もてぎの全日本を観戦
少し前になりますが、もてぎに全日本の開幕戦を見に行ってきました。
筑波サーキットでJSB1000が安全上の理由から開催されなくなり、JSB1000のレースを見る事の出来る一番近いサーキットが、ツインリンクもてぎになりました。筑波プラス1時間程度で行けますので、できるだけ時間の都合をつけて、年に1回は見に行くようにしています。
ちょっと早い時間にサーキットに到着しましたので、パドックに行く前に、久しぶりに「コレクションホール」を覗いてみることにしました。
『もて耐』に1,000ccマシンが自由に走れた時代ですから、もう20年も前になりますが、その頃にヒマな時間ができると、コレクションホールにオートバイを見に行ったものです。
今はどんなマシンが展示されているのか、ワクワクします。
コレクションホールに展示されていたマシンたち
昔のレーシングマシンと共に、こんな物が展示されていました。これは、鈴鹿サーキットのトロフィーです。昔からデザインが同じだったことに、驚きました。
鹿の首に鈴が掛けられたデザインです。『鈴鹿』ですから・・・(笑)
私の周りには、速いライダーが何人もいました。地元ということもあり、ヨ○ムラで走ったライダーは、先輩も後輩も含め、数人います。ヤ○ハファクトリーでチャンピオンになったライダー、ス○キファクトリーでチャンピオンになったライダー、ヨ○ムラでノービス時代に連戦連勝だったライダーもいたくらいですから、この『鹿に鈴』のトロフィーは、何度も目にする機会がありました。
そんな時代よりもずっと以前から、鈴鹿のトロフィーデザインが同じだったことに、驚いたと同時に、なんだか嬉しくなりました。
今の鈴鹿のトロフィーも、同じデザインなのかな・・・
オートバイは、レーシングマシンも含め、非常に数多く展示されていました。写真はたくさん撮りましたが、その中の幾つかをご紹介します。
若い頃、雑誌で何度も目にしたマシンです。ゼッケンを見れば、誰が乗っていたマシンかは、分かる方には分かるでしょう。マニアにはたまらない車両に違いありません。
ホンダ時代のゼッケン46番も展示されていましたが、74番と69番の展示車両を見た時は、ちょっとシンミリした気持ちになりました。
とにかく全ての展示車両が、細部にまで手入れされており、むか~し私が免許を取った時代も含め、ホンダの2輪の歴史が全て分かります。
一番驚いたのは、カブの歴史が全て分かることです。販売台数1億台突破ですから、誰が考えても、間違いなく世界一のオートバイでしょう。子供の頃から、常に目にしていました。今でも走っている姿は日常の風景です。
実は私、本田宗一郎氏のプチファンです。
- 成功は99%の失敗に支えられた1%だ。
- 私の最大の光栄は、一度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きるところにある。
- 失敗を恐れてはいけない。恐れなくてはいけないのは、失敗を恐れて何もしなくなることだ。
彼の、こんな名言が特に好きです。
こんな男になりたいな、と常々思っていますが、凡人には、そう簡単にできることではありません。
グリッド上にて
いつものカワサキ系チームの監督が用意してくれたパスで、問題なくグリッドウォークができましたので、JSB1000のスターティンググリッドに行ってみました。
何度もチャンピオンを獲得している、現在のチャンピオン、おなじみの中須賀選手です。
レース前は厳しい表情をしているものですが、この時、ちょっと面白い光景を見ました。チビッコを二人連れた親御さんが中須賀選手の前に来たところ、笑顔で手招きして、チビッコ二人を両サイドに呼び寄せ、写真撮影に応じていました。
レース前の集中している時に、なかなか出来ることではありません。チャンピオンの貫禄でしょうか。同じ子を持つ親としての心配りでしょうか。彼の優しさに触れた気がしました。
もしかしたら、いつものように笑顔で横にいる監督さんの教えでしょうか。
レース後には、監督さんの面白くて、ちょっと不思議な光景を目にしました。
帰る前に監督さんに会いにヤマハのピットに行くと、ヤマハの応援用小旗を持った40代くらいの男性が、監督に寄って行きました。ライダーのサインでももらいに来たのかな、と思っていると、なんと! 監督に小旗を差し出し、サインをもらっているではありませんか!
