえで、コンロッドを強度の高いキャリロ製に交換し、高圧縮に耐えられるように伸びないクロモリ製スタッドボルトを使い・・・。

そんなエンジンを積んだXJR1300を、何台か見てきました。でも、ショップが威信を掛けて製作するならまだしも、個人で製作・維持するのは、どう考えても現実的ではありません。しかも、乗っても全く楽しそうではないのです。

新たにXJR1300レーサーを造るにあたり、コンセプトを考えてみました。

  • 扱いやすいパワーと、長持ちするエンジン。
  • 人と同じようには造らない。

ドラッグ的なエンジンは、絶対に造りません。インナーシム化もしません。キャリロコンロッドも使いません。そこまですると、製作コストは跳ね上がります。エンジンライフは短くなり、メンテナンス頻度が高まります。ランニングコストも上がります。トラブルの確率も高くなります。

何より、走っていても楽しくないエンジンになります。そんな車両を何台も見てきました。

『200馬力出ているんだ!』
と自慢しても、タイムには直結しません。少し開けただけで竿立ちになり、ストレートは全開に出来なくなります。しかもコストは掛かります。タイヤの消耗も激しくなります。

現在の1,000ccスーパースポーツは、制御が発達しているから走らせることが出来ます。でなければ、200馬力なんて無用の長物です。

インナーシム化はせず、キャリロも使わず、せいぜい160馬力程度で抑えていれば、簡単には壊れず、なおかつ長持ちするエンジンが出来るかな、と考えています。ですから、160馬力が一つの目標です。

ボアも、大きくはしません。大きくすれば簡単にパワーは出ますが、ピストンが重くなりますので、高回転では不利です。シリンダー製作にもコストが掛かってきます。コンロッドにも大きな負担が掛かるようになり、コンロッドが折れるリスクを解消するためにキャリロも必要になってくるでしょう。

だから、ほどほどで抑えたいのです。ですからボアサイズは、STDの79φで行く予定です。

『人と同じようには造らない。』

これには、難しい理由なんて何もありません。皆と同じでは、なんだかつまらない、そんな程度の理由です。

昔から、アイデアや工夫、労力を掛けて造られてきたオートバイに、何度も乗せて頂ける機会がありました。造る楽しさを、教えてもらいました。工夫する面白さを、学びました。そんなオートバイを走らせる楽しさを、身を持って味わってきました。

痛い思いもしました。怖い思いも経験しました。でも、こうして今でも元気でオートバイをイジり、走らせることが出来ています。

今とは違って、○○用なんて設定の無い時代から、あらゆるカスタムをされた車両に乗せて頂いた経験があります。ですから、XJR1300用として用意されたパーツを寄せ集めて造った車両には、全く興味はありません。誰もが使っている43φのゴールドフォークにも、興味はありません。

知っている方なら、
『あっ、カタクラのバイクだよね♪』
そう言われるような車両にしたいと思っています。

ヤマハXJR1300のことであれば、どのようなお悩みやお問い合わせでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

XJR1300のスペシャリストが、お一人お一人に親身になってご回答いたします。
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