フルカスタムのXJR1300、その8、エンジン組み立て2

フロントフォークやホイールを換装するフルカスタムのXJR1300ですが、エンジンの組み立てはケースまで終わりました。

ニュートラルスイッチ
ニュートラルスイッチ

クラッチの完成
クラッチの完成

シリンダーを乗せる前に、細かなパーツの取り付けです。

ニュートラルスイッチは、1ヶ所割れていました。Oリング箇所の外側とはいえ、割れた樹脂パーツは交換です。

クラッチは、社外製のクラッチプレートや、3枚使われていたフリクションプレートなど、使われていたプレート類はゴミ箱に捨てて、全て交換しました。

このエンジンは、パワーを上げる為のチューニングはしませんので、ノーマルのダイヤフラム式のままです。XJR1300は、パワーを上げた場合、純正クラッチではすぐに滑り出します。チューニングする際は、コイルスプリング式の社外品に交換する必要があります。

ノーマルエンジンでも、キャブレターとマフラーの変更だけで滑り出すことがあります。パワーアップしたい方は、クラッチの強化も合わせて行う必要があります。

このエンジン、社外製のプレート類が混在して使われていましたが、もし目的がクラッチ強化のためであれば、ダイヤフラム式のままなのが解せません。強化でもなんでもありません。やはり、目的が分かりません。

シリンダーを乗せたエンジン

ピストンを取り付け、シリンダーまで被せました。

今回は、ピストンとシリンダーをセットで交換しました。当然、ピストンピンも新品です。何度もご紹介しているように、XJR1300はセット交換がお得です。
走行距離が5万キロを超えている車両の場合は、ぜひセットでの交換をご検討ください。

今後も長く乗るのですから、決して高い買い物ではありません。


シリンダーヘッド

修正加工や塗装が終わったシリンダーヘッドに、バルブ等を組み付けていきます。

取り外したバルブステムシール
取り外したバルブステムシール

バルブステムシールと磨いたバルブ
新品のバルブステムシールと磨いたバルブ

バルブ回りは、最もパワーに直結し、またトラブルも多い箇所です。

取り外したバルブステムシールは、弾力もなく、これでよくシールしていたと思えるような状態です。15年以上経過しているエンジンでは、どれもこのような状態になっています。

バルブステムシールが傷むと、いわゆるオイル下がりが発生します。バルブステムシールから入り込んだエンジンオイルが、バルブガイドから燃焼室に下がってしまうことです。オイルが燃焼室で燃えると、マフラーから白煙が出ますので、すぐに分かります。

傷まないよう、またスムーズに装着できるよう、新品のバルブステムシールにはエンジンオイルを垂らして、バルブをガイドに使って装着します。

バルブスプリングの測定
バルブスプリングの測定

バルブクリアランス調整
バルブクリアランス調整

組み付ける前に、忘れてはいけない事があります。バルブスプリングがヘタっていないかの測定です。

今までの経験では、バルブスプリングがヘタることは稀です。滅多にありません。でも念のために、全てのバルブスプリングを測定します。

シリンダーヘッドが組み上がりましたら、シリンダーに乗せる前に、ヘッド単体の状態でカムシャフトを組み、バルブクリアランスを調整しておきます。シートカットやフェース研磨をした場合、クリアランスは大きく変わります。ですからこの状態で、一度クリアランスを合わせておくのです。

シム調整
シム調整

再度のバルブクリアランス調整
バルブクリアランス調整

XJR1300はシム方式ですので、バルブクリアランスは、厚みの異なるシムに交換することで調整します。

シートカットやフェース研磨加工をした場合、加工した分バルブがカムシャフト側に寄りますので、クリアランスが狭くなります。ですから、薄いシムが必要になります。

予め、薄めのシムを複数枚用意しておかなければなりません。シムが無い、と言って、入荷までその都度待っているようでは、作業も進みませんからね。

ヘッド単体でのクリアランス調整が終われば、ヘッドをシリンダーに乗せます。念のため、合わせ面の脱脂を再度行います。ヘッドをシリンダーの上に乗せたら、予め洗浄しておいたワッシャーとナットで、規定トルクで締め付けます。

その後、もう一度バルブクリアランスの測定とシム調整を行います。ヘッド単体で調整しているとはいえ、組み付け後に測定すると、必ずと言って良いほど、微妙に変わってくるからです。

シム交換のための特殊工具
シム交換のための特殊工具

新品のインシュレーター
新品のインシュレーター

シリンダーにヘッドを乗せ、カムシャフトを組んだ後は、このような特殊工具を使ってシムを交換します。これを使えば、カムシャフトを外さなくてもシム交換が出来るので、カムチェーンとカムスプロケットがズレてしまう心配もありません。

インシュレーターは、長年の働きで大きくヒビ割れていましたので、Oリングと共に交換です。長い間、お疲れ様でした。今後は、こいつに働いてもらいましょう。

バルブタイミングの合った状態

これが、バルブタイミングの合った状態です。インテークとエキゾーストのカムスプロケットの●印が、ヘッド面に合っているのが分かると思います。

これが、マニュアルに記載されている正規のバルブタイミングです。分解時の写真と比較すると、明らかに違っているのが分かります。

完成したエンジン

ヘッドカバーやセルモーター、オイルフィルター、ゼネレーターなどを付けて、エンジンは完成しました。

カムテンショナーなどにも塗装しましたので、エンジン全体がブラックになり、とても精悍なイメージになりました。オーバーホール前と比較すると、見違えるようです。

消耗パーツやダメージのあったパーツは、全て交換しています。圧縮も改善しています。バルブタイミングも合わせてあります。誤組み部分も正規に組み直しています。

早く車体に載せて走ってみたいものです。今から楽しみです。

XJR1300に特化したオーバーホールやチューニングを受け付けています。
ご相談やご質問などありましたら、お気軽にお問合せください。

お一人お一人に、誠意を持ってご対応いたします。