試作マフラーを筑波でテスト

野島エンジニアリング製レース用マフラーの試作品
野島エンジニアリング製レース用マフラーの試作品(サイレンサーは別)

XJR1300用の試作マフラーですが、私の車両でのフィッティングでは問題ありませんでしたので、まだ寒い中、筑波サーキットに持ち込んで、実際の走行テストを行ってきました。テストの主な目的は、以下の2点です。

  • バンク角の確認
  • 出力特性の確認

バンク角の確保は、自分のレーサーで使用するに当たり一番重要な項目と考えていますが、それを満たせそうな市販マフラーが、なかなか見当たりません。他のライダーの方が使用しているマフラーを見ても、良さそうな物がありません。市販品を加工して使っているライダーもいるくらいです。ならば作ってしまおう!と考え、今回の試作マフラーの製作に至った訳です。

集合部の形状や方式、エキパイやテールパイプの太さの違いから出力特性が変わる、ということは、以前から頻繁に言われていることです。昔から「4-1」は高回転型、中低速のトルクを活かしたいなら「4-2-1」などと言われています。エキパイの太さでも、トルクの出方が変わるとも言われています。そのあたりも、今回の試作品はどうなのかを、テストで確認する必要があります。つまり、走行テストは必須である、ということです。


朝一番にマフラー交換作業です。

多少は暖かくなってきたとはいえ、筑波サーキットの早朝7時前は、まだまだ寒いです。そんな中で、まずはテスト車両へのマフラーの取り付けです。使用しているマフラーを取り外し、今回のテストマフラーを取り付けることから始めます。

取り付け方法は、私の車両へのフィッティングも同様に行いましたが、まずはエキパイ4本を別々に仮止めして、その後、集合部を装着していきます。

エキパイを別々に取り付ける

集合部を取り付ける

テールパイプを取り付ける

これらの写真は、私の街乗り車でフィッティング確認した時のものですが、作業の順序は概ね同じです。ただ寒かったので、筑波では写真を撮り忘れました。

なぜ、組み立ててからではなく、このようにパーツを別々に取り付けたかと言えば、以前のフィッティング作業の際、オイルパンの突起部がマフラーと干渉してしまったからです。その時も、作業の進め方は同じだったのですが、干渉の有無やクリアランスを、その都度確認しながら取り付け作業をしたかったので、このような作業手順になりました。


装着時の確認事項

テスト用マフラー

XJR1300のオイルパンには、3箇所に突起があります。写真の赤丸で2箇所、エンジン右側にもう1箇所、合計で3箇所です。この突起を削ると、エンジン単体での座りが非常に悪くなります。エンジンを降ろして整備することを考えると、間違いなく必要です。

以前の2回のフィッティング時は、エキパイに「黒矢印」が書き込んでありますが、突起部とマフラーが干渉してしまいました。ただ、幾つかのパーツを組み合わせるのですから、取り付け方や組み方の違いで、多少の位置の変化は十分に有り得ます。そんな事も考えて、パーツ一つずつを取り付けながら、干渉していないか、クリアランスはどうなのか、そんなことを確認しながら取り付け作業を行いました。

薄いチタン製のパイプですので、干渉した状態で走行すれば、おそらく簡単に穴が開いてしまうでしょう。しかし今回は、どこにも干渉はしていませんでした。

テスト用マフラー

テスト用マフラー

以前に気になっていた、サイレンサー部の外側への角度も、ちょうど良い具合に変更されていました。サイレンサーがあまり外側に向いていると、ちょっとカッコ悪い気がしますが、今回は非常に良い感じです。以前と比較して、グッとスマートに見えます。


走行後のコメント

テイストオブツクバでも、入賞するくらいの腕があるライダーの方ですから、そのコメントや走行時の感じ方は、非常に有益なものです。久しぶりの走行であること、また寒い中での走行であることから、無理せずに走って欲しいと伝えていましたが、楽しくなってきたのか、最後はベストの1秒落ちのタイムで走っていました。

テスト走行後、すぐに感想を聞き取りました。このような感想は、走行後すぐが一番良いです。テレビで見る「モトGP」でも、多くのライダーは走行後すぐにピット内で何かを話しています。伝えたいことを、クルーに伝えています。それと同じですね。体感した直後の感覚を聞き取っている、ということです。

さて、ライダーの走行後のコメントです。ただし、どうしても普段使っているマフラーとの比較になってしまいます。ライダーとしては、それが基準となりますので、これは仕方がありません。

