SOHCに訪問、ピストン製作とカムの話
先日、SOHCエンジニアリング様にお邪魔して、いろいろとお話をしてきました。ピストンのこと、カムのこと、パワーアップのこと、今後のこと・・・。
スペシャルピストン、今年は作ります!
当ガレージで、2017年、2018年と2回、SOHC製スペシャルピストンを製作依頼しました。ピストンだけを購入された方もいますし、私自身で数台に組み込みもしました。また、レース専用車両数台にも組み込まれました。
XJR1300用SOHC製スペシャルピストン
XJR1300用SOHC製スペシャルピストン
時折、ピストンのお問い合わせがあることや、個人的に組み込む予定で保有していた最後の1セットをお客様にお譲りして、手持ちが無くなったこともあり、今年は作りたいな、と思っていました。
電話ではお話していましたが、こういう依頼ごとはキチンと話をするべきですので、SOHCエンジニアリング様にお伺いして、ちょっとお話をしてきました。といっても、15分程度で行ける距離なのですが(笑)。
今日現在、2名の方から製作依頼を受けています。私も欲しいので、合計3セットは注文できることになります。最低5セットですので、あと2名からご依頼があれば、正式に発注できます。
まあ2セットであれば、何とかなるかな?ということで、今年の製作予定に組み入れてもらうべく、ご訪問したということです。
SOHCエンジニアリング様では、XJR1300用ピストンに限っては、個人のお客様からの依頼は受け付けていません。ですから当ガレージからの購入しか方法がありません。もし欲しいという方がおりましたら、当ガレージでSOHCエンジニアリング様に正式発注する前に、お申し込みください。
今年の夏頃に製作する予定、とのことでしたので、正式発注は6月末頃になるでしょう。お問い合わせフォームから購入の意思表示をして頂きました方には、正式発注前に当ガレージから意思確認のご連絡をいたします。
材料の確保や製作時間の調整もありますので、出来ましたらお早めにお願いいたします。
カムシャフトは、高額で難しい。
XJR1300用のカムシャフトは、随分と前から国内生産物はありません。唯一、ヨシムラで「ST-1」を販売していましたが、生産中止になってから久しいです。何もXJR1300用でなくても、「FJ用」でも良いのですが、何もありません。
ちなみにXJR1300の前身であるXJR1200は、FJ1200のエンジンで作られました。そのFJ1200は、FJ1100エンジンをボアアップしたものです。FJ1100の型式は「36Y」ですが、XJR1300のバルブやクランクシャフトには、『36Y』の刻印が入っています。つまり、FJ1100から受け継がれてきた物、ということです。
ですから、ドラッグレースが盛んなアメリカのパーツメーカーでは、表記は「FJ用」となっています。当然、パーツ設計も古いです。FJ用なのですから。
XJR1300のカムシャフト
渡辺さんとカムシャフトの話をした祭、昔の「ヨシムラST-1」の開発時のことや、ミハラスペシャリティのカム製作の話もしてくれました。ナベさん、昔のことですが随分と覚えているんですね。細かい数字まで、ほぼ正確に覚えていましたので、私もビックリしたほどです。
カムシャフト製作で一番ネックになるのは、価格でしょう。あくまでも予想の話ですが、最低ロットの10セットを製作したとして、200万円以上は楽に掛かりそうです。ということは、販売価格で25万円~、といったところでしょうか。
カムシャフト製作の話は、以前に某メーカーに在籍されていた方にも相談したことがあります。製作できるところはあるけれど、設計費と製作費が必要で、製作費だけでも1セット最低でも20万円は掛かるだろう、とのお話でした。
いずれにしても、10セットの製作で250万円程度が費用として必要です。そんな大金、私には簡単に捻出できません。一人でリスクを負って製作できる金額ではありません。6~7名の本気で欲しい方が集まらない限り、製作できないでしょう。
もし仮に製作するとして、どんなプロファイルで製作するのか、これも問題です。以前の「ヨシムラST-1」では、個人的には物足りません。ヘッドの改造やパーツ交換の必要ない範囲で、尚且つピストンとのクリアランスやパワーを考えると、やはり私が想像しているリフト量が限界のようです。
もしレースでの使用で、ヘッドの改造やパーツ変更を伴っても良いと考えるなら、アメリカ製の肉盛りカムでリフトの高いタイプを使用すれば、もっと大きな出力を得ることは出来るでしょう。ただし、エンジン破損のリスクも格段に大きくなりますが。
いずれにしても、カムシャフト製作の話は、ひとまず休止です。スポンサーの方が現れれば別ですが・・・。
ちなみにパワーアップを考えたとき、ボアアップも一つの方法です。シリンダーとピストンだけで事足りますから。ピストンをどうして、シリンダーはこうして・・・、そんな話もしてきました。
今後のこと・・・
SOHCの渡辺さんと知り合って、もう25年くらいになります。お互いに歳も取りました。シングルレースが盛り上がっていたころの話にもなりました。どこのマシンはこうだった、どのマシンには誰が乗っていた、誰の走りはこうだった・・・、そんな昔の思い出話です。ちなみに私が乗っていたSRXエンジンは、ナベさんのピストンではありませんでした。すみません・・・。
この先、いつまで仕事をするのか、そんな話にもなりました。「もう、そう長いことは出来ないだろうから、自分の好きなようにやりたいんだよ。」そうも言っていました。好きなやり方の内容までは詳しくは語りませんでしたが、少なくとも、一見さんの依頼や値切られた仕事、業販はしたくないんだろうなぁ~、と推測しました。
たとえばピストンであれば、自分のピストンを欲しがっている人だけに使って欲しい、そんな思いが込められているように感じました。
XJR1300の小林管・旧タイプ
渡辺さんとヨシムラ時代からのお仲間である小林さんという、マフラー職人の方がいます。私も、何度もお世話になっている方です。私の現在の愛車であるXJR1300に装着されているマフラーも、小林さんに作って頂いたものです。
以前、筑波で転倒した帰りに小林さんの工場に寄り、サイレンサーを何度直してもらったことか・・・。本当にお世話になりました。
昔の仲間内では、『小林管』と言えば分かるほど、メジャーな方です。今でもSOHCの渡辺さんとは仲が良いとお聞きしています。
そんな小林さんも、マフラー作りから手を引かれたようです。時代の流れでしょうから、寂しい限りですが、私にはどうすることも出来ません。
渡辺さんも、いつまでピストンを作ってくれるのか、私には分かりません。もしかしたらXJR1300用は、今回が最後かもしれませんし、また来年も作るかもしれません。
『今度エンジンを開ける時は、そのままエンジン持って来い!バラしながら寸法を測るから!』と言っているくらいですから、まだまだ元気です。考えていることややってみたい事も、まだありそうです。
ナベさん、今度エンジンを降ろしたら、本当にそのまま持って行きますよ。もうすぐ降ろす予定ですからね♪
XJR1300(XJR1200)にお乗りの方へ
軽量ハイコンプレッションのXJR1300専用スペシャルピストンを、今年も製作します。来年も含めた今後のことは、一切決まっていません。もちろん、どこからも市販されてはいませんし、する予定もありません。
またSOHCエンジアリングでは、今後は個人のお客様の製作依頼も難しい状況です。もしかしたら、XJR1300用は今年が最後の製作になるかもしれません。
SOHCスペシャルピストンの詳細は、以下をご覧ください。
SOHCピストンに興味のある方は、まずはお気軽にご相談ください。