エア・インダクション・システム

エアインダクションシステム(AIS)のキャンセルキャップ

このパーツは、シリンダーヘッドにあるエアインダクションシステム(AIS)の穴を塞ぐキャンセルキャップです。オークション等で入手可能なようで、現在オーバーホールおよびチューニング中のお客様のエンジンにも装着されています。

そもそもエアインダクションシステム(AIS)とは、二輪車排出ガス規制に適合させるための排ガス浄化システムで、XJR1300では2000年式から装着されています。

排出ガス規制に適合させるための装置ですから、この写真のようにキャンセルキャップを装着したり、システム本体を取り外していれば、当然車検は通りません。

ただ今回のお客様の場合は、96年式の車体に00年式のエンジンを積んでいますので、エアインダクションシステム(AIS)は不要になります。当然、車検も問題なく通ります。

写真のキャンセルキャップは、00年式エンジンの排気ポートの穴を開放させておけませんので、それを塞ぐだけの目的です。


地球環境と規制強化

私が子供の頃、トラックやバスなどのディーゼルエンジン車は、モクモクと大量の黒煙を上げて走るのが当たり前でした。光化学スモッグ注意報なるものが、自治体から発令されるような時代でした。

しかし今は、そんな時代ではありません。私たちは豊かな自然や素晴らしい地球環境を、子孫に残していく義務があります。

自動車業界や二輪業界においても、地球環境の保全と規制強化は無視できないどころか、真っ先に取り組まなければならない問題となっています。それは、XJR1300の年代による仕様変更でも明らかです。

聞くところによると、インジェクション化され、様々な対策を施しても、現在の年々強化される規制をクリア出来ない為に、XJR1300は生産を中止することになったようです。

30年後には、そもそも内燃機関が地球上から姿を消しているのかもしれません。エンジンがなくなったら、オートバイはどうなるのでしょう・・・

オートバイレースも、フォーミュラEのように電動化されて競う合う時代になるのは、そう遠くないのかもしれません。マン島TTでは電動クラスが開催されていますし、モトGPでも、近い将来そういったクラスが開催されるようです。

音のしないオートバイが走り回り、レースをする・・・。私たちが想像もしなかった世界は、もうすぐそこまで来ているのです。そのような時代の到来を、私は見る事ができるのでしょうか・・・


オートバイ乗りという生き物

地球環境が大事なことは分かってはいるのですが、何をしたら車検に通らない、ということは分かってはいるのですが、「あれもしたい、こうもしたい。」と考えるオートバイ乗りは、確実に存在します。

車検の時にはあの部品を戻して、車検用サイレンサーを付けて・・・という事をしている方も、少なくないでしょう。

わざわざ手間をかけ、コストをかけ、エネルギーを使い、そんな世間から見たら無駄と思えるようなことに一喜一憂するのが、オートバイ乗りという生き物のような気がします。困ったものです。

サーキットに行けば、平日の昼間から仕事もせずにオートバイで同じところをグルグル走り回って、何秒出た、○○の調子が悪い、セッティングが今ひとつだ、などと言ってマシンをイジっている、いい歳をした大人たちがたくさんいます。

中には転倒してオートバイを壊したり、ケガをするライダーもいます。お金や時間や情熱を使って、いったい何をしているんだろう・・・そう感じることもあります。

世間から見たら、間違いなく道楽者でしょう。

サーキット通いをしていなくても、マニア・愛好家・道楽者と自覚しているオートバイ乗り・ライダーは多いでしょう。

でも個人的には、そのような『オートバイマニア』の方が私は大好きです。自分も大好きなオートバイを同じくらい好きだ、というだけで、なんだか共感が持てます。応援したくなります。

あれ・・・
今回は、話したいことと随分ズレてきました(汗…)


エア・インダクション・システム(AIS)の弊害

エアインダクションシステム(AIS)は排ガス浄化システムですが、仕組みはと言えば、排気ポートにエアを送って、未燃焼の排気ガスを再度燃焼させて排気ガスをクリーンにする、というものです。その為に2000年式以降のシリンダーヘッドの排気ポートには、穴が開いています。

2000年式ヘッドの排気ポート

排気ガスをクリーンにするデバイスですので、環境に優しいのは言うまでもありません。ただこれがあるために、キャブセッティングが出しにくい、アフターファイヤーが発生しやすい、チューニングの際ジャマになる等、色々と言われているようです。

私は自分のエンジンに、2000年式以降のヘッドを使った事がありません。エアインダクションシステム付のXJR1300を所有した事もありません。ですからこれらの検証をした事はなく、事の真偽は分かりません。

ただ一度だけ、2000年式に装着されたFCRのセッティング作業をした事がありました。マフラーのせいなのか、酷く難儀しました。JNは、初期設定されたものから2ランク変更し、もう1ランク変更したいくらいでした。段数も何通りか変更してみました。

通常の走行ではまず問題ないレベルにまで改善しましたが、手持ちのパーツでは足りず、丸一日掛けても細部まで詰め切れませんでした。

その後、2000年式以降の車両にFCRの組み合わせでセッティング作業をしていませんので、難儀した理由がエアインダクションシステムのせいなのかどうかは、分かりません。

今は空燃比計がありますので、もう少し効率良くセッティングを出すことができます。FCRではなくTMRであれば、エアインダクションシステム無しの状態のデータがいろいろとありますので、2000年式以降の車両での違いが検証できるはずです。

ヨシムラミクニ製TMR-MJNキャブレター

私のマシンには、現在ヨシムラミクニのTMR-MJNが付いています。本当はTMRが良いのですが、旅に出たままいつになっても帰ってきません。ミクニから発売されているうちに、一つ購入しておいた方が良いかもしれませんね。もちろん、モアパワーを求めるので41パイです!