フルカスタムのXJR1300、その9・車体編1

フルカスタムのXJR1300ですが、すっかり時間が空いてしまいました。以前の記事は、こちらをご覧下さい。

さて、以前の記事ではエンジンの組み立てまでご紹介しましたので、ここからは車体編です。

車体は、ホイール換装からフロント回りの移植、フレームやホイール塗装まで行いますので、まずは全てをバラします。

フレームは、全ての付属パーツやベアリングレースまで取り外します。ベアリングは交換しますし、塗装するにはジャマですから。ホイールもスイングアームも同様に、単体になるまでパーツを取り外していきます。

塗装方法ですが、本来であれば粉体塗装(パウダーコーティング)が好ましいところです。粉体塗装であれば、塗膜は厚くなり、強度も上がりますから。ただし、設備等の問題で高額になります。

ある有名ショップに問い合わせたところ、フレーム単体で16万円~、サブフレームやステー、スタンド類を合わせれば、20万円越えです。当然ですが、そこにはパーツの脱着手間や工賃、交換パーツなどは一切含まれていません。今回は、スイングアームやホイールまで塗装しますので、それらを合わせると35万円オーバーです。

その他、外装パーツも塗装することになっていますが、こちらはストロボラインやロゴを塗装で入れる予定です。こちらも、○○デザイン、といった有名どころに依頼すると、安く見積もっても20万円超えです。

どんな塗装をしても、所詮は塗装ですからキズは付きます。金属が当たれば、剥げることもあります。今回はコストを優先して、フレームやホイールはウレタン塗装とすることにしました。使っていく中でのキズも、『使い込んだ味わい』と思って、楽しんで頂ければと思います。

外装パーツは、塗装専門店ではありませんが、長年、私のヘルメットを塗ってくれている友人がいます。時間は掛かりますが器用なので、彼に依頼することにしました。

さて、塗装を依頼した近所の板金屋さんに行くと、このような光景になっていました。

ある日の板金塗装屋さん

塗装されたパーツが、天日干しされています。一旦焼いた後、外に出して乾燥させているようです。

この板金塗装屋さんですが、最近、しばらく乗っておらず眠らせていたZRX1200を、何を思ったのか整備し始めました。でも、8年以上も放置されていましたので、タイヤはヒビ割れています。

「高野さん、使える中古タイヤなんて、ないですか?」
『あるよ!この塗装したお客さん、ホイールサイズも変わるので、古いタイヤがいらなくなるから。』

「それ、売ってくれませんか?」
『じゃあ、タイヤ組み換えもしてあげるから、塗装代を○○円、まけて♪』

商談成立です。

塗装したフロントホイール

歩いてすぐのご近所さんですので、塗装されたパーツは、手で持って歩いて帰ります。

まずはホイールにディスク版を取り付け、タイヤを組んでいきます。タイヤを組まないと、ホイールは置くにも不便ですし、キズが付きそうで怖いです。

製作したステムパーツ

これは、R1用のフォークを組むために製作した、ステムシャフトとトップブリッジです。削りパーツは、何度見てもその美しさにウットリします。

アルマイト加工後のステムパーツ

フォークの延長キットと共に、トップブリッジや細かなパーツをアルマイト加工しました。フロントフォークがブラックですので、より精悍なイメージを与えます。

ここまで準備が進めば、車体をどんどん組んでいけます。

まずはフレームに、フロントフォークやスイングアームを取り付け、ホイール・タイヤまで組まなければ、エンジンをフレームに積むこともできませんし、車体を自立させることもできません。

フロントフォーク延長キットの取り付け

フロントフォークはR1用ですので、XJR1300で使うには、ちょっとばかり短すぎます。そこで、フォークを伸ばすための延長キットを組み付けます。

倒立フォークは、このようなスプリングコンプレッサーがあると、キャップの取り外しに便利です。

さて、ここで思案のしどころは、『XJR1300に取り付けたR1用のフロントフォークが動くのか?』ということです。

もちろん、ちゃんと整備されたサスペンションですから、動くのは当たり前です。私の気にしている事は、そんなことではありません。

現在の1,000ccのスーパースポーツのサスペンションは、固めの設定です。オーナーの方は、体重の軽い方で、あまり無茶したりむやみに飛ばす方ではありません。そこでSTDより柔らかいスプリングを探しましたが、硬いスプリングはいろいろ出ているのですが、柔らかいスプリングはありませんでした。

動かない、ゴツゴツした乗り味では、おそらくオーナー様は楽しく走ることはできないでしょう。いろいろと考えた結果、オイル粘度と油面で調整することにしました。あとは、走ってみなければ分かりません。

フロントキャリパーのクリーニング

キャリパークリーニングで汚れた洗浄液

フロントフォークを取り付けたら、ブレーキを付けていきます。キャリパーまでR1用をそのまま使いますが、フォークの長さがR1とは異なりますので、ブレーキホースは変更します。キャリパーからホースを外すついでに、キャリパーもクリーニングすることにします。

レースで使用されており、日頃のメンテナンスもされていたようですが、クリーニングするとこれだけ汚れていました。

R1用フロントフォークを取り付けたXJR1300

組んでいく際、バンジョーボルトが足りない、Rフェンダーのパーツが足りない、純正ボルトがサビている、など、その度に作業が止まりましたが、ようやくオートバイらしい形になってきました。