監督も、いつもの笑顔でサインに応じています。選手時代から地味で、あまり目立たない男ですから、ちょっとビックリです。サインをもらっている男性に、声を掛けたくなりました。
『中須賀選手じゃなくて、そんなオッサンのサインで本当にいいんですか?』
でも男性は、嬉しそうにしていました。
昔、筑波の全日本に行った時、友人が当時監督だった平さんにサインを書いてもらったことがあります。平さんは、『選手じゃなくて、私でいいの?』と言っていました。
「選手じゃなくて、やっぱり平さんでしょ!」
そんな事を友人は言っていました。吉川監督にサインをもらって嬉しそうにしていた男性も、きっとそんな気持ちだったのかもしれません。
あっ、そういえば色紙10枚くらいに書いてもらった監督のサイン、お客さんにあげていたら、いつの間にか無くなっていました。今度、我が家まで来てもらって、書いてもらわないといけません。頼むよ♪
ヤマハ期待の若手、野左根選手です。
野左根選手に初めて会ったのは、もう10年くらい前でしょうか。まだあどけない少年でした。ご両親と一緒に筑波に来ていて、お母さんの腕には、まだ小さなお子さんが抱かれていました。
お父さんとは、会えば話をするようになりました。当時から阿部さん(ノリックのお父さん)にお世話になっていた記憶があります。
それから数年後、テイストの練習で筑波に行くと、難波ちゃんと阿部さんが来ていました。
「今日は、航汰に初めて600を乗らせるんですよ。高野さん、ちょっと見てやってください。」
阿部さんにそんな事を言われたら、気にしない訳にはいきません。
1走行目、追いついて後ろからしばらくその走りを見ていました。まだ小柄で、初めて乗る600ccのバイクのパワーを持て余しているようにも見えましたが、とてもスムーズな走りです。無駄がありません。上手に前にオートバイを進めている感じです。
2走行目は、だいぶパワーや車体にも慣れたのか、一段とスムーズに見えます。簡単には追いつきません。既に1,000ccの私と同じタイムで走っています。
3走行目は・・・
付いていくどころか、離れていきます。小さい頃からオートバイに乗っている若い子たちは、こうして速くなっていくんだなぁ~、そんな事を走りながら考えていました。
普通の混んでいる練習走行で、初乗りで59秒です。普通のおじさんが付いていける訳もありません。
走行後、阿部さんが「どうだった?航汰の走りは?」と聞くので、正直に感想を言いました。難波ちゃんも、お疲れ様でした。
今年の春のテイストの練習で、ある走行会に行った時のことです。
ブジヂストンガレージにいたら、目の前に車名の分からない、外車風の白いセダンが停まっていました。お金持ちのスポンサーの方でも来たのかな、そんな程度で、あまり気にも留めませんでした。
しばらくすると、向こうからニコニコした少年が、もっと小さな少年二人を連れて、こちらに歩いてきました。野左根君でした。
『ご無沙汰してます。』
「最近、話もしてくれないから、オジサンのこと、忘れちゃったかと思ったよ。」
『忘れる訳ないじゃないですか。』
「今日は、どうしたの?」
『弟たちを連れて、遊びに来ました。』
「そうかぁ~、弟さんたちかぁ~。」
『高野さんが見た、お母さんに抱かれていたチビは、たぶんコイツです。』
「こんなに大きくなったんだ!」
「監督は、どう?良くしてくれる・・・?」
『監督さんは、本当に良くしてくれています。』
こんな、どうでもいい話をしてくれました。
その後、記念撮影を頼まれた際、白いセダンのドアを開けて、しっかりとヤマハのジャンパーを出して着ていました。その車、航汰のだったんだね。もう立派なワークスライダーだね。
「頑張れ!」と皆に言われるだろうからオジサンは言わないけれど、航汰は亡くなったお父さんの分まで、お母さんや弟たちの面倒を見なくちゃならないから、いろいろと大変だろうけれど、手に入れたチャンスを掴んで、ものにして、立派なワークスライダーになってください。
学べるうちに先輩からたくさん盗んで、これからのレース界を引っ張っていく存在になってください。ヤマハのエースとなって、チャンピオンになってください。
忙しい時はオジサンの相手なんてしなくていいけれど、他の先輩や関係者には、好かれる存在でいてください。オジサンは、影からいつも応援しているよ。
友人のカワサキ系チームの外国人ライダーです。初めて聞く名前でしたが、グリッドが寂しそうだったので、写真を撮って、心の中で応援しておきました。
何語を話すのかも知らないから、そもそも話すこともできませんが・・・
えっ?英語を話せば、大抵は通じるって?
すみません。私はフランス系なもので・・・
大ベテランが、今年から友人のチームで走ることになりました。お馴染みの柳川選手です。正確にはエントリー名は異なり、監督も違うようですが、母体は一緒です。
3月に友人のバイクショップに久しぶりに遊びにいった際、奥の工場でエンジン整備をしていました。柳川選手のスペアエンジンだと言っていました。
メーカーによってサポートの仕方は色々ですが、カワサキ系はエンジンのメンテナンスもチームでやるようです。シーズンが始まると忙しいですから、友人が身体を壊さないか、ちょっと心配です。
レースが始まりました。初めからヤマハとホンダのエース同士の一騎打ちです。最後まで、こんな状況でレースは進んでいきました。
なんとかヤマハの中須賀選手が勝ちましたが、昨年までのようにブッチギリという訳にはいきませんでした。今年はホンダのヤル気も違うようですので、苦戦が予想されます。
トップ争いから徐々に遅れていった野左根選手です。
オジサンは、いつも応援しているからね!
中盤で争っている、友人のカワサキ系チームの外国人ライダーです。8耐までの参戦と聞いています。
もてぎをどの程度走りこんでいるのか知りませんが、思ったよりも速いです。目の前にいるのは、タローちゃんではありませんか。結果を見ると、第一レースも接戦だったようです。
このような争いが最後まで続くと、見ている方も面白くなります。
こんな感じで、久しぶりの全日本を堪能した一日でした。