ですから、他のライダーの方にテストしてもらえば、多少はコメント内容や感じ方も変わるということです。以上の事を予めご了承のうえ、参考にして頂ければと思います。

  • バンク角は問題ない。OK!
  • 高速域、高回転時は良く回る。
  • 最高速度は、ベストタイム時よりも速い。
  • エンブレの効き具合が緩和された。
  • 低回転時に、少し「モタつき感」がある。

バンク角は、ダンロップ手前や最終コーナーで足りなくなる場合が多いものです。しかし、ベストタイムの1秒落ちで走行しても、コーナリング中にマフラーを擦ることはありませんでした。足回りのセッティングで車体姿勢も変わってくるものですが、今のところは十分に合格です。

高回転時の伸びは、今使っているマフラーよりもずっと良い、とのことです。有料で計測してもらえるデータによると、ベストタイムが出た時よりも、裏ストレートでの最高速が速くなっている、とのことです。これは素晴らしい!!

ただしその反面、低速域では少しモタ付く感じがする、とのことでした。より中高速寄りになったということでしょう。

ただ特筆すべきは、エンジンブレーキの効き具合が良くなった、緩和された、とライダーが感じている点です。これは、独自の集合部の形状によるものと、ライダーの方は考えています。

以上のような感想から、私としては十分に今回の試作品は合格だと感じました。その旨、帰宅後に野島エンジニアリング様の担当者にお伝えしました。


特注マフラーの販売条件

今回のマフラーは、基本的にはレース用として製作して頂くものです。サイレンサーを公道使用可能な物を使えば、もちろんストリートユースにも使えます。しかし、レース用として形状を決定しましたので、以下の条件は守って頂くこととなります。

  • センタースタンドは不可
  • センタースタンド取り付け部の切除
  • タンデムステップは不可

不要なセンタースタンドステー
不要なセンタースタンドステー

これが、センタースタンドのフレームから伸びるステーです。こう見ると、大きくて重そうで、マフラー製作の際に大きな制限をされる理由が、お分かりになるかと思います。

センタースタンドステーを切り落とした状態
センタースタンドステーを切り落とした状態

センタースタンドを使わない方には、大きくて重くて不要となるセンタースタンドステーです。お客様が切除をご希望された場合、当ガレージでは切り落とします。これが、フレームから切り落とした状態です。

これでも多少は、残った出っ張りを削っていますが、間違ってもフレームを切りたくはありませんので、どうしてもステーの一部は残ります。

センタースタンドステーを切り落とし、キレイに仕上げた状態
センタースタンドステーを切り落とし、キレイに仕上げた状態

当ガレージでエンジンを降ろした際に、この不要なセンタースタンドステーを切除する場合は、この写真のように、残った出っ張り部をキレイに削り取り、滑らかに仕上げた後、塗装まで行います。

今回の特注マフラーは、センタースタンド、センタースタンドステー、タンデムステップは、初めから考慮に入れておりません。ですから、干渉した、当たって取り付けられない、といったクレームは、一切受け付けません。

また、どうしたらタンデムステップを取り付けられるか、等といった、取り付け条件を無視したお問合せにも、申し訳ございませんが、お答え出来ません。ご注文頂く際は、その点はご了承のうえでお願いできればと思います。

販売は、サイレンサーレスの状態です。つまり、サイレンサーは付属しません。野島エンジニアリング様でも、様々なサイレンサーを購入できますが、「60.5mm」サイズであれば、他社のサイレンサーでも使用できます。

レース以外でご使用されます場合は、サイレンサーはご自身でご用意のうえ、音量や取り付けは自己責任にてお願いいたします。


特注マフラーの販売価格

エキパイは、チタンの手間げになります。また、コニカルヘッダーと言われる、途中で太さが変わる特殊な形状になっており、出力アップにも貢献しているものです。前半部は「φ38.1」ですが、途中から「φ42.7」と太くなっているのが特徴です。

チタン手曲げ、コニカルヘッダー、サイレンサーレスでの価格です。

  • 165,000円(税別)

となります。機械曲げタイプはありませんので、ご注意ください。また現在の納期ですが、約3ヶ月程度は必要なようです。


特注マフラーのご注文

特注マフラーの購入を希望される方は、まずは下記のフォームからお願いします。お問合せ内容に『特注マフラー希望』とお書きください。

また、マフラー注文に際しては、前金を頂戴させて頂きます。前金の入金確認をさせて頂いた後、野島エンジニアリング様に発注いたします。当ガレージでマフラーを在庫することは本位ではございませんので、その点はご理解をお願いいたします。

野島エンジニアリング様のサイレンサーも同時に購入される方は、品番や品名をご自身にてお選びください。レース専用サイレンサーもご用意できます。