最後の一手間と慣らし運転時の問題

やっとエンジンのオーバーホールも終わり、気になっていたシリンダーを交換しただけでなく塗装もして、キレイなエンジンに生まれ変わりました。エンジンを降ろしたついでに、フレームもクリーニングしました。それでも、まだ幾つも改善させたいところは出てくるものです。


オイルクーラー

オイルクーラー

このオイルクーラーは、スズキ油冷車の中でも最大のものです。レースを始めた当時、付けたくなるような大きなオイルクーラーは、どこからも販売されていませんでした。社外品を付けても、暑い日には130℃になったことがありました。数字は点滅し、それ以上の数字を表示しません。油温計が悲鳴を上げているように感じたものです。

何度か転倒していますので、削れたり曲がったりしましたが、それでも長年頑張ってくれました。フィンの曲がりはどうしようもないですが、色落ちしていましたので、ちょっとでもキレイにするため、塗装しました。


スロットル

スロットルケーブル

スロットルもスロットルケーブルも、相当に古いものです。取り外してみると、ケーブルはこのような状態でした。同じ物のスペアが1セットありましたが、こちらはもっと酷い状態です。ケーブルが切れかかっています。レース用のスペアとして保管していたものかもしれません。

古いスロットルと新しいスロットル

ケーブルもスロットルもグリップも新品に交換して、心機一転です。


燃料コック

負圧のホース

これは、2番のインシュレーターから燃料コックに繋がる負圧ホースです。先端の金具は、本来は燃料コック側に付いており、ホースを差し込むようになっています。

ところが、何十回もタンクを付けたり外したりしてきたからでしょうか、ホースが硬化してきた為でしょうか、金具がホースに付いてくるようになりました。あまりよろしくはありませんが、しばらくはこの金具を燃料コック側に差し込んで、事を済ませていました。

でもここまで整備しましたので、ついでです。この金具は元通り、燃料コック側に接着剤を使って取り付けました。


コンプレッション

41φTMRキャブレター

キャブレターのセッティングを少し見直した後、取り付けました。このキャブレター、XJR1300で良く使われている40φではありません。41φです。レースで使っていた頃、少しでもパワーが欲しくて41φを使っていました。今では特に意味はありませんが、自分用のキャブレターを買い換える際、長年親しんだ41φにしただけです。

41φは40φと比べると、ちょっと高価です。扱いも、40φの方が楽な気がします。使っている方も、ほとんど居ないような気がします。2号車に取り付ける際は、40φを使おうと思います。

さて、キャブレターを取り付け、エンジンを始動させて各部をチェックした後、コンプレッションを測定してみました。オーバーホールして各部の条件は良くなっているはずですが、ベースGKで圧縮を少し下げています。コンプレッションも、その分下がっていると思っていましたが・・・

オーバーホール前のコンプレッション

これは、オーバーホール前のコンプレッションです。「14.2kpa」という素晴らしい数字です。組んで10年以上も経過したエンジンとしては、立派な数字です。燃焼室にオイルを入れて容積を計り、実際の圧縮比を計算してみると、『12.2:1』という結果でした。下からトルクが出ているはずです。

ただし、2番3番は圧縮漏れを起こしており、「5.0kpa」以下という、酷いものでした。詳しくは、以下のページに書いてあります。

オーバーホール後のコンプレッション

こちらがオーバーホール後のコンプレッションです。「12.5kpa」といったところでしょうか。

でも実際に走ってみると、コンプレッションが下がってパワー感やトルクが細くなったのは、ごくわずかです。普段使いのペースですと、トルク感の低下を感じないで走れます。

私のXJR1300エンジンは、低回転から太くて大きなトルクを感じながら加速します。今までに何人かの方に試乗して頂きましたが、アクセルをグイッ!と開けられる方は、残念ながらおりません。昔から良く知っているレース経験者でも、開けられた方はほんの数人でした。

圧縮比はもちろんエンジンの出力特性に関係していますが、この低回転からのトルクに一番影響しているのは、恐らくカムシャフトです。ポート研磨をし、SOHCピストンを使って圧縮比も相当に上がっているエンジンでも、私のエンジンのような低回転域からの強大なトルク感は、感じません。

プロフィールまで全く同じカムシャフトは作れませんが、リフト量をほぼ同じにした肉盛りカムは、アメリカに送れば製作することが可能です。簡単には開けられない低回転からの強大なトルクを欲しい方は、ご相談ください。いるとは思えませんが、時間とコストを掛ければ製作可能です。


慣らしツーリング

やっと走れる状態になりましたので、慣らしとチェックも兼ねて、近所の友人と早朝から、良く行くコースに走りにいきました。

特に問題もなく1時間半ほど走った後、最初の休憩ポイントである道の駅で、トイレ休憩も兼ねて一休みしていました。

友人がエンジン回りをチェックしていると、変なものを見つけました。

オイルクーラー取り出し部のジョイント

オイルクーラー取り出し部のジョイントです。よくオイルが漏れないで走れているものです。

このあたりのパーツも、既に20年以上使っています。しかし、塗装時に分解した時に、なぜ分からなかったのか・・・、なぜ見つけられなかったのか・・・。悔やまれます。もしかしたら、組み立て後にこのようなクラックが入ったのでしょうか。

いずれにしても、クラックが広がってホースが外れたら、エンジンを掛けることすら出来なくなります。行けるところまで、そお~~~っと走って、少しでも家に近づこう、ことにしました。

とにかく、走りながら気になります。数分に1回は、このオイルクーラー取り出し部を見て、オイルが漏れていないか、ホースは外れていないか、そんなことばかり考えて走りました。

何回か止まり、良く観察しながら、とうとう自宅まで戻ることができました。とりあえず良かったです。ホッとしました。

ジョイントとオイルホースを新品に交換

ジョイントとオイルホースを新品に交換

後日、オイルパンからの取り出し部、オイルクーラーからの取り出し部、両方共にジョイント部は新品に交換しました。オイルホースも交換しました。もうつまらない事でオイル漏れの心配は、したくはありませんからね。


XJR1300(XJR1200)にお乗りの方へ

以下のようなお悩み、お困りごと、ご要望はありませんか?

  • 古くなったので、エンジンのオーバーホールを検討している。
  • 異音がして、なんだか調子が悪い。
  • TMRキャブレターを取り付けて、セッティングまでして欲しい。
  • チューニングしてパワーアップをしたい。
  • これからも安心して長く乗りたい。

XJR1300のキャブレター車であれば、既に生産から15~20年程度は経過しています。XJR1200であれば、それ以上です。つまり、立派な旧車ということです。

今ならまだエンジン関係の新品パーツは、メーカーから出ます。しかしそれも、いつ終わるのかは分かりません。少しずつですが、廃盤になっているパーツもあるようです。

これからも長く安心して乗るためには、エンジンをオーバーホールするのも一つの方法です。メーカーから部品が出ている今であれば、それが可能です。

ヤマハXJR1300のことであれば、どのようなお悩みやお問い合わせでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

XJR1300のスペシャリストが、お一人お一人に親身になってご回答いたします。