15万キロ超えのエンジン、その4

出来上がった15万キロ超えのXJR1300

何回かに分けてご紹介している「15万キロ超えのエンジン」の車両ですが、エンジン・車体共に出来上がりました。

いつものように、まずはプラグを付けずにエンジンを回します。いくらオイルを塗布しながら組んでいるとはいえ、フルオーバーホールの直後です。まずはエンジンの各部にオイルを回したいので、オーバーホールの際は必ずそうしています。

これだけで、オイル点検窓から見えるオイルレベルは確実に下がります。各部にオイルが回った証拠です。エンジンオイルを足し、その後にエンジン始動です。いつもの事ですが、何度やっても緊張します。

さて、そんな作業の前に、実はやらなければならない事があります。

バッテリー充電を忘れてはいけません!

バッテリー充電です。オイルを各部に回すには、エンジンを掛けずにセルを回さなければなりません。当然、バッテリーに負担が掛かります。その後に、もう一つ大事な作業もあります。

お客様のバッテリーが弱っていることもあります。エンジンをオーバーホールしている間は、当然ですがエンジンは一度も掛けません。つまり、全く充電されていません。ですからクランキングの前には、念のために必ずバッテリーは充電しています。


コンプレッション計測

エンジンが無事に始動したら、一度止めて、再度エンジンオイルを点検します。オイルレベルを確認しながら、少しオイルを足す感じです。

このエンジン始動の際は、ガソリンタンクは取り付けません。小さな容樹から直接キャブレターにガソリンを送ります。なぜなら、この後すぐにタンクを外さなければならないからです。

その理由は、コンプレッション測定です。全てのプラグを外し、コンプレッションゲージを取り付けるには、ガソリンタンクが無い方が作業性も良く、やりやすいのです。

走行距離が相当でしたので、ある程度は仕方ないのですが、このエンジン、オーバーホール前には私のコンプレッションゲージで、過去最低の数字を叩き出しました。

オーバーホール前のコンプレッション
オーバーホール前のコンプレッション

 オーバーホール後のコンプレッション
オーバーホール後のコンプレッション

4気筒の中で一番悪かったところは、わずか「3.0k」しかありませんでした。それが「10.0k」まで改善しています。おそらく相当にパワーダウンしていたと思われます。

さて、コンプレッションも測定しましたので、タンクとサイドカバーを取り付ければ、いよいよ試乗できます。

サイドカバーを取り付ける際、エアクリーナーが目に入りましたので、ついでにクリーニングしました。出来ることは、出来るだけやっておきたいですからね。


試乗

試乗前の、完成した15万キロエンジン号

さて、いつもの試乗コースを走るとしましょう。行き先は、毎度おなじみの宮が瀬湖です。

考えると、オートバイに乗るのは5月の転倒以来です。そんな事を考えると少し緊張しますが、まあゆっくりと走るだけですから、大丈夫でしょう。

この車両をお預りした時は、まだ身体のダメージが残っていましたので、試乗はしませんでした。ですから、オーバーホール前後の正確な違いは、残念ながら体感できません。

でも、エンジンは軽くスムーズに回り、車体も柔らかくしっかりと動きます。何も問題は感じません。加速する時の吹け上がりはどうか、サスペンションはスムーズに動いているか、異音や違和感は感じないか、などを気にしながら走ると、いつもの宮が瀬湖の駐車場に到着です。

試乗で、いつもの宮が瀬湖まで

何も問題ありません。きわめて快調です。帰ってエンジンを冷まし、最後の一仕事をするとしましょう。


最後の一手間

試乗後、エンジンオイルを確認したら、エンジンを冷まします。何故かって・・・?だって、熱い状態のオートバイには触りたくないですからね。

で、何をするかというと、ビキニカウルの取り付けと全体の磨きです。

ビキニカウルの取り付け前

ビキニカウルを取り付ける前に、取り付けたら手が入らなくなるメーターとライトを磨きます。

メッキが輝くまでワックスを付けて磨きます。

ビキニカウルの取り付け後

ライト部に、振動防止の為のラバーを貼って、ビキニカウルを取り付けます。

取り付けたら、ビキニカウルもワックスで磨きます。

ビキニカウルを取り付け、車体を磨いていきます。エンジンを降ろさないと手が入らないフレームなどは事前に清掃しましたが、どうせなら気持ち良く乗って頂きたいですから。出来るだけ頑張って、キレイに磨いていきます。

お引き渡し時に少し乗って頂き、その感想をお聞きしました。「ちょっとアクセルを開けるだけで、ビューっと加速する。」とのお話でした。それは、パワーアップしたり速くなった、ということではありません。パワーダウンしていたエンジンが本来のパワーを取り戻した、ということです。

その感覚に、早く慣れてくださいね。

ということで、1週間後のプチツーリングの後、嬉しいメールを頂きましたので、ご紹介します。


高野様

日帰りツーリングに行ってきました。

アイドリングが高かったので少し下げました。
その他はまったく問題ありません!

エンジン滑らか!
トルク復活!
アフターファイヤー激減!
ノッキング無し!

で、峠道もラクラクでした。

高野さんにオーバーホールしていただき、大変良かったと思っています。
乾いた秋の空気も心地が良く、楽しい日帰りツーリングとなりました。

ツーリング後のお客様のコメント