Fサスペンションの決定と、静岡への旅

XJR1300でスポーツ的な走行をしようと思えば、Rサスペンション以上にFサスペンションが重要になります。

XJR1300とは、そもそもスポーツするなんて全く考えられていない、のんびりツーリングには最適なオートバイです。ですからちょっとブレーキを強く掛ければ、Fサスは一気に沈みます。踏ん張る気配は微塵もありません。ブレーキング時にもコーナリング時にも、剛性感は全く足りません。

個人的には、ここを何とかしたいと思っています。ただ、カスタム業界や巷では誰でも当たり前に装着している、「43φのゴールドフォーク」は、絶対に付けたくはありません。付ける気も買う気も、ありません。人と同じことをしてもつまらないし、ポン付けカスタムは、誰にでも出来ることです。『XJR1300用』として販売されているものであれば、知識も経験もなく装着できます。

でも、天邪鬼(あまのじゃく)なもので、そんなカスタムはしたくないのです。師匠とも言うべき「カタクラオート」の社長も、そんな方です。今までに何度も、ビックリするようなカスタムをこの目で見てきました。実際に何度も乗ってきました。ですから、師匠のそんな気質も受け継いでいるような気がします。


使用するFフォークは・・・?

お金に糸目をつけないのであれば、オーリンズのレース用倒立フォークがベストでしょう。一度はXJR1300に装着してみたいものです。でもそれでは、明らかに「猫に小判」、「宝の持ち腐れ」となること間違いなし、です。贅沢過ぎますね。


コンプリートマシンには・・・?

2CR・YZF-R1用フロントフォーク

2CR・YZF-R1用フロントフォーク

私が個人的に作るコンプリートマシンには、このFフォークを使います。2015年式以降のヤマハYZF-R1・2CR用の純正フロントフォークです。現在のレース用車両にも使われていますが、純正とは思えないほど、剛性感もサスペンションの動きや吸収性も、素晴らしいものです。私ごときの腕では、何の問題もありません。というよりも、今の私にはオーバースペックなフロントフォークです。

ちょっと小ネタになりますが、このYZF-R1(2CR)が出た際、サスペンションはバネを変更しただけの車両で、鈴鹿サーキットでテストした際、6秒台を二人のライダーが出したそうです。150万円とか200万円とかする高価なオーリンズサスペンションではなく、純正サスペンションに少し硬いバネをセットしただけの状態、ということです。これには驚きです。

たかが純正サスペンションかもしれませんが、このFフォークには、それだけのパフォーマンスを発揮できる能力がある、ということです。おそらく私がどれだけ頑張ったとしても、その能力の10%も使えないとは思いますが、良い仕事をしてくれることだけは確かでしょう。

ただ、最新のスーパースポーツマシン用ですので、当たり前と言われれば当たり前なのですが、XJR1300に使うには、長さが少々足りません。また、2CR用のアンダーブラケットを使うと、オフセットが少々問題になりそうです。アンダーブラケットで締め付けるアウターチューブの位置も、問題になりそうです。

オフセットをいくつにするか、アンダーブラケットは何年式の物ならアウターチューブのテーパー部に干渉しないか、いろいろと調べる必要はありますが、そんな作業も楽しいものです。

長さは、アカホリエンジンサービス(以前のウイニングラン)で延長キットを製作してもらえば、何とかなりそうです。とはいえ、XJR1300の純正フォークの長さは、必要ありません。長すぎます。オフセットも、XJR1300と同じにはしたくありません。せっかくのスポーツ性能が、損なわれます。

こんな時、XJR1300で実際にいろいろと試してきたことや、レーサーの時のデータ、現在のツーリング仕様のデータ等が、非常に活きてきます。


レース用マシンには・・・?

5VY・YZF-R1用フロントフォーク

5VY・YZF-R1用フロントフォークを装着したXJR1300

友人のために製作するレース用XJR1300の車体ですが、同じYZF-R1でも少し前の年式の「5VY」用を使います。下の写真は、以前に製作したお客様のもので、「5VY」のフロント回りを使っています。なので、イメージは同じです。

このFフォークも、XJR1300に使うには、長さが足りません。パイプハンドル仕様にしますので、トップブリッジも変更する必要があります。

前後ホイールも、同じ年式の5VY用純正ホイールを使いますが、これだけでXJR1300の純正と比べたら、相当に軽くなります。Rサイズは「5.5 ⇒ 6.0インチ」に太くできます。ですが装着するには、フィッティングを製作する必要があります。

