試作マフラーのフィッティング2

『旅に出ます。探さないでください。』

そう言い残して長旅に出ていた私の愛車ですが、2ヶ月ぶりに帰ってきました。役目を果たした後は、おそらく倉庫の肥やしだった思われます。ちょうど、空荷で四国から帰ってくる知人がおりましたので、帰りに少し寄り道してもらい、持ち帰ってもらう事にしました。

これでN君にちょっとだけ借りが出来たような気もしますが、昨年末に飲んで我が家に泊めましたので、ちょうど「貸し借りなし」くらいとしておきましょう。


2度目のフィッティング

試作マフラーのフィッティング作業

オイルクーラーを外し、エキパイを1本ずつ取り付けていきます。その後、集合部を取り付けていく予定です。

XJR1300のオイルパン部には、3箇所の突起があります。ドレンボルトの前に1箇所、その10センチくらい後方の左右にそれぞれ1箇所ずつ、計3箇所です。このマフラーメーカー様のマフラーは、実は20年以上も前、XJR1200の時代に使っていました。おそらくその頃から、この3つの突起の避け方は同じような気がします。その突起が今回の試作品では、何故か干渉してしまうのです。

そんな事がありましたので、エキパイだけをまず装着し、その後、集合部を取り付けて、以前のフィッティング時に干渉していた箇所をよくチェックしてみたい、と思っていました。

試作マフラーのフィッティング作業

この集合部を見ればマフラーメーカーが分かるかと思いますが、もう隠す必要もありません。『ノジマエンジニアリング様』です。

自分用にもう一度、XJR1300レーサーを作りたいな・・・、ボンヤリとですがそんな事を考え始めた時、現在のマフラー業界を改めて見てみましたが、特に『これを装着したい!』と思えるマフラーは、正直に言えばありませんでした。

長年、関東圏の一部では有名だった『小林管』を使っていましたが、小林さんがマフラー製作を辞められた今、それに替わるマフラーを探せないでいました。

私が今回、一番に求めるのは、『バンク角』です。XJRでは、もう15年以上サーキットを走っていませんが、以前はバンク角に悩まされたものでした。しかし、小林管がそれを解決してくれました。

「チタン製で軽くて高性能で、なおかつバンク角が確保されたもの」
「転倒等での破損時に修理可能なメーカー」

そんなマフラーを探してみましたが、良さそうな物がありません。同時に、幾つかのメーカー様や製作所に「バンク角を確保した専用品」の製作をお願いしましたが、ノジマエンジニアリング様だけが、そんな私のワガママを快く受け入れてくれたのです。

コロナバルブの影響かお忙しいようでしたが、数ヶ月経って、今回の試作品を作って頂けました。どこも特注品など相手にしてくれない現状、快く受け付けて下さったノジマエンジニアリング様は、非常に有難い存在です。長年に渡りマフラー製作をしてこられた実績は、非常に心強いです。

現在では事業をお譲りされたようですが、創業者の野島さんとはレースの時、同じ宿に宿泊した事もありました。髭をたくわえた、いかにもお酒の強そうな風貌でしたが、全く飲めないという事をお聞きし、驚いたものです。


問題なさそうです。

試作マフラーのフィッティング作業

今回手直しされたというテールパイプも、取り付けてみました。ちょうど純正状態だと、センタースタンドが付いているあたりです。初めから『センタースタンドは取り外し、その取り付けステーはフレームから切除した上で使用する。』と伝えておりましたので、センタースタンドの制約を取り除いて、テールパイプの形状を検討して欲しかった、ということです。

センタースタンドを避けるためにバンク角が犠牲になるマフラーは、当たり前のように存在していました。サーキットを走るうえで、バンク角の確保という問題は、マフラーに求める最重要項目です。バンク角が制限されることだけは、どうしても避けたかった、というのが本音です。

試作マフラーのフィッティング作業

とりあえずガレージ内にあったノジマサイレンサーを、取り付けてみました。以前のフィッティングの際、ちょっと気になっていた部分も、解消されています。カーボンではなく、今時のチタンサイレンサーを付ければ、もっとカッコ良く見えるでしょう。

この後は、実際に走行してみる必要があります。実績を考えれば、まず問題ないはずですが、吹け上がりやトルク、パワーの出方をチェックしながら、筑波サーキットを実際に走行してみる予定です。まだまだ寒い時期ですので、あまり本気では走れませんが、バンク角も確認したいと思います。そこまでやってみて、何も問題なければ、その旨、ノジマエンジニアリング様にお伝えして、今回の試作品と同じ形状の『型』を作って頂く運びとなります。

実走テストは、できるだけ近いうちに行いたいと考えています。マフラーは私の手元にありますので、テストして頂けるXJRレーサーを所有している方に筑波サーキットまで来て頂き、朝一番でマフラーを取り付けた後、走行する予定です。

どうせ筑波サーキットまで行くのですから、昨年秋のレースでエンジンストップし、走行不能になった私のレーサーも持ち込んで、直ったかどうかの確認も行いたいと考えています。こればかりは実際に走行してみませんと、直ったかどうかの確認が出来ません。エンジンは掛かり、コーションランプは消えましたが、走行してどうなのか、再度、同じ現象が起きないのか、テストするということです。

まだ寒いですので、無理せず、あくまでもテストとして走ります。マフラーテストも同様です。あくまでもテスト走行です。こんな寒い中、無理しても良いことなど、一つもありませんからね。


小林管の復活

以前のオーバーホールの際、集合部あたりのエキパイ数本にクラックが入っていましたので、チタン溶接の出来る方に修理をお願いしていました。ついでに昔のレースの時の転倒で、オイルクーラーと干渉して出来たエキパイの凹みも、ずっと気になっていましたが、直して頂くこととしました。

小林管の製作者である小林さんは、元ヨ○ムラの方でしたが、やはり元ヨ○ムラの肩書きを持つ、同じ苗字の方に、修理を依頼していました。それが出来上がっていましたので、取り付けることにしました。

修理の終わった小林管

20年以上前になりますが、「もて耐」に出場していた頃、YZF-R1に小林管を使わせて頂いていました。その時、薄いチタンパイプで作られたマフラーでしたが、アンダーカウル内にこもる熱が原因と思われるクラックが、集合部に何度も発生したことがありました。チタンの材質を厚くしてテストもしました。それでも耐久レースですから、長時間走る中で、何が起きるのか分かりません。

そこで、クラックの心配を無くすために、重くなりますが集合部だけをステンレスで製作して頂けることになりました。ステン材の集合部では、一度もクラックは発生しませんでした。そんな経緯もあり、XJRレ-サーに使用していた小林管の集合部も、念の為にステンレス製に変更した、ということです。それ以降、ずっと集合部にはステンを使用していました。

小林管の集合部

チタン製の使用していない、キレイな集合部を持っていましたので、重いステンレス製よりも差し込まれるエキパイのクラックは発生しにくいだろうと考え、ステン製の集合部をチタン製に交換することにしました。写真下が取り外したステン製で、上のエキパイと組み合わせてある集合部が、未使用のチタン集合部です。

独特の形をしています。中は、「4-2-1」方式になっています。今見ても、惚れ惚れするような、美しい形状です。これからも街乗り車で、頑張って働いてもらうことにしましょう。

久しぶりに取り付けた小林管

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