両方の車両でFフォークの延長が必要なこと、製作するべきパーツが他にも幾つもあることから、いろいろとパーツを持参した上で直接アカホリエンジンサービス様に出向くことにしました。


静岡への旅

調べたところ、アラゴスタの二輪用サスペンションをプロデュースしている本社アンテナショップは、静岡市にある「Garage Moto tech」というショップでした。以前の記事のゼッケン5番に乗るU君に、事前に電話で事情と要望を伝えてもらったところ、快く了承して頂けましたので、アカホリエンジンサービス様に行く前に、寄っていくことにしました。


Garage Moto tech

静岡県静岡市にあるGarage Moto tech

2月某日、静岡県への旅に、レース用の車体作りを依頼してくれた友人と一緒に、二人で行くことになりました。東名高速を走ること約1時間半、清水インターで降りて少し走ったところに、「Garage Moto tech」(モトテック)はありました。

代表の杉山さんとは初対面でしたが、共通の知人がいることや、前回の記事の短足コンビのM君とU君の話、また加賀山選手の話などで盛り上がりました。

この先、まだ行かなければならない所が2箇所ありますので、あまりゆっくりは出来ません。今回お願いするツインショック2セットの使い方や希望する長さ、バネレート、選択できるカラーなどをお伝えし、製作依頼をしてきました。

また、当ガレージでのアラゴスタサスペンションの取り扱いも、許可して頂きました。もちろん当ガレージで取り扱うのはXJR1300用だけですが、XJR1300であれば、好みや乗り方、体重などから、初期の設定を決めるお手伝いも出来ると思います。もしXJR1300ユーザーの方で、アラゴスタサスペンションに興味のある方がおりましたら、お気軽にお問合せください。


アカホリエンジンサービス

Garage Moto tech様を出て、高速には乗らず1時間くらい一般道を走った藤枝市に、アカホリエンジンサービスはありました。

アカホリエンジンサービス様は、以前は「ウイニングラン」という社名で、7,8年前くらいでしょうか、実は我が家のすぐ近くにありました。徒歩でも10分も掛からない距離でした。

当時中学生だった娘と同じクラスに、赤堀という男の子がいたそうです。息子さんとのことでした。ご近所だった当時は必要性がありませんでしたので、何も製作依頼はしたことがなく、製品を購入したこともありませんでした。遠方に引っ越された後にお付き合いが始まるのも、なんだか不思議な感じがします。

フロントフォーク延長キットは、アカホリエンジンサービス様の人気商品で、今回の私の依頼も、この延長キットの製作が含まれています。事前に「2CR」用フォークの延長キット作成が可能かを聞いておりましたが、念の為に実際のフォークや、その他の必要パーツを持参し、延長キットの他、ステムシャフト・トップブリッジ・Rブレーキキャリパーのブラケットなど、いろいろと製作をお願いしてきました。


最後に寄ったところは・・・

アカホリエンジンサービス様を出発し、やはり下道で1時間と少し走り、こんなスタジアムからほど近いところにやってきました。

ヤマハスタジアム

この写真は、ちょうどスタジアムの目の前にあるコンビニから撮ったものですが、今回おじゃましたガレージに訪問する際は、ここのコンビニで甘いお菓子を買って行くのが、いつの頃からか恒例となっています。たまには、このスタジアムでトップリーグの試合を見たいものです。

この写真をヤマハの監督さんにも送ったところ、「おっ!オレがいつも行っている所の近くじゃないですか♪」と返事が来ました。この一帯は昔から、どこに行っても君の仕事場のような感じなんでしょうね。

かねさわ

で、コンビニの甘いお菓子を持って行ったところが、ここです。知る人ぞ知る、ちょっと不思議なガレージのようなところです。

ちなみに昨年秋のテイストの時、このような車両を展示していました。

YAMAHA FZS1000WR2

一見すると同じようですが、これは私が乗っている鉄フレームレーサーではありません。別の車両です。

ご希望の方がおりましたら、販売しても良いと言っておりました。誰にでも造れるマシンではありません。どこにでもある車両でもありません。ですから貴重な車両です。一般道は走れません。おそらく、私のマシン以外には、この1台しかないと思われます。

安いはずはありませんが、『どうしてもこのマシンが欲しい!!』という方がおりましたら、ご連絡ください。連絡してみます。間違いなく、早い者勝ちでしょう。

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